
「夜行万葉録・巳」
Jungle Bell Theater
参宮橋トランスミッション(東京都)
2025/06/03 (火) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/06 (金) 14:00
民俗学をベースにした短篇を1つの軸でまとめるシリーズ最新作。
コント(!)、妖怪譚、感動編と異なるタイプの3編を「現代パート」によって結び付け収束させるのがいつもながら巧み。
それも冒頭で提示される「あるテーマ」が貫かれているばかりでなくタイトルの「巳」をちゃんと関連付けて締めくくるのはさすが。
また、2編目での「波の表現」も良かったなぁ。
あと、当日運営スタッフの「痒い所に手が届く」丁寧な対応も30周年というベテランならではか?

シホウドウセキ
日本のラジオ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/06/05 (木) 14:30
「ナイゲン 暴力団版(2019年)」の後日譚。警視庁暴力団対策課が抗争を続ける4つの組織の代表を集め極秘で手打ちさせようとするが……な会議劇。
題材にしても役になり切った出演者たちにしても一見いかついが、随所に笑いがあり、これ、日本のラジオ流のコメディだよね。とはいえそんな中に世相への皮肉・揶揄もあるのが巧いところ。
あと、台詞の中に前作の登場人物の名前も出てきて「あの人はそうなったのか」的な面白さもあった。(もちろん前作を知らなくても問題はない)

秘密
劇団普通
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2025/05/30 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/06/04 (水) 14:00
母の入院中に父が腰を傷めたことにより実家に戻ってきた娘、という状況での会話劇。
舞台上にはダイニングテーブルと4脚の椅子、それに場によって扇風機や暖房機があるだけ、と極端なほど簡素なのに会話や演技の「間」によるものか極めて写実的に感じられるのがこの団体の真骨頂。
また、マスクやフェイスシールドなどコロナ禍の真っ只中で上演された作品という感じがひとしお。
さらにアフタートークでの「(演劇表現的に)堂々と嘘をつく」という徳永京子さんのご指摘に今まで劇団普通の観劇後に漠然と感じていた「ナニカ」を言語化していただけた感じで大きく頷いた。それ以外にも「石黒演出の秘密」に触れることができてとても有意義だった。

ガマ
劇団チョコレートケーキ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/06/03 (火) 14:00
太平洋戦争末期、沖縄の鍾乳洞(ガマ)で遭遇した6人による物語、照明の暗さが状況を際立たせて閉塞感が半端ない。
初演も観ていたが、今回は「臣民」「聖戦」「日本人として死ぬ」などを女学生に刷り込んだ(と言うより洗脳した?)当時の愛国教育の恐ろしさが際立っているように感じた。
なお、最終場面で連想したことは確認したら初演時にも思っていた。

『ひかりあるところ』
ウテン結構
六本木ストライプスペース(東京都)
2025/05/27 (火) ~ 2025/06/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/31 (土) 12:05
ある公演の開演間際に駆け込んだ客が予約した名前を名乗るとその客は既に入場していると言われ……なゴウアーにとって「あったらコワい」状況から始まる物語。
その状況を実際の受付があるフロアで見せてから階下の客席に移動して展開する本編は入れ子構造と並行世界系を混ぜ合わせたようで胡蝶之夢の味わいもあるという個人的好みのもの全部載せ状態、こういうの大好き♪
なお、出だしのシカケになかないで、毒きのこちゃん/劇団森 企画公演「ハロー!新宿ちゃん。」(2013年)を懐かしく思い出したりもした。

僕は肉が食べたくて裸(ラ)
南京豆NAMENAME
新宿シアタートップス(東京都)
2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/30 (金) 14:00
とある男女の少年期から末路(?)までを描いた2時間余。
時制がしばしば前後したり中心人物を演ずる役者が描かれる時期によって違ったりして戸惑いもあるがそういう表現方法も含めて面白い。
いわゆる「無軌道な」「若者の生態」が活写されているというか、「身近にはいないがそういう若者もいるかも?」と思わせる「妙な説得力」がある、みたいな?(笑)
なお、漠然とアーサー・ペン監督「俺たちに明日はない(1967年)」を連想……って実は未見なのだけれど……(爆)

蝉追い
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/05/27 (火) ~ 2025/06/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/29 (木) 14:00
老齢の父に何やらアヤしい女が付きまとっているとの噂を耳にした三姉妹が様子を伺っていると……な物語。
冒頭場面から笑いも多く、その後の展開もいつもの「重悲劇」と趣を異にする。
老父の認知症の度合いが次第に深まってゆくのはおそらくは大多数の人が経験するであろうことであり確かに切ないが「受容できる」感じ。
そして幕切れも状況の進展(とはいえ「好転」ではない)なのでいつもよりマイルドに感じたのかも。
そしてその中に親子の情をしっかり描いているのはやはり桟敷童子と言えようか。
こういうのもイイなぁ♪

煙が目にしみる(脚本・演出|堤泰之)
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/25 (日) 13:00
たぶん二桁回数観てはいるものの気が付いたらここ10年以上観ていなかったがやはり名作。
熟知しているだけに先が読めたりもするが「あー、そうだったなぁ」などと思いながら観るのも一興。「極私的好きな戯曲TOP10」のうちの1本の地位は揺るがずといったところ。
来月観る他団体での上演に対する期待もさらに高まる♪

あさがお企画『楽屋』
あさがお企画
六本木ストライプスペース(東京都)
2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/24 (土) 14:00
昨年の初演も観ていたが終盤の「ある時点」まで女優A・Bの顔を見せない演出が特色にして秀逸。そしてその後に展開される「アレ」も楽しい。
この会場、1年間延命との噂も耳にしたのでもしそれが事実なら来年もう1回観たいなぁ。

12 人の怒れる人々
劇団フーダニット
高田馬場ラビネスト(東京都)
2025/05/23 (金) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/24 (土) 14:00
男性5人女性7人による混成版。今まで延べ20回近く観てきたが「12人が陪審員番号順に座らない」「時として同時多発会話(※)にしたり食い気味に台詞を発したりする」という演出は初めて観た。
そしてこれが(弊害もあるものの)会議などの場における「自然さ」を出していたと思う。
※ 対象人物以外をスローモーションにすることで会話をクローズアップしたOuBaTo-Riのさひがし演出の真逆

高尾山へ
さよなら人生
スタジオ空洞(東京都)
2025/05/22 (木) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/23 (金) 14:00
学生時代に山サークルで同期だった2人が20年以上ぶりに新宿で遭遇してそのまま高尾山に行ったエピソードを軸にそれぞれの人生(?)を浮き彫りに。
中心人物2人の対照的な造形が演者の個性を際立たせてリアリティがあり「不惑」どころか惑いまくりの四十代を活写していたと思う。
また、時制の前後させ方や背後の美術なども巧みだった。

琴弾鳥の嘘 ~探偵 御手洗泰親 登場~
演劇企画戯舎
「劇」小劇場(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/22 (木) 19:00
太平洋戦争のインパール作戦で重傷を負い記憶も喪失して復員した男をめぐるミステリー。(以下ネタバレBOXへ)

母さんが嫁ぐ日
Kトゥエンティワン
シアター711(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/22 (木) 14:30
継母の誕生日(かつ結婚記念日)のプレゼントの相談に毎年集う三兄弟、今年は結婚30周年ということで張り切るが、母が再婚するようだと耳にして、なハートウォーミングコメディ。
終盤、それまで蓄積されてきた継母に対する正負両感情を爆発させる長男と、それを経ての大団円を筆頭に物語・演出ともに「昭和のホームドラマ」に通ずるあたたかさがあり懐かしかった。

奇譚 地獄たられば
グワィニャオン
萬劇場(東京都)
2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/18 (日) 14:00
一言で表現すれば「今様(もしくはグワィ版)地獄八景亡者戯」、
命を落とした者たちの地獄での処遇や地獄での「システム」を朗読劇で面白おかしく表現。
そして「朗読劇」には「ラヴ・レターズ」のように二人がソファに座ったままあるいはアニメのアテレコのように出演者が舞台後方の椅子に腰かけていて出番だけ舞台前面に出て台本を読む「静的なもの」と出演者が動いたり出ハケしたりしつつ台本を読む「動的なもの」があるが、本作は後者。さらに小道具に台本を貼って立ち回りをしながら朗読とは!(笑)
実はこれに近いスタイルはみきかせworks主催の中編朗読劇対バン企画「みきかせプロジェクト」(2010年~2013年)で観ており懐かしさを感じたが、立ち回りはさすがに初めて見た(驚)。
あと、バックステージ風味があるのもいかにもグワィニャオンらしい。

最終兵器ピノキオ〜蜃気楼の向こう側〜
X-QUEST
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/05/09 (金) ~ 2025/05/13 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ピノキオ(とシンデレラも少々)をモチーフに人類を絶滅させることができる最終兵器であるピノキオを鹵獲/破壊しようとする勢力も描いたSFバトルファンタジーアクションロマン(←なげーよ!(笑))。
得意の便利棒を使ったアクションは言わずもがな冒頭の自由落下しながらの空中戦場面で時折浮遊感を感じさせる演者たちのしなやかな動きが絶品。それに新旧ネタのパロディ/オマージュや詩的な台詞が加わり「トクナガ作品ど真ん中」な感じ。
また、イントレで組んだシンプルながら高低差のある装置やそれぞれの個性を表現した衣装など舞台美術も見事。
いやぁ、いいモン観たなぁ♪
衣装と言えばピノキオが「初號機カラー」なのにニヤリ。

音響劇『ドグラ・マグラ』
半畳の宇宙
本妙院(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/06 (火) 14:00
日本探偵小説三大奇書の1つを地の文の語り・役になっての演技、ムーブメントに歌/ラップなど様々な手法を使い、その場での墨流し映像を背後に投射して主に打楽器的な効果音も加えるというあの手この手、至れり尽くせりで原作に忠実な……というより整理し(当日パンフレットには相関図まである!)分かり易くしての(私見)演劇化。
それを池上本門寺の子院の本堂で三方囲み客席で上演するので雰囲気も絶妙。
この「奇蹟」の場に立ち会うことができて幸甚。
で、これ、「モダン・アングラ」あるいは「ネオ・アングラ」と呼称して良いですか?
いや、気分的には「シン・アングラ」が一番なんだが……(笑)
(「シン・」は一連の庵野秀明監督作から既成のものを尊重しつつイマの要素を加えた温故知新系の作品名に冠する接頭辞的なものと認識)

いつかの日の
こわっぱちゃん家
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2025/05/01 (木) ~ 2025/05/05 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/05 (月) 13:00
東京都下の2つの市の合併を背景に市役所職員を中心に同性婚を望む市民らも描いた物語……というのは事前情報で知っていたが後半で「そんな要素」も取り入れるとは!
そしてそれはテーマとしてはありがちではあるが、その切り口/描き方が斬新で感服。
また、市役所の受付カウンターを外食チェーンのように(笑)U字型に張り出させた装置、その工夫によって例えば割烹のテーブルなど複数の箇所として使って転換をスピーディーにするのもいつもながら巧み。

お歌とお芝居 「髑髏沼の女」
たすいち
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/02 (金) 13:00
幼い頃に父を亡くした主人公が失踪した母を探すことから始まる「マンガチックなアドベンチャー」。
(初演を観ていたからとは別の意味での)既視感満載なのは漂いまくる「昭和感」ゆえか?(大友克洋「AKIRA」っぽさもあったし)
そして配役と衣装が特筆モノな素晴らしさ。荒唐無稽な物語に妙な(演劇的)説得力を与えているんだよなぁ。
なお、前述の如く初演を観ていたが記憶に残っていたのはいかにも「あの3人組」っぽい楽曲のみ(爆)。ま、11年も前のことだしね。

あるアルル
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/01 (木) 14:00
特殊能力を持つ男と歴史的遺物(?)をめぐる「奇譚」。
しかしよくもまぁこんなブッ跳んだ話を思いつくもんだ。
思うに笠浦さんはまず「あるある」から「アルル(地名)」を発想してその関連事項も加えて物語を練り上げたのではあるまいか?
なので観劇中に気になった事項(地名とか画家とか)をネット検索するのもまた楽しからずや。

トワイライト2〜不思議な世界の短編集~
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2025/04/29 (火) ~ 2025/05/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/30 (水) 14:00
往年の米TVドラマリスペクト的企画第二弾は昨年上演した作品の再演と新作の2本立て。
「冥界裁判」(再演)は法廷ものの面白さに終盤で明かされる裁判長・弁護人・検察官の「素性」が「画竜点睛を打つ」感じ。
2編目の「被疑者X」は「逆BTTF」的時間もの?と思わせておいての……(ネタバレBOXへ)
とにかく好みのタイプ2本、面白かった♪