ストリッパー薫子
BuzzFestTheater
シアター711(東京都)
2015/11/11 (水) ~ 2015/11/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
これは
タイトルがタイトルだし、フライヤーもそれっぽく作ってあるので、場末感たっぷり。やや手を出しにくい感じがある。逆にそれがそそるので作戦成功だろう。満席で、オジサマたちの熱気がムンムンしていた。踊り子さんには場末感は皆無。綺麗で素敵でドキドキ。目のやり場に困る。物語もしっかりしてて見応えあり。驚くような展開はないけれど、笑いもセクシーも涙もバイオレンスもあって面白かった。稲村梓さんにはかなり驚いた。圧巻の豹変ぶり。啖呵を切る凄みも、幼児性も、もちろんセクシーも一級品。煙草の吸いっぷりとへそピアスの痕がリアルだった。水野奈月さんの踊りに完全に射抜かれた。あのブレない視線にタジタジ\(//∇//)\ しなやかなダンスと天使のような瞳に天性のアイドル性を感じた。もう一度観たくなる女優さんだ。末岡いずみさんは、踊り子と真逆の女性を好演。彼女に対して「小動物みたい」という台詞があったが、言い得て妙。強く同意する。作品に見事なアクセントを加えていた。幸多かれ…と願いたくなった。
平田オリザ・演劇展vol.5
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/11/05 (木) ~ 2015/11/18 (水)公演終了
満足度★★★★★
『走りながら眠れ』
伊藤野枝と大杉栄の登場する作品は、これまで何作品も観たが、今回の能島瑞穂さんが一番キュートで素敵だった。凛とした佇まいと無邪気さを併せ持って可愛らしく愛おしい。あの二人の古屋隆太さんがお茶をもらって言う「ありがとう」が自然で、ちゃんと感謝があって素敵。あんな風に夫婦がいつまでも「ありがとう」と言えたら幸せだろうなぁ。膝枕も気持ち良さそう。嬉しそうで羨ましかった。これまで観た中で最も幸せそうな大杉と野枝だった。話であることを意識せずとも楽しめる作品。秀作。
NBL大作戦
ゲキバカ
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/11/07 (土) ~ 2015/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
初めてだ
終演予定時間を30分オーバーする作品は初。「電車の時間がヤバイんじゃこりゃー」と怒りたくなる気持ちも湧かない程に面白かった。楽前で、みんなノリノリだったのでしょう。アドリブの応酬に爆笑。とにかく出演者のみなさんが楽しんでいることが伝わってくる。まさに学園祭の楽しさ。まるで、女の子のことしか考えていない男子中学生の頭の中のような作品。出演者紹介時のダンスのキレは超一級!伊藤今人さんから目が離せなくなる。
海の五線譜
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
カンパニーとして
力を感じた。異世代の俳優が所属していることの強みだろう。当たり前に家族の姿が立ち上がる。そこにいつも上質なノスタルジーが漂う。心をギュッと締め付ける吉田小夏さんの本と、そこに登場人物が確かに生きていると感じさせる俳優の力量に、ただただ敬服する。
お母さんが一緒
ブス会*
ザ・スズナリ(東京都)
2015/11/19 (木) ~ 2015/11/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
いつものこと
いつものことながら、綺麗な女優さんが揃っている。もちろん今回も、綺麗な女優さんを観て目の保養にしようと思っていた。そして大満足。ただ、ラストシーンの加藤貴宏さんの背中の、いや肉体の美しさにクラッとした。ペヤンヌさんの目利き凄いわ。出演者の裸(お肌)が綺麗。
もっとも迷惑な客死
上野くん、電話です
スタジオ空洞(東京都)
2015/11/17 (火) ~ 2015/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
天才
上野さんは恋愛ものを見事に描き、ラブコメだってイケる。『なんだよぉ、サスペンスはあかんなぁ。ネタ明かしし過ぎだろ…。』と途中で思わせておいて、ひっくり返してひっくり返してひっくり返しちゃう。ゴメンナサイ。参りました。脱帽。天才だ。
『記憶の化け物』(仮)
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2015/11/20 (金) ~ 2015/11/25 (水)公演終了
満足度★★★★★
あんなにも
あんなにもバカバカしくて矛盾ばかりのあり得ない設定にもかかわらず、それを凌駕する展開力と、堂々たる演技力にひれ伏す。いやぁ、凄い。髭面ですね毛の女はダメだ。笑っちゃう。それにしても、鮎川桃果さんのツンデレの破壊力は地球壊滅的威力。あの目に睨まれたら死ぬ。
みんなよるがこわい
劇団 贅沢貧乏
三鷹北口共同ビル(東京都)
2015/11/21 (土) ~ 2015/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
舞台は場所と融合する
あの場所を見事に反映させた作品作りに脱帽。これは現代の若い女性に起きたクリスマスキャロルだな。まるでスクルージに現れた精霊のよう。あるいは映画『インサイド・ヘッド』だ。それにしても、女優4人が上手すぎてビックリ。可笑しくて、何度も吹き出したもの。主宰の山田由梨さん。この間、セーラー服を着て墓場を走り回っていたのに、この創造力は何だ?凄いぞ。自分がやり過ぎないバランスが絶妙。何より、この女優陣をキャスティングした目の確かさ。彼女たちをあのように演じさせるセンスが抜群。いやぁ、いいもの観た。どう考えても贅沢贅沢な時間だった。ずっと観ていたい…いや眺めていたかったなぁ。「火事?」の時の3人の動きのシンクロが可愛くって可笑しくって…我慢できない。吹き出す。ラストの「寝た?」もニマニマしちゃう。♪こーどく、こーどく、あ〜あ〜こーどく、…♫ あぁ、脳内スパイラル。あぁ、癖になりそう。この作品、DVDとか出るのかなぁ。あぁ、贅沢貧乏・・・次回が待ち遠しい。
オレアナ
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2015/11/06 (金) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
見事に
不快だった。ふざけるなと叫びたくなる衝動に駆られた。狂気という凶器。理不尽に追い込まれて、もがけばもがくほど食い込んでくる罠。男であることが弱者であることの恐怖を感じさせられた。痴漢冤罪とかの恐怖は、こんな感じではなかろうか。教育現場は戦場だと思う時がある。想像を超える思考をする生徒はいる。同時に、想像を超える思考をする保護者もいる。良かれと思った指導の真意は届かず、捻じ曲げられる。現代で教師は聖職などとは程遠く、生徒や保護者やマスコミから狙われ叩かれる弱者だ。実に欧米的な作品。会話劇であるけれど、全く会話していない。ただ自分の言いたいことを相手に浴びせるだけ。で、時折相手をねじ伏せて、無理やり聞かせる。アスペルガーだ。表が読めないと、理解できないと興奮する彼女は、その典型だ。うーん、こだわりが偏ると、怖いな。
桜の園
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2015/11/11 (水) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
オーソドックス
古典中の古典。郷愁、固執、羨望、別離、主従、出発…真新しいものなんて入る余地はない。その中で、ラストのカーテンには「ヘェ〜」と思った。浮浪人の田代隆秀さんの声が色っぽい。あんな声に憧れる。宮本裕子さんと平岩紙さんが花道を通ると、フワーッといい香り。ときめく。これまで観た中で最も好きな『桜の園』は、日大芸術学部演劇学科SAYONARA中講堂企画公演。ラネーフスカヤを演じたのは、今回シャルロッタの宮本裕子さん。本当に素晴らしかった。別の役を演じる今回、どんな気持ちなのだろう。
汗と涙の結晶を破壊
綾門企画
アトリエ春風舎(東京都)
2015/11/26 (木) ~ 2015/12/01 (火)公演終了
満足度★★★★★
芸術に
芸術に人生を捧げる人たちの心の叫びのような作品だった。「才能」という言葉で、努力も苦しみも凌駕して片付けてしまうことへの憤り。全ての苛立ちが、堀夏子さんの右足の貧乏揺すりに表れていた。それにしても、作品毎に違う表情を見せる堀夏子さん「才能」に脱帽。肉体の死と、存在感(価値)の死。人はある時期に何故か「生まれた意味」「生きる価値」について考える。同時に「死」への逃避に目を向け期待を抱く。純粋に生きようとする人間ほどその傾向にある。鈍感力が生きる力を生む。ただ、純粋さは紙一重。芸術の世界では、それが価値あるものとして認められることもある。確かに生命力を手にできずに息絶えるものも多いだろう。記憶の中の三人から「絶対大丈夫」が、芸術に人生を捧げる全ての人たちへのエールに聞こえた。その道で死体と化した者たちの向こうに横たわる彼女は、問題ある正常の先へ両足を突っ込んでしまったのか。彼女の脇で読み上げられたメッセージが、「才能は万能じゃない」という芸術への弔辞であるならば、彼女が起き上がったことが意味するものに未来を託そう。原田つむぎさんは器用な女優さんだ。拗ねてキスを迫る同性愛者が可愛すぎる。破天荒な二世芸術家の毒の強さはリチャード4世の姿勢の悪さのように強烈。一番好きだったのは「捨てましょう」のキャスター?決め台詞がツボ。ラストの東に対する行為が意味深。「叫んでいいんだ!叫べよ東!」が、現代の若者へのエールのようだった。彼女が庭に放り投げたものは、夢か希望か…人生か。彼女が大きく吸い込んだものが、過ぎたるは及ばざるが如しものなのかもじっくり考えよう。堀夏子さんの深呼吸と過呼吸がスパイラルしている。
東おんなに京おんな
トム・プロジェクト
あうるすぽっと(東京都)
2015/12/02 (水) ~ 2015/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★
初日
岡本麗さんはまるでミヤコ蝶々さんのような言い回しで笑わさせながら哀愁を漂わす。鶴田真由さんは自分を閉じ込める寂しい女性を好演。ベニサンピットの『障子の国のティンカーベル』から、モダンスイマーズ『トワイライト』を経て、今回も素敵でした。やっぱりいいな。二人の絡みはまだ段取りを追いかける予定調和に見える。それぞれは素敵なので、これからもっと良くなるはず。鶴田真由さんのスマホ相手のひとり芝居はリアルだった。イキイキしてた。壁に掛かった額縁。混沌とした時間には真っ白だったのに、ラストは…。希望が感じられた。
緑子の部屋
鳥公園
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/11/27 (金) ~ 2015/12/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
『待つこと、こらえること』
1回きりの特別公演。女性の美しくなりたい願望を抉る。それを笑いに転化した強烈な仕上がり。電話で問い合わせる女性とオペレーターのやりとりを、役を交換して繰り返す。それがスピードを上げドライブ感がハンパない。3かき723さんと310あ01さんが互いにマシンガンのように浴びせる台詞がまるで暗号のよう。意味なんか聞こえて来なかったのが、だんだん届いてくるから不思議。そこにト書きのような()がカッコと語られ、女優のリアルな告白まで…。マヤドリの榊菜津美さんとレベッカさんがキュート。二人が踊り出す♬GIVE ME ACCESS🎶が脳内スパイラル。レベッカさんの笑顔が堪らない。その二人を茶化すタカハシカナコさんに爆笑。笑い過ぎて感謝されてしまったよ。
水仙の花 narcissus
城山羊の会
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2015/12/04 (金) ~ 2015/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
これまでに
これまでに観たすべてのキスの中で一番エロいキスだった。脳内エロティシズムがMAX。もう…したい。10代かってくらい…したい。もう、つじつまなんて合おうが合わなかろうが関係ない。そんなことを凌駕して「どうなってんだ?」が駆け巡り、語られない物語を脳内展開していく。そのなんと楽しいことか。この物語はスパイラルしているのか、それとも先へと進んでいくのか?それさえ分からない楽しさ。
緑子の部屋
鳥公園
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/11/27 (金) ~ 2015/12/07 (月)公演終了
まるで
だまし絵のような舞台。視点を変えたり、見るところを変えれば全く違うものが見えてくる。緑子はまるで桐島。なのに…もしかしたら…。そう、この「もしかしたら」が巧みに仕組まれている。油断すれば迷子になる。誰かが壊れているのか、みんな正常なのか。あなたにはどう見える?
『痕跡≪あとあと≫』◆◇終演。ご来場ありがとうございました!!!◇◆
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
本気の本気でダブルコール。
本気の本気でダブルコール。終演アナウンスに負けそうな会場で、どうしてもこの気持ちを伝えたかった。鳥肌が止まらない。あんなに長くゾクゾクした舞台を観たことがない。それも一度じゃない。何か所もゾクゾクさせられる。30年ほどの観劇人生に君臨する名作と出会った。ダークでスリリング。照明の美しさが、それを際立たせる。観客がある程度は予想できる展開。そこがミソ。考えさせておいて、少しずつ見事に裏切る展開。彼らの抱える秘密が心を締め付ける。けれど、そのほとんどに悪意がない。むしろ優しさや愛情が溢れている。だから苦しい。拉致被害者の家族の思いを連想した。しかし、ここには怒りの矛先が見つけられない。この感情の迷子がより一層、心を締め付ける。彼らのその後に思いを馳せる。若い二人は共に生きてくれるだろうか。根無し草が手を取り根を下ろしてほしい。彼も、どこにも帰れない。でも…あの距離のまま二つの家族と繋がっていてほしい。仕事も続けてほしい。みんなが大切に思ってくれているのだから。彼女のお父さんのような存在の人も、お父さんのように繋がっていてほしい。償った男も戻ってほしい。償えない男と、母になり子供の未来を守った女…愛の苦しみ。
悲しみを聴く石
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2015/12/11 (金) ~ 2015/12/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
初日
神の名のもとに聖戦を戦う人たち。それでも、そこに肉体があり、欲望があり、リアルに生きていた。オンナを語られながら、オトコの本能が悲鳴を上げた。そんな赤裸々な生き様が、まるで幻想のようなベールに包まれていた。しかし、あれほどまでに感情を物語る目の芝居があっただろうか。男の目にキャッチライトが差し、悲しみ、怒り、絶望、動揺…切なさも感じられた。懺悔とも報復とも取れるオンナの行為に戦慄が走る。人間の性(サガ)と業を目撃した。
とりあえず、お父さん
ホリプロ
天王洲 銀河劇場(東京都)
2015/12/03 (木) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
客席は爆笑
シチュエーション・コメディ。客席は喜んで笑っていた。疲れていたせいか、笑えなかった。柄本明さんの芸達者ぶりが光った。わたしにとっては本仮屋ユイカさんを観たかっただけで、結局、それだけだった。
FunIQの浮気を終わらせる3つの方法
FunIQ
studio BLANZ(東京都)
2015/12/03 (木) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
贅沢な3本
ウディ・アレンの3本の短編を2本ずつ組ませて上演する。『セントラル・パーク・ウエスト』外村道子さんと山脇唯さんの掛け合いが強烈。あの台詞量をあの速さでまくし立てるのだから凄い。圧巻。できる女を演じる外村さん。彼女の口にあんな言葉やそんなコトを言わせてしまうのだから、もうどうしていいやら…。彼女の相手に手を上げたくなる衝動に駆られた。もう完璧に艶っぽい知的な人妻だ。『オールド・セイブルック』宍泥美さんが自然体で好演。それにしてもマシンガントークの応酬が圧巻。どちらの作品も、愛情に対する裏切りの顛末なのだから、まくし立てるような口撃が当たり前で、台詞回しの点では大変でも、それが当然の姿なはずで納得。
鵺的第一短編集[全日程終了・ご来場ありがとうございました]
鵺的(ぬえてき)
新宿眼科画廊(東京都)
2015/12/18 (金) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
ダークサイド
舞台作品では、シェークスピアの昔からタブーはスタンダード。同性愛、近親相姦、ストーキング、DV、殺人…全てが盛り込まれた過激な作品だった。にもかかわらず嫌悪感に苛まれなかったのは演出の細心の注意と演者の力量の賜物。『白い猫』の堤千穂さんの甘えっぷりにやられた。『みどりいろの街』では、チタキヨのタとキのお二人の戦いがヒリヒリした。信頼する相手とのバトルは愛情を奪い合う愛に満ちていた。『ステディ』は誰もが純粋で正しく主張を突き付ける。でも、利己的で視野が狭く噛み合わない。相手の立場を掠めて僅かに逸れる主張の応酬が痛々しい。とみやまあゆみさんの盲目的な愛が放つ嫌味の刃の切れ味に戦慄が走る。彼が目の前で女をSEXに誘うとき、頭の中でグルグル回る言葉と動揺が瞳に映る。とみやまあゆみさんの大きな瞳のなんと雄弁なことか。それにしても、平山寛人さん演じる小林の誠実さに感服。