TERROR テロ 公演情報 パルコ+兵庫県立芸術文化センター「TERROR テロ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    テロリストが旅客機をハイジャックし、サッカースタジアムに突入しようとしていたとき、緊急発進したドイツ空軍パイロットはこの旅客機を撃墜し、乗客164名の命を犠牲にして7万人の命を守りました。彼は殺人罪で起訴され、その裁判がこの舞台という設定です。判決は観客が入場時に渡される赤い紙を有罪、無罪の箱に投票しその多数決で決定されます。

    こういう問題は多くの方が大学の法学の授業などで聞いたことがあるでしょう。2010年に大流行したマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」の第一回がまさにこのテーマでした。考え方は設定次第でどうにでもなるので、裁判という形式を使って事実関係と判断基準を限定させています。どうしてドイツでこういう戯曲が書かれたかというと作品中でも述べられるように撃墜を可能とする法律が制定され、それに違憲判決が下されたという事実があったからです。

    2016年8月には今回の弁護士役の橋爪功さんの一人朗読にジャズピアニストの小曽根真さんの演奏という形式で公演されています。そちらも参加したかったですね。ちなみに、今回、圧倒的な説得力で検事を演じた神野三鈴さんは小曽根さんの奥さんです。

    ネタバレBOX

    私が参加した回は148対139で有罪でした。これまでの世界各国での評決がPARCOのホームページに載っています。

    有罪、無罪の両方の判決文が原著には載っていますので、ご自分が参加した回の判決と違うものを読みたければそちらを見てください。
    フェルディナンド・フォン・シーラッハ著、酒寄進一(訳)東京創元社(発行)「テロ」、158ページ、1,728円、Kindle版 1,599円

    冒頭の裁判長の「…このあたりは駐車スペースを見つけるのが難しいですし、この建物も少々複雑にできていますから…」という挨拶は新宿だから言ったのかと思っていたら原著そのままでした(笑)。

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    2018/01/19 02:10

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