TERROR テロ 公演情報 TERROR テロ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★★

    記録

  • 満足度★★★★

    テロリストにハイジャックされ、7万人の観衆が集まっているスタジアムに突っ込もうとする旅客機を命令に背いて撃ち落としたパイロットが殺人罪に問われている。

    我々観客もその裁判に参審員(一般市民から選出され、裁判官とともに評議を行い、事実認定や量刑判断を行う)として参加しているのだ。

    事件の様子や背景が人々の言葉によって次第に立体化され、いくつもの視点が加えられていく過程は本当にスリリングであった。

    上演時間のうち大半は客席も明るく照らされて、我々もこの物語の一部であると感じさせられた。

    そういう枠組の面白さに加えてキャストはそれぞれ素晴らしく、それを観られただけでも行った甲斐があると思えた。

    ネタバレBOX

    特に印象に残ったいくつかのこと。

    たたみ込むような検察官の質問に翻弄され、あるいは心の内を引き出されて何か言い募ろうとした証人を「以上でけっこうです」とスッパリさえぎった検察官の言葉。

    過程を含めた質問に対して、「何を答えても嘘になる」と答えた被告の迷いと誠実さ。

    夫を失った妻が証言を終えて立ち去るとき、弁護士が立ち上がって頭を下げたこと。

    回想シーンでのかすかな音が緊張感を高めていた。

    最初に提示された事実に加えて、予想以上に多くの情報が集められ、事件を観る角度も広がりをみせていく。

    このあたりですでに自分の評決を決めつつあった。それは事前にあらすじを読んだときとは異なる結論だった。

    ステージ手前に2人のスタッフが立ち、それぞれ有罪と無罪の箱を持つ。我々は事前に配られた用紙をそのどちらかに入れる。

    この日の評決は、有罪209票:無罪200票。わずかな差で有罪であった。

    その結果を受けて、裁判長が判決を下す。1月16日から25日までの12公演で有罪6回、無罪6回と均衡しており、日々の有罪無罪の票数差もわずかだ。それだけ双方の証言や主張に説得力があった、ということかもしれない。

    判決を聴きながら、さまざまなことを考える。命の重さ、テロという暴力の理不尽さ、旅客機の乗客たちの行動、軍の考え方、被告の人となり、などなど。

    何が正しかったのか、彼はどうすべきだったのか、その正解はないのかもしれない。

    買って帰った原作には、2通りの結末が描かれている。もしも作者の胸の内に正解があるのなら、両方の結末を何度も読み返すうちにわかるものだろうか。

    そういう想いも含めて、面白いものを観た、と思う。
  • 満足度★★★

    観客は参審員という設定で舞台上は法廷です。
    テロに対する犠牲をどう考えるか、正解はあるのか。身近な問題になってきてますから集中して聞き入ってました。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/01/20 (土) 14:00

    座席1階18列16番

    観劇後に、同行した方と、今観た舞台について意見を交わすことはよくあることです。1人観劇でない限り、少しお酒を入れての反省会(アフターファンクション)は、観劇の楽しみの一部であり、よほどのことがない限り外せないものです。

    その時に時間が取れなくとも、別の観劇の意見なども交えながら、後日、飲み会の席で交わす演劇論議は、「あ、それ観たかったな」とか「○○はちょっと苦手なんだよな」なんて、たわいのない会話は、観劇人にとっての日常でもあります。

    しかし、今回は。
    私は無罪、同行者は有罪。酒が進むほどに、議論は白熱し、声のトーンも上がっていたのではないでしょうか。議論の中心は、憲法違反を許すべきか(加えて、軍人として命令違反は許されるべきか。生命の軽重を図ってはいけないにしても、7万+164名の命を葬るのと、164名の命を葬るのとどちらを選ぶのか、という問題をどうとらえるのか。
    私の回は、208対200で有罪でした。

    ちょっと、興奮した2人が、場を和めるために出した結論は、、、、

    ネタバレBOX

    有罪で、その後、特赦。
    ご都合すぎですよね。

    でも、有罪の段階で、コッホの将来は一時的に閉ざされるでしょうし。
    そして、もしコッホが旅客機を撃墜しなかったとしたら、競技場の避難指示を出さなかった軍部?政府?公安?の責任はどうなったでしょうか。
    舞台では、その責任所在をはっきりできないまま、全てをコッホに擦り付けているように思われます。誰が胸を安堵させているのでしょう。
  • 満足度★★★★

    テロリストが旅客機をハイジャックし、サッカースタジアムに突入しようとしていたとき、緊急発進したドイツ空軍パイロットはこの旅客機を撃墜し、乗客164名の命を犠牲にして7万人の命を守りました。彼は殺人罪で起訴され、その裁判がこの舞台という設定です。判決は観客が入場時に渡される赤い紙を有罪、無罪の箱に投票しその多数決で決定されます。

    こういう問題は多くの方が大学の法学の授業などで聞いたことがあるでしょう。2010年に大流行したマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」の第一回がまさにこのテーマでした。考え方は設定次第でどうにでもなるので、裁判という形式を使って事実関係と判断基準を限定させています。どうしてドイツでこういう戯曲が書かれたかというと作品中でも述べられるように撃墜を可能とする法律が制定され、それに違憲判決が下されたという事実があったからです。

    2016年8月には今回の弁護士役の橋爪功さんの一人朗読にジャズピアニストの小曽根真さんの演奏という形式で公演されています。そちらも参加したかったですね。ちなみに、今回、圧倒的な説得力で検事を演じた神野三鈴さんは小曽根さんの奥さんです。

    ネタバレBOX

    私が参加した回は148対139で有罪でした。これまでの世界各国での評決がPARCOのホームページに載っています。

    有罪、無罪の両方の判決文が原著には載っていますので、ご自分が参加した回の判決と違うものを読みたければそちらを見てください。
    フェルディナンド・フォン・シーラッハ著、酒寄進一(訳)東京創元社(発行)「テロ」、158ページ、1,728円、Kindle版 1,599円

    冒頭の裁判長の「…このあたりは駐車スペースを見つけるのが難しいですし、この建物も少々複雑にできていますから…」という挨拶は新宿だから言ったのかと思っていたら原著そのままでした(笑)。

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