
『LUXOR』『読後感』
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2009/06/17 (水) ~ 2009/06/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
『LUXSOR』
一言で表現すれば「新感覚SFホラーミステリー」、論理パズルをヒントと解法を与えられながら解いてゆく感覚が「アタマのタイソウ」な前半、「異人たちとの夏」的世界を理系の作家が書くとこうなりますよ、な終盤、ともに従来の SPIRAL MOON にはなかったようなツクリなのに全体に流れるやわらかな空気は変わらず。
また、映画で言えばワイプのように、暗転せずに次の場にスイッチする手法も面白い。後から聞いた話では台本では暗転になっているそうで、こうすることによってブツ切れになる印象が薄ると同時に上演時間短縮にもつながる、的な。

ハニーハント、プーさんの
鹿と猿のシステム
劇場バイタス(東京都)
2009/06/14 (日) ~ 2009/06/15 (月)公演終了
満足度★★★
バラエティに富んで面白い
出演人数的にも6人全員が基本ながら何編かは3人だけや1人だけ、内容的にもブラック、シュール、ベタ気味、コントよりもむしろ時間ものショートストーリー、などバラエティに富んで面白い。
さらに、某テーマパークにおいてもその数日後の無人島でのサバイバル(!)においても展開がほぼ同じもの、脚本担当者が違うのに連作になっているもの、他の話と共通のキーワードがあるものなどアイデアも凝らされているのがミソ。

裁かれません
カリフォルニアバカンス
アイピット目白(東京都)
2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
ブッ跳んだ発想力に脱帽
出だしはお得意の「妙なリアリティのあるナンセンスコメディ」ながら、その後、地獄を乗っ取ろうと企む魔界の者たち、なんてサスペンス(なのか?(笑))に転じ、「(人は)変われないことなんてない」的な名台詞もちりばめつつ、「裁くことの重み・責任」や「どんな理由があろうと犯した罪は償わなければならない」などにも触れ、最終的には人情系の大岡裁きで締める、と様々な要素をバランス良く取り入れて完成度高し。かつブッ跳んだ発想力に脱帽。
また、いつものことながら出演陣もそれぞれのキャラになりきっており、それが「妙なリアリティ」の正体か?

ありふれた惑星
てがみ座
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
通常のオムニバス+α
静的な二人芝居「カシオペア」と動的な通常の芝居「鉄屑の空」の2編連作(各70分、転換・休憩10分)で、その対照的な組み合わせによって通常のオムニバスより+αがあると言うかおトク感があると言うかそんな感じ?(もちろん2編はリンクしている)
離婚することになった夫婦が共有物の分配にあたりクジで決めることにし、当たった方はその代わりに秘密を1つ打ち明けるという「カシオペア」は、その「秘密」の中からその夫婦の過去やそれぞれの心の内が浮かび上がってくるのが巧み。
それにしてもあのクジを引く場面、しかるべき側が当たりを引くのにはいかなるシカケが? まさかどちらが当たっても対応できるマルチな脚本というワケではあるまいな。
その夫婦(というか夫)の反射望遠鏡を修理のために預かっていた(←エピローグでそれが明かされる)町工場が取引先の勝手な事情によりあわや経営危機に…な「鉄屑の空」はどこか懐かしく(昭和のニオイがするような?(笑))、工員たちのキャラクターや会話がリアル。
また、2編とも明確なハッピーエンドではないのだが、ふんわりと包み込むような優しさでしめくくるのは心地好く、「奇蹟の星」とすることが多い地球を「ありふれた惑星」とするエピローグは斬新かも。
あと、チラシなどの事前情報から同じ部屋で時を隔てた2編かと思っていたらさに非ず別の場所での物語で、10分の休憩中に壁が展開したり一部が裏返ったり階段が出てきたりで転換するのも見モノ。
![ココロコロガシ[12日金曜日完売]](https://stage-image.corich.jp/img_stage/m/100/stage10077_1.jpg?585037)
ココロコロガシ[12日金曜日完売]
カプセル兵団
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
吉久主宰、ホントに好きねぇ(笑)
宇宙から来た「精神生命体」の「捕り物」に巻き込まれ、正義の生命体に身体を貸す(共存する)ことになった主人公の物語、過去に2度雨宮慶太作品を舞台化した縁から今回は雨宮慶太書き下ろしのオリジナル脚本で、それに吉久主宰の演出(とおそらく脚色も)と日替わりゲストが加わって三位一体な感じ…でもないか?(爆)
中盤以降はほとんど精神世界(と言うより「心の中」の方が的確か)で展開され、「心の強さ」がキーポイントになったりもするが、現実界でのゲーマーが「想像力」によって力の使い方にすぐ慣れるとか、性同一性障害の人物がいたりとかするのは上手い。
しかも、そういう世界の中で自在に変化(へんげ)する表現はここのお手のものだし。
もちろん「いつものあのネタ」もディケイドまで含めてあり、他にヤマトまで見せるとは、吉久主宰ってば、ホントに好きねぇ。(笑)

雨の起源 ~天皇ごっこ~
劇団再生
DRESS AKIBA HALL(東京都)
2009/06/12 (金) ~ 2009/06/12 (金)公演終了
満足度★★★★
持ち味を十分に発揮
新右翼活動家であり服役中に小説・評論を著した見沢知廉を描いたシリーズの書き下ろし最新版。出演者3人、上演時間30分と人数的にも時間的にもコンパクトサイズなので通常よりもストレートでわかりやすい一方で、やはり再生の持ち味を十分に発揮しており、「あ、なるほどぉ」と大いに納得。
なお、対劇団のバナ学のアイドルメドレーのイキオイには「なるほど中屋敷脚本を演ずる面々だ」とこれまた大いに納得。(笑)

逆鱗に唇を
地球割project
タイニイアリス(東京都)
2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
SFオマージュながらモチーフは…
かなり先の未来、地下の「現代遺跡」発掘に携わる「モグラ」の一員である主人公が「逆鱗」という鎧(的なもの)を身につけた暗殺者に抜擢(?)されて…な物語。
その内容にはかつてあらすじだけ聞いた(もしくは読んだ)「荒廃した地球で遺跡から宇宙船を見つけて旅立つ主人公」なSF、「モグラ」には映画『猿の惑星』における人類(「ニワトリ」「カモメ」は猿)を連想。
また、「20mの(人間搭乗型)ロボット」「60mの(地球上では3分間しか活動できない)巨人」「(人口冬眠中の人間の)腹に卵を産む宇宙生物」などのオマージュにもニヤリ。
さらに、後半には「玉青(たまお)」に関するくだりがあり、前回公演(初見)とリンクしていたりするのは嬉しい。
で、SFを装っていながら実はモチーフは人斬り以蔵だというハナシを終演後に高橋主宰から伺い、観ながら何か脳裏をかすめたものはそれか(2週間前に以蔵モノも観ていたし)と膝ポン。
なお、「土から離れたモグラは竜となって空に駆け上がる」なんて野田秀樹チックな言葉遊び(笑)なども思いつく。(…ってかそれも意図していたのか?)
あと、文字通りのプロセニアムと言おうか、額縁を思わせる縁取りでステージを囲った美術も面白い。時としてそこから役者が出て来る(ハミ出す?)のには、ある騙し絵を思い出したりもして。

ナナシ
30-DELUX
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★
さらに磨きがかかったアクション
家康の前に彼の命を狙う「四神無双」を斬ったという男「ナナシ」が現れ…というアクション時代劇。
それでなくともアクションには定評があるのに、今回は Action Club Mix ということでさらに磨きがかかった感じで一枚岩ではない「四神無双」とか「ナナシ」の正体とか意外性もたっぷりで先が全く読めない服部半蔵秘話、これまた少年社中とはかなり異なった毛利亘宏の作・演出も含めてお見事。

チキュウノミカタ
劇団†勇壮淑女
ウッディシアター中目黒(東京都)
2009/06/09 (火) ~ 2009/06/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
怪人が絶滅種指定!?
昭和58年の法改正により民営化(!)が可能となったため正義の味方が増えすぎて、もはや怪人が絶滅種指定(笑)されそうという「もう一つの日本」を舞台にした物語。
ヒーローもののパロディのフリをした(←ダブルミーニング気味)王道コメディ(レイ・クーニーなどが得意とする「でまかせの嘘でその場をしのいだツケが回って大慌て」のアレ)な前半から、「非戦」がテーマになる後半とσ(^-^) 好みのパターン2点盛りなのが「ギュウカレ」的。(笑)(女優系としては3点盛りで「ギュウカレ焼きそば」か?(爆))
が、オチのつけ方が異星からの侵略に対してヒーロー、怪人の双方が手を組むというもので、これには「非戦じゃねーのかよ!」なツッコミを憶えないでもない…(笑)
とは言え、棒遣い人形を使った回想シーンもペンダントを首にかけたり流れ星を見せたりなんて細かい技を含めてイイし、「無理という言葉で自分を縛ってはいけない…(中略)…大事なのは、信じること」なんて名台詞はあるし、モロモロで満足度かなり高し。

ハナウタ日和
IOH
シアター711(東京都)
2009/05/27 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★
新境地か?
清掃業を自営する父と息子2人・娘1人の4人家族のもとに娘の交際相手が訪れる日、永年家を出ていた母が突然戻り、娘のことを想っている従業員も巻き込んだ騒動を描いたホームコメディ系、ドタバタ気味に始まりながらも家族の秘められた部分が明かされるあたりからは優しさや温もりが漂い、100分程度の上演時間が短く感じられる。
以前の家族シリーズに比べて笑いも多く、しかし家族の絆もしっかり描かれている(←これは従来通り)のは新境地か、それともσ(^-^) がこういう系統を見逃していただけか?

当選確率 0%
TEAM JAPAN SPEC.
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2009/06/05 (金) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
カタそうな題材をドラマチックに
とある地方都市で、外部からも指摘されるほどの市政の弱点を改善しようと、在職20年を超える現職市長に対抗して市長選に立候補することにした若き(元)教師と彼の高校時代の同級生たちを中心とした激闘の1年間を描いた物語、前回公演『カイシャ』に引き続き「身近ではありながらとっつきにくいあるいは堅苦しそう」に思われる題材を取り上げながらもたとえばスポーツもののようにドラマチックに見せてしまうのが独特で面白い。(そういえばここって、スポーツもの(野球、フットボール、陸上など)も得意としていたっけ)
また、上演時間を2時間程度(この日のマチネはちょうど120分)とするために元の脚本をかなり削ったとのことで、確かに総集編っぽいというかダイジェストっぽいというかな部分はありつつ、1年という期間をテンポ良く見せることになって結果オーライ?
さらにネタがネタだけに選挙に関するトリビア(公示前に「候補」の文字を使ってはならないとか、演説会ポスターは2人の顔を載せなければならないとか)までまぶしてあって、勉強になる…とまではいかないけれど「そういうことなのかぁ」と納得。
で、主人公がアラサーだけにそのかつての同級生たちも広告代理店勤務から家業を継いだ者、主婦、バツイチなど様々だし、彼らの恩師で立候補を決めるまでは主人公の同僚でもあった人物や市民運動のリーダー的存在から現職市長や衆議院議員まで登場し、そういう多彩かつ個性的なキャラクターと演者がピタリとハマっているのも◎。

パイレーツ・オブ・トレビアン
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2009/06/05 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
得意ワザを封印しての挑戦作
従来の「想像力刺激演劇」的手法は控え目に、装置もキッチリ建て込んで、どちらかと言えば表現手法としてはオーソドックス寄りでパロディも少なめという、得意ワザを封印気味にしての挑戦作。
その分キャラクター勝負でもあり、「とんでもない」あるいは「跳んだ」キャラなども配しての三つ巴状態から共通の敵に力を合わせて挑む海賊たちの物語、「こんな芝居も打てるんですよ」な感じ?
その意味では舞台中央を三角に客席に突き出させて船の前部甲板に見立てた装置と照明、音響によって荒れた海などをちゃんと見せていたのも挑戦と言えるか?
いやしかし、こういう一般的な芝居だと「実験的」と思われてしまうのが、ここの特徴をよくあわらしている、みたいな?(笑)
次回公演は「あのRPGゲーム」がネタのようだけれど、はたしてどんな世界を見せてくれるのかしら?

流れ星
東京セレソンデラックス
シアターサンモール(東京都)
2009/05/20 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
あの幕切れはズルい(笑)
一種「逆バック・トゥ・ザ・フューチャー」な物語、06年5月のザ・ポケットにおける初演時は夏子の身勝手さが気になったのに今回そうでもなかったのは一度観ていたからか、それともここ3年の間にオトナになった…もとい、トシをとったからか?(爆) そういう事例も少なからずありそうな現実を知ったからってところか。
また、今回はマリー役の山田まりやが良かった。今までも何度か観てきたけれど、ホントにイイ女優になったモンだ。

高き霧の壁
理想現実
ザ・ポケット(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
観た甲斐アリ
少人数で出航せざるを得なくなる出だしからテンポ良くサスペンスフルにストーリーを進め、もちろん潜水艦ものではお約束の酸素不足ネタもある一方、こういう事態が発生した時の各国家のエゴなども描き、何度かのドンデン返しを経て最後は個人と個人の信頼によって締めくくるという、娯楽性、テーマ性ともたっぷりでスケールも大きい作品、観た甲斐アリ。

押入れのちよ
神道寺こしお商店街
「劇」小劇場(東京都)
2009/06/04 (木) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
優しさと切なさに彩られた怪異譚
山田太一の「異人たちとの夏」などと同系統の優しさと切なさに彩られた怪異譚(でありながらユーモラスでもある)、原作は未読なのであくまで推測の域を出ないが、原作の良さと脚色・演出による面白さがうまく噛み合っている感じ。
壁や押し入れの襖に紗幕を使い、照明によってそこに人物を浮かび上がらせるというのは時折ある手法ながらこの内容には効果的だし、テレビを観ているシーンの見せ方(テレビを表現した装置も含む)や主人公が住んでいるマンションの精巧なミニチュアを舞台下手端に置き、説明する場面でその屋上を開く(立てる?)とフロアの平面図になっているなどというアイデアも見事。
見事と言えば、タイトルロールを演じた安田杏の喜怒哀楽表現も良く、今後の活躍に期待。
また、同名別人の「ちよ」役、神道寺主宰も表情(ドアの新聞受けから見える目だけの演技もアリ)が楽しいし、ある意味オイシイ役。(笑)
さらに、連絡がつかなくなったカノジョの幻影を主人公が見る場面で、カノジョ役の女優(バレエ経験があるんだろな)にトゥシューズを履かせ、抱きつこうとするのをターンでかわすなんて演出も巧い。

ウマいよ!地球防衛ランチ
劇団ヘロヘロQカムパニー
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
「きだ」「ヘロQ」両テイストが融合
今回はきだつよしを作・演出に迎えており、かつてTEAM発砲・B・ZINをよく観ていた身として「きだテイスト」と「ヘロQテイスト」がうまく融合した仕上がりにニヤリ。
それどころか一部のキャラクターの後ろに背後霊のように発砲メンバーが見えたりもして…どころか、セガ:きだつよし、ミウラ:小林愛、シイガニ:武藤晃子、リンダ(かな?):福田千亜妃なんてあたりはモロ。(他にも発砲だったらアノ人、なんて考えながら観ていたり…)
06年1月の『闘え!クロスダイバー!! ~改造され果てて…~』ではカプセル兵団の吉久直志を作・演出に迎えていたし、こういうコラボ企画、またやって欲しいものです。ところで、誰がイイかなぁ…。

炭酸の空
津田記念日
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★
いかにも王子、いかにも冨士原作品
いかにも王子、いかにも冨士原作品(笑)。(…とか言って冨士原作品は他に1編観ただけなのだが(爆))
核戦争後にシェルターで暮らす5人の男女(+α)を描いており娯楽性は無きに等しく圧迫感・閉塞感さえあるというのに不思議と眼を逸らさせない求心力のようなものによってグイグイ引き付ける感じ。
また、各人の「その日」の迎え方にそれぞれリアリティというか説得力というかがありつつ、女性の方が前向きに感じられるのは気のせい?オトコのひがみ?(笑)
あと、状況が状況だけに非常に静かなシーンが多く、そこに不定期かつ頻繁に入る低音ノイズも効果的。状況説明に加えて観客に対する心理的効果もある…みたいな。
なお、この回は終演後に「バックステージツアー」(25分くらい?)があり、津田主宰と装置の濱崎賢二氏による演出意図や装置の意図(閉塞感を出すため天井をつけた等)などの説明があった後、ステージで細かい部分を観察したり照明の当たり方を体験したりできたばかりでなく、奥のハケ口から楽屋を通りロビーを通ってステージに戻るという「ツアー」(笑)まで…。
通常のアフタートークとはまた違った切り口で、こういうのも面白い。
あ、そうそう、今回の装置プランは風琴工房の『機械と音楽』にインスパイアされた、なんて話にも大いに納得。

マイハマ・バイス
ATTENTION, PLEASE!
Duo STAGE BBs(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
完成度はかなり高い
タイトルは某人気海外ドラマのもじりだが、決してパロディ系のコメディではなく、かなりシッカリしたサスペンスものかつ人間ドラマ。
しかも某有名テーマパークのトリビアもふんだんにまぶしてあり、その完成度はかなり高い。
「夢を与えること」「夢を信じること」を通奏低音のように流しつつ、深夜に起きた爆破事件の真相にジワジワと迫り、思いもよらないドンデン返しを経てちょっぴり泣かせた後に微笑ましく締める構成が巧いし、本筋の流れを邪魔せず、高まった緊張感をフッと和らげるユーモラスな部分の配し方も絶妙。
また、荒天による繰り上げ閉園を詫びるスタッフ…じゃなくてキャストとか、真剣に客に夢を与えようと努力するキャストの心を踏みにじる経営陣への警鐘など、テーマパークのキャストの姿勢がクローズアップされており、考えてみると客に夢を与えて喜んでもらうキャストは、そのまま芝居を創り上げて観客に喜んでもらうという現実の彼らの姿に通ずるワケで、芝居に対するキモチが如実に顕れているバックステージもののバリエーションとも言えるところにツボを突かれる。
さらに、観客をテーマパークの入場者に見立てての前説アナウンスもセンスがイイし(そもそもこのアナウンスで「ヤるな」と期待値がアップして、本編はその期待を裏切らない…どころかはるかに上回っていたってくらいで)、5人のダンサーを時には場転に、時にはテーマパークのダンサーに、さらにクライマックスで重要なアイテム(?)にも使うというアイデアもイイし、ミツキ(美月?三月?)の殴られたメイクとか(現実の)受付スタッフが「CAST」と入ったバッジを付けているとかの小ワザも利いているし、モロモロで満足度高し。

ロング・ミニッツ【満員御礼で終了!】
DART’S
エビス駅前バー(東京都)
2009/05/30 (土) ~ 2009/06/02 (火)公演終了
満足度★★★
一長一短か?
恵比寿駅近くのバーでのカウンターの客5人と従業員による物語、中の1人が同じ時間を何度も繰り返すという時間ものではお馴染みのスタイル。
ただ、繰り返す「イニング」が7分間で、これをリアルタイムで見せるという「縛り」のために、徐々にスピードアップするとか、ある回はアッという間に終わるとかの変化をつけることができず、単調になってしまう弱点が無きにしも非ず。
逆にアンハッピーな終わり方あり、別の人物にとってのアンハッピーあり、良い側に向かったものあり、といろんなパターンがありながら、それでもループから抜けられないという主人公の焦燥感は観客にそのまま伝わるワケで、一長一短か?
とはいえ、オチがちょっと弱いか?惜しい…

土星の端からはらはらと
タムチック
名曲喫茶ミニヨン(東京都)
2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
他団体のカフェ公演とは一線を画す
2人の女性と、彼女たちの前に現れた、他人には見えない「少女」とを中心とした物語、他団体(2つ3つ観た)のカフェ公演とは異なり、最初(とその後いくつか)の場こそ喫茶店内ながら、他の屋外も含む4~5箇所(or more)も店内のあちこちを使って表現するのが独特で面白い。
また、ストーリー全体の構成はもちろん、特に1場、2場において、かなり早い段階で(=具体的に「それ」を表す言葉が出る前に)会話の内容から状況や人物の関係を観客に伝える脚本も上手い。
さらに、最後まで「少女」の正体を明かさない(電車事故で亡くなった人物かと思わせるミスリードも含む)のも上手いっちゅうかズルいっちゅうか…(笑)
ま、後半で示されるヒントなどから、どうやらアレは尚子と涼子それぞれの少女時代の自分自身、あるいは少女時代に置き忘れてしまったものが具現化(?)して現れたものらしいと推察されるのではあるけれど。
あと、脇キャラの強烈な個性も楽しかったなぁ。