満足度★★★★★
ダークサイド
舞台作品では、シェークスピアの昔からタブーはスタンダード。同性愛、近親相姦、ストーキング、DV、殺人…全てが盛り込まれた過激な作品だった。にもかかわらず嫌悪感に苛まれなかったのは演出の細心の注意と演者の力量の賜物。『白い猫』の堤千穂さんの甘えっぷりにやられた。『みどりいろの街』では、チタキヨのタとキのお二人の戦いがヒリヒリした。信頼する相手とのバトルは愛情を奪い合う愛に満ちていた。『ステディ』は誰もが純粋で正しく主張を突き付ける。でも、利己的で視野が狭く噛み合わない。相手の立場を掠めて僅かに逸れる主張の応酬が痛々しい。とみやまあゆみさんの盲目的な愛が放つ嫌味の刃の切れ味に戦慄が走る。彼が目の前で女をSEXに誘うとき、頭の中でグルグル回る言葉と動揺が瞳に映る。とみやまあゆみさんの大きな瞳のなんと雄弁なことか。それにしても、平山寛人さん演じる小林の誠実さに感服。