公演情報
「ザ・空気 ver. 3」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/01/13 (水)
ヒヤッとしてニヤッともして、ザクザクと刺さるところもあって面白かった。TV業界の裏を見た!というのはこのシリーズならではと思うけど、そこじゃないんだよね、誰でも持っている人間の心のありようが描かれていてしかも生の舞台を観る喜びも感じました。
満足度★★★★★
やはり、このシリーズはどれも素晴らしい!
タイムリーな話題も取り入れて実感のわく話なので、何とも言えない底知れぬ怖さがある。
神野三鈴さんが非常に素晴らしく、
またB作さんの映像に見えるような生の演技も本当に良かった!
満足度★★★★★
「ザ・空気」第一弾の風景が戻った。放送局内のある会議室、ロビー等に使い回される空間はアルミと白いボードの清潔感ある建築部材で簡素に設えられ、絵のキャンバスのように舞台上の芝居をクリアに縁どって見せる。その中で実力ある役者がドラマ世界を立ち上げる。
喜劇の語りで進む芝居。報道現場の通念を一応尊重しつつ軽くいなしつつの日常を象っていくタッチが喜劇調なだけに飲み込みやすく、言うまでもない永井氏の喜劇の作劇の巧さで事態の推移がはっきり見える。そして事態は討論番組出演者の発熱によるコロナ疑惑をもとに「降板かリモート参加か」の条件争い、そこからさらに進んで放送コードへの接近と目が離せない。面白いことこの上ないが、それ以上に「よう言うてくれたわい」と心で手を合わせる台詞。
思えば彼らは皆自分を代弁する者。英雄気取りをしたがり、保身に走りたがり、能天気にふるまって失敗し後始末も愚か、無能の自分に嫌気がさし、出世のチャンスには心踊るが心暗くもなり、魂を売った記憶は埋もれて「蓋をする」技だけは上達するが「本当」らしく生きてるつもりの日常は根から蝕まれている・・。
だが人は敗北するが終わりではないと、第一作でも(別の言葉で)語られたメッセージが残った。人間的に考え抜かなければ書けない戯曲である。
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/22 (金) 19:00
マスコミの自粛の状況を扱うシリーズの第3弾で最終作。面白い!
第1弾は放送局、第2弾は新聞社を舞台にしていたが、第3弾は放送局に戻った。元新聞記者で現在はフリーの政治評論家の横松(佐藤B作)は、記者時代には政権に批判的な発言をしていたが、今は政権ベッタリの発言で知られている。ある報道番組のチーフプロデューサー(神野三鈴)が担当を外れるという日に、ゲストの1人である横松が37.4度の熱を出したことから、とある部屋に通されるところから芝居は始まる。独特の意味を持つ部屋で待つ内に横松は異変をきたし…、という展開は、いつもながらの永井流である。
学術会議任命問題など最新の事象を扱いつつ、こんなことはあるのか、的なエピソードを含むものの、どう終わらせるのか、という興味を持って100分を過ごすことができた。2人のベテランの存在感がスゴイことは言うまでもないが、他の3人の若手も役割をしっかり演じて、楽しめる舞台を作っていたが、笑っていると、その笑っていることが恐ろしくなるというような舞台だった。
満足度★★★★★
佐藤B作さんはじめ、俳優さん達の演技を光らせる骨太な脚本の良いお芝居でした。
欲を言えば少し照明が足りなかったかな。終演後、受付に立たれてた永田さんに感想言ってた某女性脚本家を見かけ、改めて今の演劇界は女性がひっぱってると思いました。再緊急事態宣言の中での上演、本当に感謝の演劇でした。
それにしても、マスク演劇マスク鑑賞、ついたては良いとしても両隣に人が座るに違和感持つような演劇鑑賞が定着しちゃうんだろうか。
満足度★★★★
冒頭、政治評論家(佐藤B作)がコロナ禍の体温測定で「37度4部」だったという設定から笑えた。現在只今のコロナを舞台に乗せて笑いのネタにしてしまうとは、何たる大胆不敵。さらに学術会議の任命拒否の裏情報をめぐる、メディア内の興奮と忖度と萎縮を見事に芝居にしていた。
評論家の翻心のきっかけに少しオカルトを使っていた。超自然現象を取り入れるとはご都合主義ではないかと思ったが、考えてみれば、評論家の抑圧された本心が無意識に現れたものとも取れる。ギリギリの線を攻めてきた際どい作劇である。
編集権を経営者から報道の現場が取り戻せ、そのための記者たちの話し合いをと語る。永井愛にしては珍しくストレートな訴えで、よほどの危機感なのであろう。笑いをまぶした社会批判劇といい、井上ひさし劇をほうふつさせる秀作である。
満足度★★★★
当たりシリーズだけあって、見ている間は、展開も面白く楽しめるが、現代世間批判としては新劇版ニュースペーパーみたいで、作者が永井愛なら、もっと演劇的に深く突っ込めるのにと、「時の物置」や「パパのデモクラシー」を懐かしく思い出してしまう。
テレビのニュース番組の裏話で、このレベルのメディア批判劇は既に幾つもある。若い作家も書いている。永井愛ならもっと、ユニークな視角でドラマを作ってほしい。というのはこちらの勝手な願いで、この方が分かりやすい。劇場の観客はテレビしか見ない善男善女だからこれでいい、現に拍手喝采してくれるではないか、といわれると二言はないのだが。
現実社会の実働人間はニュースが必要なら、新聞も週刊誌もSNSも利用する。この舞台で見られるようなテレビ番組だけを頼りにしてはいない。トランプは半分も支持者があるから侮れないという識者もいるが、あれだけテレビで宣伝し、SNSで発信しまくっても半分に届かないのである。別の評者(かず氏)も言っているように、これで自らの主張とするならかなり寂しい。
しかし、この優れたおとなしい劇作家をこのレベルまで駆り立てたのは、新国立劇場での官僚との対立や現政権のでたらめ政策が蓮日繰り広げられ腹に据えかねたからであろう。無学・無神経な政治家・官僚の権力を嵩にきた文化いじりは本人たちが気付いていない一国の文化水準を貶める罪深い所業だ。
満足度★★★★★
演劇の価値がココにある。演劇は社会風刺の大切な手段であり、使命でもある。かつて政が恐れた演劇が確かに存在していた。シリーズ第一弾に直結した今作は、covid-19と悪政とマスコミのあり方に対し真正面から切り込んだ秀作。観ながら血がたぎる。安全なところで好き勝手言っていてはダメなんだ。もう、選択を迫られているんだ。その責任を自分に向けられたとき…何を選ぶか考えねば。勇気を持とう。たくさんの人に届いて欲しい。
満足度★★★
鑑賞日2021/01/08 (金) 19:00
座席M列
価格6,000円
二兎社の「ザ・空気」シリーズは評判である。Ver.3上演と知って、コロナ禍ではあるが初日のチケットを予約した。おりしも緊急事態宣言発令直後。劇場はどうかと思ったが、一番後ろまでキチキチの満員だった。私のようなファンがそれだけ期待しているということだ。
今回は、テレビ局の討論番組制作をめぐる物語。政府べったりの発言をする評論家(佐藤B作)を迎えての番組が異動前の最後の仕事となったチーフプロデューサー(神野三鈴)。彼女はリベラルで政府に批判的な番組を作ってきたため更迭されたとのうわさもあった。しかし、舞台は意外な方向に転がっていく。この評論家は新聞記者上がりなのだが、社会部時代は政府すり寄りどころか国民に知らせるべきニュースを発掘して報じてきたという過去が明らかにされていく。そんな中で、彼が持ち込んだ大変な特ダネ。そのまま報じれば、時の内閣が吹き飛ぶほどの大変なニュースだった。
このテレビ局は局幹部が政権上層部と会食をするなど、まあ、政府に忖度をするような姿勢であった。テレビ局は放送法で縛られ、総務省からの免許事業であるため、多かれ少なかれそういうところはある。だが、内閣を直撃するようなネタを得たとすると、それに局の幹部がストップをかけることができるのだろうか。
舞台では「編集権」という言葉を持ち出して、経営者が編集権を持っているから、現場がいくら報じようとしても編集権を盾にストップする、ということが紹介される。確かに、社の幹部が編集局長とか編集担当取締役とかの職について現場を抑えるという会社もある。しかし、これはマスコミが批判されている一つの側面ではあるものの、日本のメディアのすべてではない。新聞記者も放送記者も、気骨のある奴は少なくない。書かねばならぬことは左遷されようが職を賭しても書くのだ。忖度するやつもいるが、そんな奴ばかりじゃない。日本のメディアはそこまで落ちぶれてはいない。
永井愛さんのシナリオは社会性にあふれていつも面白いが、この舞台に限っては見方はかなりステレオタイプであり、一面的と言わざるを得ない。舞台の観客が日本のメディアはこの程度だと思ってしまうことの方が、害悪が大きいのではないか。ちょっと大げさかもしれないが、アメリカのトランプ大統領が大手メディアをフェイクニュースと決めつけているようなところを感じた。
だが、ストーリーや仕掛けは面白い。今回はコロナ禍ということをひっかけ、登場する評論家は体温を測るのだが、こうしたギャグや、スガ総理の迷言を借用しているのも爆笑だ。