じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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アイドルは AT 車に限る

アイドルは AT 車に限る

怪奇月蝕キヲテラエ

新宿眼科画廊(東京都)

2024/04/12 (金) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

経営不振からローカルアイドルの免許取得動画をアップすることを考えた教習所、その合宿に参加した一般人は4年前に芸能界から去った後、動向が不明だった元アイドルで……な物語。
元アイドルとローカルアイドルはもちろん、経費節減から若手のみにしたために何らかのオタクだけ残ったという指導員たち、と個性的な人物たちが織り成すドラマが次第に元アイドルとその熱狂的ファンだった指導員の二人に収束されてゆくツクリが巧みでアイドル人生を終えて個人として再出発することを坂道発進に喩えて「マニュアルだとエンストすることもある」という台詞でタイトルの意味も明かす終盤の会話が白眉。(別の「坂道ネタ」も序盤であったし(笑))
そうやって元アイドルの人間的魅力をクローズアップして〆る作劇、シビれたなぁ。

電撃メトロ

電撃メトロ

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/04/13 (土) 13:00

内戦勃発により国別に設置された地下鉄の駅内のシェルターに避難した日本人たちの物語。第一幕ではシェルターでの様子、第二幕では内戦終息後の各人物を描いているが、昨今の世界情勢から妙なリアリティを感じさせる。
そして終盤の「あの台詞」はずっとそうあって欲しいという堤さんの願い/祈りと受け取ったが、それが痛烈な皮肉に聞こえてしまう現状……。まさにイマの世界(特に日本の)情勢に警鐘を鳴らす意欲作と言えよう。

ネタバレBOX

終盤の「あの台詞」とは「日本という国は戦争をしないし日本人は優しくて思いやりがある」というもの。
哀しいかなこれが痛烈な皮肉に感じられてしまうイマの日本の姿……
アオハルじゃねえ! 青春(せいしゅん)だ!

アオハルじゃねえ! 青春(せいしゅん)だ!

劇団S.W.A.T!

「劇」小劇場(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/11 (木) 14:00

【女子校Ver.】
男子校Ver.を観ながら漠然と予期した通り「男子校Ver.が基本形、女子校Ver.は応用編」または「直球の男子校Ver.、変化球の女子校Ver.」な印象で、「あれはそう変えたのか」と「そこはそのままなんかい!(笑)」がそれぞれあって2倍以上楽しめた。
また、男子校Ver.を観て展開を知っていたのでより感情移入ができたのか感動も大きめ(変化球なのに(爆))だった希ガス、いや気がする。

アオハルじゃねえ! 青春(せいしゅん)だ!

アオハルじゃねえ! 青春(せいしゅん)だ!

劇団S.W.A.T!

「劇」小劇場(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/04/09 (火) 14:00

【男子校Ver.】
昭和40年代に日曜夜8時から放映されていた一連の学園青春ドラマを彷彿とさせるコメディ。それらのドラマを観て育った身として「それな♪」なあるあるネタや劇中使用曲、さらには当時の流行りものなどあれこれ懐かしい。
中心となる8人の高校生は往年(ってもう半世紀以上前か!(汗))の「柔道一直線」どころではない年齢差の面々(爆)が演じているが、茶化しも照れもない本気(ほんき/マジどちらでも可)の演技なので違和感がないどころかむしろ説得力があり、ラストでは感動までさせてしまうのが不思議……いや、見事でスゴい。(贔屓目か?(笑))
予約済みの女子校Ver.も楽しみ♪

新ハムレット

新ハムレット

早坂彩 トレモロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/27 (水) 14:00

事前に青空文庫で「はしがき」を読んで臨んだので太宰による「あの人物/設定なら自分だったらこうする」的な二次創作(=薄い本?(爆))として観てあれこれ得心。
先入観もあってかいかにも日本的で太宰らしい(いや、そんなに太宰作品に接した訳ではないが)気がする。
また、その感覚は紋付やインバネスコートに山高帽という古き日本を思わせる衣裳による部分も少なからずあるな。そしてその衣裳がそれでなくとも的確な配役に更なる説得力を持たせて印象的。
更にシンプルながら造形美を感じさせ盆のように回る装置もセンスが良くて好き♪

いーはとーゔぉ

いーはとーゔぉ

東京ノ温度

新宿眼科画廊(東京都)

2024/03/22 (金) ~ 2024/03/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/03/26 (火) 15:30

割引クーポン付きのメールに誘われて訪れた一風変わったレストランで体験する奇妙な出来事……。
最初の「異変」は風の又三郎モチーフが明白ながら以降は人物名に引用がある程度でほぼオリジナル(と感じた)なのがやや期待外れ。
もちろん面白くはあったが欲を言えばもう少しワカり易い引用があればなぁ、的な。

nitehi : kedo

nitehi : kedo

こわっぱちゃん家

「劇」小劇場(東京都)

2024/03/21 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/24 (日) 13:00

「え、えすえふ!?」な場面で幕を開ける家族愛の物語。
「人の気持ち」を前面に押し出すための背景として一見整然として理論的なSF設定を使うことに某団体やあの作家のアレなどを想起、こういうの、好きなんだなぁ。
そうして迎えるクライマックス、異なる「別れ方」をした二家族それぞれの「再会」を見せ今後の行く末を期待させるのも巧いがそれに加えて第3のケースで尊厳死にも触れて深みを持たせるのが実に見事。
また、ダイニングテーブルがあるリビングを前面上手に、丸い座卓がある茶の間(座り芝居でも見易いように床が高め)を前面下手に配して二家族を描き後方に研究室があり、さらに後半でもう一つのシカケが現れるという装置も機能的でいつもながらに感服。
あと、主宰が出演することもあるが開演前に舞台監督さんが地震発生時の対応について説明したのも説得力があった。

ネタバレBOX

「某団体」とは演劇集団キャラメルボックス、「あの作家のアレ」とは梶尾真治のクロノス・ジョウンターの伝説にこと。
また、後半で装置の上方奥に病室が出現して「そう言えばこの劇場舞台ってもっと奥行きがあったっけ」と。
ご臨終

ご臨終

制作「山口ちはる」プロデュース

下北沢 スターダスト(東京都)

2024/03/19 (火) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/21 (木) 15:00

山崎洋平作品としては珍しい(偏見?)王道ホームドラマ。
父が倒れて一週間、夜に見舞いから一旦実家へ戻った四姉妹と長女の夫、ラーメン店を営んでいた父の弟子の6人による会話劇。会話の中からそれぞれの関係や状況、さらに姉たちに対する四女の想いなどが自然に浮かび上がってくるのが巧み。
また、そんな脚本に更なるリアリティを持たせた演出・演技も見事。

『人形の家』激論版/疾走版

『人形の家』激論版/疾走版

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/19 (火) 14:00

【激論版】
re-mixあるいはコラージュな疾走版に対してこちらは真っ向勝負の正統派。知人から散々情報が入っていた噂の人物と(疾走版では遠目に見た程度だったが)ようやく挨拶ができた、的な?(笑)
で、妻が何のためにそうまでして工面したかなど考えず自分(というか「家」)の体面を尊重するトルヴァルが「ちっせぇヤツ」に見えて「当時はこれが一般的なオトコの姿勢だったの!?」と。そして、こんな風に初演当時と現在の「意識の違い」を実感できるのも演劇(とか文学とか)の面白味(の一つ)と気付く。
そう言えばあらすじを紹介しているもののほとんどが主人公はファーストネーム、その夫はファミリーネームだが、これも「家」を念頭に置いたためか?と思ったり。
また、冒頭とラストの「アレ」はテーマあるいはノーラの暗喩?とも。で、そのパフォーマーでもある大塚さんの4役演じ分け(操演(?)込み)が愉しい。あと、疾走版を先に観て中3日空けて激論版を観たら疾走版が「壮大な予告編」と思えたり。(笑)
なお、Wikipediaで過去の上演時の配役を見てりゅーとぴあプロデュース(2019年)に大いに納得。(笑)

蛇ヲ産ム

蛇ヲ産ム

日本のラジオ

新宿眼科画廊(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/19 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/18 (月) 15:00

夏の風物詩「怪談語り」的に始まりすぐに「ほん怖」よろしく再現場面が演じられて繰り広げられる怪異譚。タイトルがタイトルだし冒頭の会話から物語(なのか?)の軸は想像通りだがそれを取り巻く傍系の挿話がまた不可思議譚で何だか誰かの夢の中に引きずり込まれたような感覚が面白い。
また、場面によっては奇策(往年の惑星ピスタチオの手法も想起)があり「その意図は?」と考えさせられたりも。
あと、全体に漂う「不穏さ」やいくつかのモチーフが前日に観た映画「変な家」と共通でその偶然も併せて愉しめた。
なお、「カンポー!」もユーモラスで印象的。これ、その前の「西洋医学」で声をひそめているから効果倍増。(笑)
そう言えばタイトルにどこか既視感があったが川上弘美「蛇を踏む」だった。あれも奇譚だったっけ……。

ネタバレBOX

・オカしい人の本家/実家が田舎の山中
・受け継がれているヤバい因習
・心霊系でもスプラッタでもないホラー
などが「変な家」とカブるし、考えようによっては横溝正史作品とも通ずるかも?
『人形の家』激論版/疾走版

『人形の家』激論版/疾走版

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

【疾走版】
予てより芝居やドラマで「女性の自立」の代名詞的に引用されていて内容を漠然と知っていたものの観るのは初めての人形の家、いわば複数の知人からウワサに聞いていた人物と初めて対面した、みたいな(笑)。
事前にWikipediaなどで予習していたことに加えて当日パンフレットに「構成劇」とあったこともあり、出演者の人数が激論版よりも多いことや構成劇たる所以も冒頭場面だけで理解し、以降「あー、そう来たのね♪」と頬が弛みっ放しで観る。
いわば「人形の家 re-mix」あるいは「コラージュ人形の家」かもなぁ。(笑)
あと、漠然と思い浮かべていたタイトルの所以もちゃんと台詞で出てきて大いに納得。

ネタバレBOX

ノーラやトルヴァルを複数の役者が演じ、交互どころか時には同時に舞台上にいたり、終盤の会話を冒頭に持ってくるばかりでなく何度か繰り返すなどの手法が楽しいが、予備知識なしに観るとややワカりにくいかも?
『口』

『口』

エンニュイ

王子スタジオ1(東京都)

2024/03/05 (火) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/10 (日) 13:00

デジタル機器操作を得意とするプロジェクトチーム構成員と不得手なリーダーという演劇的スケッチで始めるがすぐに哲学じみたモノローグや彼ら……というより演者たちのゲームなど脈絡なさげな部分を挿入して観客を煙に巻く「得意の展開」(笑)に翻弄される。
が、6年前のまだ解り易かった頃から観てきた身ならともかく、初見の方々には建て増しを続けてきた旅館のように複雑化した「八艘飛び」ならぬ「発想跳び」構造はとっつきにくくなってきたかも?な気もする。
で、壁に設置されたモニターに出ていた文字列、発せられた台詞(や前説)を音声入力で変換したものとのこと。普通の早さの話し言葉を誤変換などもありつつあれだけ即時に変換できるという技術の進歩にオドロキ。
また、欠勤を続けている山口さんを訪ねる部分では以前の「無表情な日常、感情的な毎秒」の一挿話を思い出したりも。(やっぱり「建て増し」だ(笑))
それにしてもどこまで台本でどこが即興なんだか???

ネバーエンディング・コミックス

ネバーエンディング・コミックス

東京にこにこちゃん

駅前劇場(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/03 (日) 13:00

アニメ一辺倒だった同級生たちに(紙の)マンガを布教した転校生、彼女が一番好きなマンガは長年続いていたがしばらく執筆休止状態の作品で……から始まりその後の同級生たちも描いた物語。
舞台前面の上手と下手にある幕/スクリーンによる素早い場面転換を活かしてのテンポ良い展開と笑いでぐいぐい引き込むのが巧みで、実は同級生の一人の父であるマンガ家なども含めてそれぞれの「マンガ愛」を語って愉快。
なお、途中のオープニングとしては遅くエンディングとしては早い妙なタイミングのタイトルクレジット、アフタートークで萩田主宰から「小学生時代をアヴァンとしてタイトルクレジットがあり本編、という構想だったが「間違って」小学生編が50分にもなった」との言い訳(笑)があって納得。
しかし上演時間105分強で50分経ってクレジットって、オープニングでもエンディングでもなくほぼ真ん中じゃん!画期的!!(爆)

エアスイミング

エアスイミング

カリンカ

小劇場 楽園(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/01 (金) 14:30

冒頭2~3分でその膨大な台詞量を予期して舌を巻いた通り、とある施設に入所している人物二人の会話、会話、また会話……。
登場人物に憑依された演者二人の時にヴィヴィッド、時にしっとりした言葉のシャワーを浴びているうちに過ぎ去る「演劇」を「体感する」110分、スゴかった。
また、頻繁に挟まれるスタンダードナンバー(脚本での指定と推測)によってどこか和やかになる気がすることにNHKの「美の壺」に通ずるものを感じたりも。
あと、「いかにも翻訳劇」な台詞も「演劇」っぽかったか?

猛獣のくちづけ

猛獣のくちづけ

くちびるの会

OFF OFFシアター(東京都)

2024/02/22 (木) ~ 2024/02/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/27 (火) 14:00

人間が突然ワニになってしまうという異常な事態の中、自分がワニにならないよう、また、知人と共にワニになった者を人間に戻そうと奔走する主人公……なハナシ。
事前に目にした感想の大半で語られていたように確かに「シュール」ではあるがむしろ寓話として「ワニになるとはどういうことか?」「人間であり続けるとはどういうことか?」を問い、「人としての在り方」というか「人生の愉しみ方」を示唆しているのではあるまいか?
なお、観ながら黒沢監督「回路」(2001年)を想起し、終演後に山本主宰に問うてみたらご存知ないそうで、やはり似た発想をするクリエイターはいるのだなぁ、と思ったりも。

ファンタスティックベイビーズ

ファンタスティックベイビーズ

guizillen

王子小劇場(東京都)

2024/02/21 (水) ~ 2024/02/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/23 (金) 14:00

とかく生きづらい世の中をどうにか生き抜こうとする人々の群像劇……と言うよりは「エッセイ演劇」的な?
コロナ禍で活動を自粛していた4年間に鬱積されたものを登場人物に擬人化し社会問題/世相を戯画化した、みたいな。
なので笑いでコーティングされているものの観ていてけっこうツラい。それでも何とか観続けられるのは「何らかの救い」を期待させるものがあるからか? そうして迎えるラストの5文字・4文字・3文字……ヤラれたぁ。しかし前振りがあったとはいえあの3文字、ズルくね?(笑)

ノーザンライツvsメキシカンギャング

ノーザンライツvsメキシカンギャング

大統領師匠

「劇」小劇場(東京都)

2024/02/17 (土) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/23 (金) 14:00

一言で表現すれば(((ハードSF+なんちゃってSF)÷2)+コメディ)÷2+微量の哲学?
「ん、これは?」な短いプロローグに導かれて始まるのはタイトル通りのスペース活劇風……だが、それはやがて「宇宙航行系SF」の定番の一つ(かつある意味ハードSF)に転じしかしコメディ要素も加えつつやがて「んなムチャな!(笑)」な「なんちゃってSF」まで加味してさらにそんな中に二通りの子を想う親の気持ちも練り込むという欲張りさん。が、それらが絶妙なバランスを保って成立しているのは見事。そうして迎えるラストは○○○/○○○で、これ、好きだなぁ。(たぶん贔屓目だ(爆))
また、序盤のタイムループかパラレルワールドか?はたまた「ドグラ・マグラ」的メタ構造か?な部分もツボ。
あと、ダブルコールでの遊佐さんの挨拶の〆が「これからも大統領師匠と小劇場をよろしくお願いします」だったの、カッコいいぞ。

ネタバレBOX

基本となる「地球に宇宙規模の大災害が訪れるので選ばれた人物を他の惑星に移住させる」というノアの方舟的な設定はアレックス・プロヤス監督「ノウイング」(2009年) を挙げるまでもなくSFの王道だし、航行中のコールドスリープも定番で「SF感」たっぷり。
そんな中で「そうまでして我が子のそばにいたい」親(正当)と「そうまでして我が子を生き延びさせたい」親(邪道/身勝手)を対比させるだけでなく前者はコメディ風、後者はシリアスに描くのも巧い。
伏せ字にしたのは「ラストはビター/ダーク」。あ、今思いついたが「ペシミスティック」?
しかしそこまでのいくつかと併せて考えるとある意味「哲学的」と言えるかも?(命題:生きる希望とは何か?)
柏原照観展

柏原照観展

牡丹茶房

スタジオ空洞(東京都)

2024/02/21 (水) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/02/22 (木) 14:00

私設美術館を開設するほどの美術蒐集家・その子たち・孫の三代を3つの時代で描いた連作短編集。
1編目は芸術家の業や傲慢さからの悲劇という印象だったが2編目の中盤あたりからサイコホラー臭が漂い、3編目は完全にそちらにシフトという……。
観劇直後は「新感覚ホラー」という印象だったが、帰路つらつら考えてみたら複数のモチーフに民間伝承の怪談話を思わせるものがあり、つまりこれは「モダンホラーの皮を被った古典怪談」ではないか?と思ったり。
また、すべては語らず謎を残したままシレっと次に移る構造に清水崇監督の「呪怨」(ビデオ版)も連想。そして、観客の想像に委ねる幅が大きいだけにいろいろな解釈ができそう。
あと、1編目は時代背景のためもあってか往年の「江戸川乱歩の美女シリーズ」を想起。(笑)

ネタバレBOX

1989年での舞佳の妊娠、発覚時点では近親相姦かと思ったが本人の言から処女懐胎と思い直す。
そしてケイが憑依したように見える2024年の由希の異変も考えてみると舞佳に宿ったのはケイの「執念(怨念よりもこちらだと思う)」あるいは「残留思念」であり、由希はケイの化身/転生ではないか?
霊などの子(あるいはそれ自体)を宿す処女懐胎は日本の怪談だったか海外の悪魔伝説だったか(あるいはその両方)になかったっけ?
『メコン流れ星』※2/25(日)15時公演開催します。※一部配役を変更しての上演となります。内容に変更はございません。当日券はキャンセル待ちとなります。

『メコン流れ星』※2/25(日)15時公演開催します。※一部配役を変更しての上演となります。内容に変更はございません。当日券はキャンセル待ちとなります。

ひげ太夫

テアトルBONBON(東京都)

2024/02/20 (火) ~ 2024/02/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/20 (火) 19:00

大スペクタクル冒険活劇アナログ人力絵巻、換言すれば欽ちゃん慎吾の仮装大賞を装置/小道具を使わずに見せるような手法の大の大人の大真面目な「ごっこ遊び(笑)」健在。いや、基本は「毎度おなじみ」だが、体力も要する作品を四半世紀以上も創り続けているのは尊い。
そして、設定や物語はアジアの伝説っぽい(私見)ものながらホログラフィやらレーダー探知機やらネットやらハイテクが登場するのに何故か違和感がないフシギさ(オカしさ?)もイイ。(笑)
あと、今回はそれぞれの所属団体でよく拝見しているお二方が親子役というのもツボ。

養生

養生

ゆうめい

ザ・スズナリ(東京都)

2024/02/17 (土) ~ 2024/02/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/16 (金) 14:00

百貨店の展示替えの深夜アルバイトの大学生(後に正規採用)二人と正社員による三人芝居。これも作者の実体験に基づくもの? だとすれば過去と較べて毒(?)が薄れてマイルドになった印象。
が、今回特筆すべきは3台の脚立を組み合わせた可動/変形式の大中小三大の装置を主とした舞台美術で「それをそう見立てるか」なども含めて堪能。
また、アルバイト時代と正規採用後を並行して見せ、ワキを同じ役者が片や正社員、片や後輩となる新入社員と演じ分けるのも面白い。

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