
パイレーツ・オブ・トレビアン
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2009/06/05 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
得意ワザを封印しての挑戦作
従来の「想像力刺激演劇」的手法は控え目に、装置もキッチリ建て込んで、どちらかと言えば表現手法としてはオーソドックス寄りでパロディも少なめという、得意ワザを封印気味にしての挑戦作。
その分キャラクター勝負でもあり、「とんでもない」あるいは「跳んだ」キャラなども配しての三つ巴状態から共通の敵に力を合わせて挑む海賊たちの物語、「こんな芝居も打てるんですよ」な感じ?
その意味では舞台中央を三角に客席に突き出させて船の前部甲板に見立てた装置と照明、音響によって荒れた海などをちゃんと見せていたのも挑戦と言えるか?
いやしかし、こういう一般的な芝居だと「実験的」と思われてしまうのが、ここの特徴をよくあわらしている、みたいな?(笑)
次回公演は「あのRPGゲーム」がネタのようだけれど、はたしてどんな世界を見せてくれるのかしら?

流れ星
東京セレソンデラックス
シアターサンモール(東京都)
2009/05/20 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
あの幕切れはズルい(笑)
一種「逆バック・トゥ・ザ・フューチャー」な物語、06年5月のザ・ポケットにおける初演時は夏子の身勝手さが気になったのに今回そうでもなかったのは一度観ていたからか、それともここ3年の間にオトナになった…もとい、トシをとったからか?(爆) そういう事例も少なからずありそうな現実を知ったからってところか。
また、今回はマリー役の山田まりやが良かった。今までも何度か観てきたけれど、ホントにイイ女優になったモンだ。

高き霧の壁
理想現実
ザ・ポケット(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
観た甲斐アリ
少人数で出航せざるを得なくなる出だしからテンポ良くサスペンスフルにストーリーを進め、もちろん潜水艦ものではお約束の酸素不足ネタもある一方、こういう事態が発生した時の各国家のエゴなども描き、何度かのドンデン返しを経て最後は個人と個人の信頼によって締めくくるという、娯楽性、テーマ性ともたっぷりでスケールも大きい作品、観た甲斐アリ。

押入れのちよ
神道寺こしお商店街
「劇」小劇場(東京都)
2009/06/04 (木) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
優しさと切なさに彩られた怪異譚
山田太一の「異人たちとの夏」などと同系統の優しさと切なさに彩られた怪異譚(でありながらユーモラスでもある)、原作は未読なのであくまで推測の域を出ないが、原作の良さと脚色・演出による面白さがうまく噛み合っている感じ。
壁や押し入れの襖に紗幕を使い、照明によってそこに人物を浮かび上がらせるというのは時折ある手法ながらこの内容には効果的だし、テレビを観ているシーンの見せ方(テレビを表現した装置も含む)や主人公が住んでいるマンションの精巧なミニチュアを舞台下手端に置き、説明する場面でその屋上を開く(立てる?)とフロアの平面図になっているなどというアイデアも見事。
見事と言えば、タイトルロールを演じた安田杏の喜怒哀楽表現も良く、今後の活躍に期待。
また、同名別人の「ちよ」役、神道寺主宰も表情(ドアの新聞受けから見える目だけの演技もアリ)が楽しいし、ある意味オイシイ役。(笑)
さらに、連絡がつかなくなったカノジョの幻影を主人公が見る場面で、カノジョ役の女優(バレエ経験があるんだろな)にトゥシューズを履かせ、抱きつこうとするのをターンでかわすなんて演出も巧い。

ウマいよ!地球防衛ランチ
劇団ヘロヘロQカムパニー
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
「きだ」「ヘロQ」両テイストが融合
今回はきだつよしを作・演出に迎えており、かつてTEAM発砲・B・ZINをよく観ていた身として「きだテイスト」と「ヘロQテイスト」がうまく融合した仕上がりにニヤリ。
それどころか一部のキャラクターの後ろに背後霊のように発砲メンバーが見えたりもして…どころか、セガ:きだつよし、ミウラ:小林愛、シイガニ:武藤晃子、リンダ(かな?):福田千亜妃なんてあたりはモロ。(他にも発砲だったらアノ人、なんて考えながら観ていたり…)
06年1月の『闘え!クロスダイバー!! ~改造され果てて…~』ではカプセル兵団の吉久直志を作・演出に迎えていたし、こういうコラボ企画、またやって欲しいものです。ところで、誰がイイかなぁ…。

炭酸の空
津田記念日
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★
いかにも王子、いかにも冨士原作品
いかにも王子、いかにも冨士原作品(笑)。(…とか言って冨士原作品は他に1編観ただけなのだが(爆))
核戦争後にシェルターで暮らす5人の男女(+α)を描いており娯楽性は無きに等しく圧迫感・閉塞感さえあるというのに不思議と眼を逸らさせない求心力のようなものによってグイグイ引き付ける感じ。
また、各人の「その日」の迎え方にそれぞれリアリティというか説得力というかがありつつ、女性の方が前向きに感じられるのは気のせい?オトコのひがみ?(笑)
あと、状況が状況だけに非常に静かなシーンが多く、そこに不定期かつ頻繁に入る低音ノイズも効果的。状況説明に加えて観客に対する心理的効果もある…みたいな。
なお、この回は終演後に「バックステージツアー」(25分くらい?)があり、津田主宰と装置の濱崎賢二氏による演出意図や装置の意図(閉塞感を出すため天井をつけた等)などの説明があった後、ステージで細かい部分を観察したり照明の当たり方を体験したりできたばかりでなく、奥のハケ口から楽屋を通りロビーを通ってステージに戻るという「ツアー」(笑)まで…。
通常のアフタートークとはまた違った切り口で、こういうのも面白い。
あ、そうそう、今回の装置プランは風琴工房の『機械と音楽』にインスパイアされた、なんて話にも大いに納得。

マイハマ・バイス
ATTENTION, PLEASE!
Duo STAGE BBs(東京都)
2009/06/03 (水) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
完成度はかなり高い
タイトルは某人気海外ドラマのもじりだが、決してパロディ系のコメディではなく、かなりシッカリしたサスペンスものかつ人間ドラマ。
しかも某有名テーマパークのトリビアもふんだんにまぶしてあり、その完成度はかなり高い。
「夢を与えること」「夢を信じること」を通奏低音のように流しつつ、深夜に起きた爆破事件の真相にジワジワと迫り、思いもよらないドンデン返しを経てちょっぴり泣かせた後に微笑ましく締める構成が巧いし、本筋の流れを邪魔せず、高まった緊張感をフッと和らげるユーモラスな部分の配し方も絶妙。
また、荒天による繰り上げ閉園を詫びるスタッフ…じゃなくてキャストとか、真剣に客に夢を与えようと努力するキャストの心を踏みにじる経営陣への警鐘など、テーマパークのキャストの姿勢がクローズアップされており、考えてみると客に夢を与えて喜んでもらうキャストは、そのまま芝居を創り上げて観客に喜んでもらうという現実の彼らの姿に通ずるワケで、芝居に対するキモチが如実に顕れているバックステージもののバリエーションとも言えるところにツボを突かれる。
さらに、観客をテーマパークの入場者に見立てての前説アナウンスもセンスがイイし(そもそもこのアナウンスで「ヤるな」と期待値がアップして、本編はその期待を裏切らない…どころかはるかに上回っていたってくらいで)、5人のダンサーを時には場転に、時にはテーマパークのダンサーに、さらにクライマックスで重要なアイテム(?)にも使うというアイデアもイイし、ミツキ(美月?三月?)の殴られたメイクとか(現実の)受付スタッフが「CAST」と入ったバッジを付けているとかの小ワザも利いているし、モロモロで満足度高し。

ロング・ミニッツ【満員御礼で終了!】
DART’S
エビス駅前バー(東京都)
2009/05/30 (土) ~ 2009/06/02 (火)公演終了
満足度★★★
一長一短か?
恵比寿駅近くのバーでのカウンターの客5人と従業員による物語、中の1人が同じ時間を何度も繰り返すという時間ものではお馴染みのスタイル。
ただ、繰り返す「イニング」が7分間で、これをリアルタイムで見せるという「縛り」のために、徐々にスピードアップするとか、ある回はアッという間に終わるとかの変化をつけることができず、単調になってしまう弱点が無きにしも非ず。
逆にアンハッピーな終わり方あり、別の人物にとってのアンハッピーあり、良い側に向かったものあり、といろんなパターンがありながら、それでもループから抜けられないという主人公の焦燥感は観客にそのまま伝わるワケで、一長一短か?
とはいえ、オチがちょっと弱いか?惜しい…

土星の端からはらはらと
タムチック
名曲喫茶ミニヨン(東京都)
2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
他団体のカフェ公演とは一線を画す
2人の女性と、彼女たちの前に現れた、他人には見えない「少女」とを中心とした物語、他団体(2つ3つ観た)のカフェ公演とは異なり、最初(とその後いくつか)の場こそ喫茶店内ながら、他の屋外も含む4~5箇所(or more)も店内のあちこちを使って表現するのが独特で面白い。
また、ストーリー全体の構成はもちろん、特に1場、2場において、かなり早い段階で(=具体的に「それ」を表す言葉が出る前に)会話の内容から状況や人物の関係を観客に伝える脚本も上手い。
さらに、最後まで「少女」の正体を明かさない(電車事故で亡くなった人物かと思わせるミスリードも含む)のも上手いっちゅうかズルいっちゅうか…(笑)
ま、後半で示されるヒントなどから、どうやらアレは尚子と涼子それぞれの少女時代の自分自身、あるいは少女時代に置き忘れてしまったものが具現化(?)して現れたものらしいと推察されるのではあるけれど。
あと、脇キャラの強烈な個性も楽しかったなぁ。

鴨川ホルモー
アトリエ・ダンカン
吉祥寺シアター(東京都)
2009/05/15 (金) ~ 2009/06/07 (日)公演終了
満足度★★★
「一長二~三短」な仕上がり
オニを出さずに操る人物の表情だけでホルモー場面を表現するなどの工夫もあるが、ムダや矛盾した部分などもあり、「二長一短」であった映画に対してこちらは「一長二~三短」な仕上がりなのが残念。主人公カルテットの一角を担う秋山奈々がせめてもの救い?

以蔵の一番長い日
アフリカ座
萬劇場(東京都)
2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
お光との「ふれあい」が胸を打つ
冷徹な暗殺者ではなく、人を斬ることに悩んだりもする人間味のある以蔵を劇団☆新感線の『いのうえ歌舞伎☆號 IZO』(08年1月)とは全く違った切り口で描いており、同じく心に傷を持った娘・お光との「ふれあい」が胸を打つ
。
また、「力石徹のテーマ」(だよね?)、「Let it be」(ま、ありがちっちゃありがち)、「みんな夢の中」(高田恭子ではなく最近のカバー)から「インターナショナル」(ぶっとびー!(笑))まで使う節操の無い(貶しているのではない:念のため)選曲や型破りの近藤・慶喜のキャラ設定に「時代考証その他、大幅にデタラメです」と開き直っていた(笑)倉本聰脚本の「浮浪雲」を連想。こういうの、好きだなぁ。
選曲と言えば最後に流れるのが橘いずみの「太陽」で、その歌詞がラストシーンの内容にかなり合っていて、これも見事

紙隠し
劇団ヒラガナ( )
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
大作にして力作
ターゲットを社会から消去し、新たな人物として生まれ変わらせる組織を中心とした物語、10分の休憩を挟み前半90分、後半70分の大作にして力作。休憩込みで3時間近い長さは感じさせないが、人物や組織の背景、状況説明に政治がかったテーマまで盛り込んだ前半はややモタつく感なきにしもあらず。
また、アクションシーンをフラッシュモーションで見せる演出は良いが、止めるべきところで止まっていないためグダグダに見えてしまうのが惜しい。
一方、舞台中央のニ階部分の土台を中央の通路部分を除いてほぼ丸ごと使った2つの大きなスクリーンにビル内廊下や公園などの背景や屋上から撤収するメンバーを拾うべく近づくヘリコプターの空撮映像を映写したり、開くエレベーターのドアを映写して生の演技とシンクロさせるのは見事。(AchiTION!などの手法と通ずる?)
シンクロと言えば映像で見せた後にヘリからの縄梯子にぶら下がった役者を天井から吊って見せるのも広義でそれに含まれるか。
また、プロローグ(←メイン部分の半年前の出来事)の「リベンジ編」となる後半はサスペンスアクション的要素もあり娯楽性たっぷり。これで前半のモタつき感を一掃、みたいな?

七人の息子
X-QUEST
THEATRE1010 ミニシアター(東京都)
2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
リングのようなセターステージで
母の葬儀で7人の息子たちが集結し、というオープニングからその少年時代に遡りショートコント風にエピソードを重ねるスタイルだが、終盤で死出の旅の途中に息子たちを見守る母の目線になるのツボを突かれる。また、中盤の「多数派少数派」コーナーにウケる
なお、31日に再見。

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)
MU
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
55分の中編2本立て
タイトル通り55分の中編2本立てで、1本目の「JUMON」は1人の女性を中心とした逆ハーレム状態の共同体に動機が多少不純気味の若者が参加志願した夜、「被害者の会」の女性たちも押し入り、「信子さん(ハーレムの中心)を待ちながら」状態の物語。
タイトルに「(反転)」が付いている通りオリジナル(未見)は男女が逆で、しかし単に性別を逆にしただけではなくかなり手が入っているとのことで、確かに手を加えなくては無理だろうな、な部分もあるし、そもそも「ハーレム」と「逆ハーレム」では参加メンバーの関係というか流れる空気というかがかなり違いそうで、オリジナルを想像することができず。オリジナルの再演があったら観てみたいモンだわさ。
また、「こんな方向にコトが動いている一方で、もう一方ではこんなことも起きていますよ」というところでスパッと切り落としたような終わり方が潔い。
「あ、ここで切りますか」な感覚に SPIRAL MOON の『世界は今夜も回ってる』(01年12月)に通ずるモノも感じる。
10分の休憩を挟んだ2本目の「便所の落書き屋さん」はハセガワ主宰曰く「挑戦でした」だそうで、初見であった『きみは死んでいる/その他短編』の3本&「JUMON」とは趣を異にするコメディタッチ。
落書きをすると願いが叶うという公衆便所に行った高校生カップルが、そこで生活している(!)かつての同級生と再会し…という物語。
高校生たちの会話のかけあい漫才のようなテンポの良さ(とその内容)が楽しいし、基本的には月9あるいは往年の日曜8時の日テレ系の青春ドラマ的なノリながら、終盤で官能系あるいはにっかつロマンポルノはたまた昼帯ドラマのようなドロドロが明かされるのが可笑しい。

マジシャンズ11
ACファクトリー
劇場MOMO(東京都)
2009/05/22 (金) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれ「ちょっとイイ話」
国内で功を成したマジシャンが渡米の前に訪れた「伝説のマジック・バー」はすでにつぶれていたが、その店に半世紀以上関わってきたという女性と出会い…というプロローグに導かれる62年、74年、86年を舞台にした3話(+α:85年頃か?)のオムニバス。
それぞれ「ちょっとイイ話」で、3話各編は一応独立しているものの、すべてに顔を出す脇キャラがいたり、という構成が巧み。
また、今回は劇団名に冠した2つの要素のうちA(アクション)を控え目に(どころか「封印して」と言っても過言ではない)C(コメディ)の要素を色濃く出して、本筋とコメディ部分の落差が大きかった前回公演よりもバランスが良くなり、そっちの面も◎。
なお、劇団BOOGIE★WOOGIEの『The Joker』のようにマジックも披露するのかと思っていたらまったく無かったのはやや残念なれど、他の要素で十分に楽しめたのでコレはコレでアリ。

東京のオトコ【全ステージ終了】
Theatre劇団子
pit北/区域(東京都)
2009/05/20 (水) ~ 2009/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★
身に覚えアリ的な?
とある結婚式場の新郎側控室を舞台とした披露宴直前の物語。
全体的にはスラップスティックコメディながら終盤で盛り上げるという基本に忠実と言おうか手堅いと言おうかで、大いに笑ってちょっぴりホロリの90分、若干(…いや、「かなり」か?)カリカチュアライズされているとはいえ「東京のオトコ」(東京には限らんか?)の情けない部分が強調されていて、共感というより古傷に塩を擦り込まれているような、身に覚えアリ的な?(爆)

雲南ジャッカル
ひげ太夫
明石スタジオ(東京都)
2009/05/20 (水) ~ 2009/05/25 (月)公演終了
満足度★★★
常に新しいワザを開発
中国を思わせる国の伝説的「むかし話」を女性のみのキャストがピスタチオ的手法に組体操まで採り入れて描く…というスタイルはもちろん、ストーリーの基本的部分まで毎回同じなのにマンネリにならず飽きさせないのは常に新しいワザを開発しているからか?(※)
今回は、料理屋の閑散としたカウンター席から一瞬にして沢山の客で賑わっていた頃の回想シーンにスイッチする見せ方が個人的にツボ。ここの手法ならではだよねぇ。
※ それに大衆演劇や月曜20時の某局の時代劇シリーズなどに通ずるノリもあるかも?(笑)
あと、前回のシアター風姿花伝同様、タッパがあまりない小屋ではありながら、その高さギリギリまで使った4段組みはさすがだな。

宇宙を育てる
味わい堂々
中野スタジオあくとれ(東京都)
2009/05/22 (金) ~ 2009/05/26 (火)公演終了
満足度★★★★
考えるな、感じるのだ
シュール気味、コメディ気味、ブラック気味、と様々な要素を「気味」レベルで少しずつ採り入れ、しかしどれも半端になることなく絶妙のバランスで配合されて他に類を見ない独特の「味わい」が生まれている感じ。
わかりやすい部分もありつつ、どちらかと言えば「考えるな、感じるのだ」なスタイル、アタマで理解しようとせずにその独特な感覚に身を委ねるのが心地好い。

SORA Short Ism
SORAism company
千本桜ホール(東京都)
2009/05/22 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★
見本市か博覧会か
ストーリー仕立てのものからショート・コント、果てはほとんど一発芸的なものまで各種取り揃え、全体を貫く1つのストーリーの劇中劇としてそれらをまとめた意欲作。
長さだけでなく、パターンもごく基本的なものから凝ったものまで、たとえば連作になっている短編とか、そもそもが劇中コントなのにさらに重層になっているものとか本当に様々で、見本市か博覧会か…ってなくらい。
ただ、盛り込みすぎな感もあり。これでも削ったとのことながら、もっと削って「腹八分目」とか「喰い足りない」くらいの方が良かったのでは?
時間的に決して長くはないが、含まれている本数が多いのでゴチャゴチャした印象になってしまったのがちょっと惜しい。

だいさんの男
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2009/05/20 (水) ~ 2009/05/26 (火)公演終了
満足度★★★
1点気にならないでもないが
ある殺人事件の時効が2~3時間後に迫った夜、被疑者の娘に時効成立後にプロポーズしようと思っているかつての担当刑事を中心に、この夜が逮捕する最後のチャンスと張り込むベテラン刑事やその周囲の人々を描いた物語。
タイトル等から被疑者である「大さん」が真犯人ではなさそうなことは暗示されているとはいえ劇中でそれが判明する前から現役警察官が時効成立を願っているという部分に若干ひっかかるモノはあるが、そこさえ目をつぶれば、王道コメディ的な前半から意外な真相が明らかになる終盤までよく出来ている。
ベテラン刑事の深読みが裏目に出る…というコメディのお約束的な部分も実は真犯人に関する伏線になっているなんざ上手いよね。
また、前説のおねーさんでもある宮本ゆるみの外国訛りの日本語がいつもながら見事なことに加えてさとう波子の北関東訛りもなかなか。(笑)