公演情報
「ハイサイせば」の観てきた!クチコミ一覧
満足度★★★★
とてもいい舞台だった。沖縄だけの問題にせず、青森を入れることで物語に広がりが出た。
ただ、帰りながら少し冷めた頭で思い出すと、解せないというか納得できない2つの点があった。
(以下、ネタバレBOXへ長々書いてます)
満足度★★★★★
現実の重みと軽妙な笑い、その絶妙なバランスが素晴らしい。
沖縄と青森という、接点が薄いと思われがちな2つの地域を
卓越した発想力と若干の力技で見事につないで魅せる。
まさに今、現代にもう一度起ころうとしていることを見る思いがした。
満足度★★★★★
アゴラ劇場は満席。沖縄の団体とのコラボは要注目、というのも、畑澤聖悟氏は一貫して地元青森にこだわり、作品を生み続けてきた。そこへ「沖縄」である。気にならない方が不思議である。
しかし、沖縄と青森の(特に方言が中心の)あるある話をこんな形で紹介されるとは・・。ネタ一つ一つ思い出すと、まだニヤけてしまう。だが・・
二地域のリアル現地人がいる実在感は、(物語の舞台である)戦争末期の現実と2018年の今の現実を、(役者自身が意図するまでもなく)裏打ちする。
裏切りと分断を強いる力にもかかわらず、目を見合ってしっかり出会おうとする、その意思を伝えようとする青森のおばちゃんと、どうにかこうにかそれに応じた(同郷の沖縄人を)裏切った者。それまでの時間が「現実」に属する時間だとすれば(それがためにコミカルに描いてもいる)、そこから先のおばちゃんの行動は「現実」の彼岸を見ようとする祈りになる。「民」同士が、お上の目の届く場所で許される形ではなく、損得でもなく、出会い直そうとするのがその場面だ。
方言作戦の奇妙な予行練習から、作戦「遂行」(英国大使館に電話する)の緊迫の時間を経て、そこから解かれた和やかな時間、おばちゃんに伝言を頼んできた沖縄の男を実は炙り出すための作戦であった事が明らかになる。絵に描いたようなノンポリ差別主義の相撲取り(青森人)が、戻って来た軍人に「何か頼んでましたよ」とチクる。途端に場の空気が凍りつき、おばちゃんが苦しいながらに嘘の証言をすると、もう一人の沖縄の男がそばで聞いたままを報告し、相手を売ったのだ。
「沖縄に返してくれるんですよね」と軍人に言い、「(捕えた男の)命は取らない約束でしたね」とも言うが、虚しく響く。
他の者が去った後である。それに続いて去ろうとする男におばちゃんがこう尋ねる。「なんであんな事言ったの」、責める口調でなく、真っ白な疑問を投げることが最大の責め苦となる。別の言い方をすると、「あなたはそんな人じゃないのに」が枕にある。三上晴佳のおばちゃん力の本領だ。・・心が崩れていく男に、「手紙を送ります」と言うおばちゃん。浦添に戻ってもどこに住む事になるか・・、「浦添の比嘉さん宛に送ります」、とおばちゃん。住民の4割が比嘉です、と男。「浦添の比嘉さん全員に手紙を送ります」、とおばちゃん。両頬を涙で濡らして頷く男。
「戦争」の国民的記憶と言えるものがあり、しかし「戦争」は異なる様相を持ち得る21世紀の今、古い印象を与えかねない。渡辺源四郎商店はそこをうまく扱っている。
満足度★★★★★
さすが畑澤聖悟!と、まずそれを言いたい。
このとんでもない設定(しかし、もしかしたら本当にあったかもしれない、と思ってしまうような設定)を思いつき、そこから、この二転三転する、そして生き生きとした登場人物たちが動く作品を創り上げる力量は、畑澤氏ならではのものではないだろうか。
そして、しっかり笑いもある。
テーマの重さが今も続くだけに、自分には少々重かったが、いや、この作家はやはりすごい。
満足度★★★★
沖縄と青森の地方でやっている劇団の合同公演。作は青森の畑澤聖悟。およそ関係のなさそうな二つの地方の演劇人が合同でやる芝居だから、さぞ、ネタに困ったであろう。しかもほぼアマチュアであろうから長期の稽古も公演もできない。その悪条件をこなすのも畑沢聖悟はうまい。
あらすじに出ている「お話」は苦肉の策ともいえる素材だが、立派に両地方の要望にもこたえ、ともに満足の結果だろうと思う。両地方とは遠い東京のアゴラでも普段は客の薄い日曜夜の7時半が超満席。75分の小品ながら、佳作と言える面白さだ。地方劇団の演劇活動と言う事は十分意義があり、また、畑澤の実績は十二分に評価するとして、畑澤、これでいいのか?と言うのはいつも気になる。
これは、東京の観客からの感想なのだが、こんなに、芝居のツボを心得た劇作家は現在の都会在住の劇作家の中にも何人もいない。当然、東京からの注文もあって、昴に書いた「親の顔が見たい」は、非常に面白かった。この劇団としては珍しく再演もやったくらいだ。ほかにも、民芸や銅鑼、青年座など、観客組織にのった新劇団にはその注文仕切りのうまさを買われて書いているが、最初の昴のようなスマッシュヒットはない。新劇団の注文仕事は、内容を地方巡演まで考えて書かねばならず(今は予想外の頑迷な規制があり、これにひかかると無駄にエネルギーを消費するので、程よく書くことを求められるらしい)、劇団となれば、出したい役者もいるだろうからその注文もあるだろう。地方作家にとっては、それほど自由には書いていないと思う。一方、地元では実績があるから、これまたその要望に応えて、青函連絡船の話や、いたこの話も書かなければならない。畑澤は無論それに不服を言っているわけではないが、東京の観客としては、畑澤の、腰の据わった地方を舞台にした作品を見たいのである。贅沢を言えば、日本のチェホフのような。
いま日本を芝居にするなら、地方都市、農村はいい素材になる。畑澤ならではの芝居が書けると思っているからだ。年齢的にも今が最後の、とは言わないがいい時期だろう。
今は、独立の小劇場系のプロデュース公演も増えているから、この作家のいい戯曲を、公共劇場や劇団の注文でなく、座組みにも面白さの出せるプロデュース公演で見たい。誰か、トラムか、東芸地下あたりで、応分のキャストをそろえてやらないだろうか。例を挙げれば野木の「三億円事件」だってプロデュース公演は見違える出来だった。
正直に言えば、今夜のこの芝居だって、東京在住の青森、沖縄出身の既成の俳優でやれば、もっと面白くなっただろう。地方の俳優にそれを言うのは酷だが、東京の俳優なら受けて立てるだろう。作者の側にしても、もっとケイコが出来れば、終盤の唐突な謎解きめいた終わりにしないで、戦争に巻き込まれる庶民に心情や言葉と言うものの魔力などを織り交ぜながら、さらに深いテーマを籠められたのに、と残念だ。
満足度★★★★★
鑑賞日2018/01/07 (日) 19:30
軍隊&方言ネタのコメディーかと思ったら、戦争によって国民に強いられた理不尽を描いていたりと、喜怒哀楽全部がぎゅ〜っと詰まった(怒と哀の割合が高い)中身の濃い作品。終演後のトークでは現代日本の方言事情が聞けたり、正月早々、勉強になりました。沖縄と津軽のコラボ、とても面白かった。
こまばアゴラ劇場で畑澤聖悟作・演出・出演「ハイサイせば」約1時間20分。年明けからガツンといいお芝居!超満席で劇評家さんも大勢いらしたような。
敗戦間際の日本。東京の海軍省に沖縄と青森の市民が集められ…。津軽弁と琉球語と標準語が行き交うのが楽しい♪家族が兵隊に取られるのはある意味平等だけど、“田舎者”は特に差別され、搾取されていた。