公演情報
「ハハキのアミュレット」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/10/15 (水) 14:00
背信はおっさんの会(5人のおっさん達が仲間に声を掛け、集まった役者達が、ジャズの如く戯曲を読み合う集まり)で 6年程前に 1場ごとの読み合わせを何度も聞かせてもらっているが、上演されるのを拝見するのは今回が初めて。その時に文庫を買っていたのを、スタジオ空洞の外で待っている間に読み直し終えた。
「間」「間」と、ハロルド ピンター氏は 1行ごとに間を放り込んでるのじゃあないかと思うぐらい間を多用しているのだけど、今日の上演を拝見して少し納得した。「間」の時間、もしかして上演時間 115分の内の 20分ぐらいは間なのではないかと思えるぐらい。
たまたま、客席に外人(日本人ではないとの意味で)の女性二人が来ておられた。日本語が理解出来るのかなと思っていたら、終演後に少し一緒に歩くことになり、どうだったか伺ったら「Great!」とのことでした。お一人は少し日本語が話せて、あらかじめ予習しておられたとのこと。伝わるものなのだなと納得。月日を遡及して行く展開、なるほど過去へ過去へと遡ることで説明的な台詞は必要ないしなと拝見しながら納得。
4人の俳優のキャスティングもそうあれかしとの皆さんで、主宰/演出の岡村尚隆さんによると年齢も戯曲に合わせて選ばれたと伺った。緊張感がヒリヒリと伝わって来る。
あのラインはスクォッシュのコートなのか!登場する料理や酒、酒、酒などにも細やかな拘りが、あの色合い達は何なのだろうか?
レストランのシーンでウェイターが「渋滞」と答える部分の拘りにも納得「Si, signore!」だ!
前置きが長くなったけど、これまで、一場でのリーディング的な台詞では伺っていたのが、上演作品で拝見して、なるほどこう言う劇なのだとおおいに納得出来た。
北澤小枝子さん、桂弘さん、今井聡さん、市川敬太さん、皆さんの演技がそれを可能にしてくれた。
海外戯曲、先に触れた外人のお二人、彼女達にも納得出来る舞台だった言わせる、しっかりとした上演作品でした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/10/15 (水) 14:00
大好物でした。いやー良かった。出演者の南果歩さん/平田満さんは普段は行かないクラスの劇に出ておられるので眼福。緒方晋さん/橋爪未萠里さんの演技を満喫、福本伸一さん/田中亨さん/東宮綾音さんは初めましてで作品にマッチしておられた。
凛のシングルマザーを選ぼうとする行動と香港に居て帰ることのない別居婚夫君の設定は少し違和感があったけど、あり得ないことでもないし、まあそこはありかも知れんしと。
関西出身で、東京などで標準語で話し続けていると、雄一の様に実家に戻っても地元の言葉を話せないのは自分自身もそのパターンで良く判る。
そして舞台の奥の山影が、紀州的で良かった!
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/10/15 (水) 14:00
過疎化した町、町おこし・伝統工芸を支える人、都会から有能な若い女性が伝統技能の習得を目指す姿、町から都会に出て悩む若者たち、それぞれの思いが交錯し物語は展開する。横山拓也氏の作品はいつも楽しみに観劇している。地元ホテル経営者(緒方晋)が町の有力者の雰囲気、娘の行動に悩む姿等のその存在感がすごい。神主(福本伸一)の笑いを誘う行動、都会の若い女性(橋爪未萠里・神戸出身)のガチガチの関西弁の迫力等が印象に残る。伝統工芸四代目(南果歩)は内に秘めた魂の叫びがもっと出ていればなお良かった気がした。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/09/07 (日) 14:00
座席1階
横山人情劇の本道を行く作品。笑いあり、少しの涙あり。ほっとした気持ちで劇場を後にすることができるすてきな舞台だ。
ハハキとは箒のことで、舞台は棕櫚(シュロ)の皮の繊維を原料にして作っている老舗。人口減少で活気がなくなりつつある街で、伝統工芸と言ってもよい独特な技法でつくられた箒だが、電気掃除機が当たり前の世の中でなかなか売れない。そこで伝統技能を生かした箒のミニチュアを、神社に祈祷に訪れた人にプレゼントすることなどで町おこしを図る。
主人公は箒製造の女主人だが、跡継ぎを期待されていた兄が東京に出ていったため仕方なく継いだという事情がある。しかも、夫は香港に住んでいて別居生活。長年の箒づくりで重い腱鞘炎を患っているところに、都会から弟子入り希望の有能な若い女性が入社した。物語は、女主人の家族や神社の神主など、地元の人たちの人間関係が交錯しながら展開していく。
過疎化、町おこし、伝統工芸。ちりばめられたキーワードで舞台は社会性の帯びているが、本筋は横山お得意の群像劇。舞台を関西に設定してあり、スムーズな関西弁が舞台に味わいを添えている。
主演の南果歩の奮闘に拍手を送りたい。兄役の平田満は、その勢いに押されたかのように少し影が薄い印象を受けた。サプライズはなく無難にまとまっているところに物足りなさを感じた人もいるかもしれないが、安心して楽しめるというメリットは捨てがたい。各地で地方公演あり。一見の価値ある舞台だ。
実演鑑賞
満足度★★★
和歌山県の過疎化した町、大正時代創業の由緒ある棕櫚箒(しゅろほうき)工房、倉西商店。働くのは四代目の南果歩さんと弟子入りして一年目の橋爪未萠里さん。町興しの一環として神社の奉納返礼品、荒神箒(こうじんぼうき)を卸している。神主(福本伸一氏)は観光客を呼び込もうと子宝祈願の御利益を大々的にアピール中。地元のホテル経営者で町会長(?)の緒方晋氏。その娘の東宮(とうみや)綾音さん。南果歩さんの息子(田中亨氏)はIT企業の在宅勤務。そこに突然帰って来る南果歩さんの兄、平田満氏。高校を出て東京の大学に行ってから47年間で僅か三回しか帰郷しなかった男だ。
傑作2022年版『あつい胸さわぎ』の田中亨氏&橋爪未萠里さんコンビだけで嬉しくなる。
奏(かなで)=南果歩さん、穂香(ほのか)=橋爪未萠里さん、凛=東宮綾音さん。名前の響きが心地良い。
東宮綾音さんは松たか子と小川麻琴を足したような美人。長身スラリ。
福本伸一氏が会場の笑いをかっさらっていく。
横山拓也版『男はつらいよ』かと思わせて作家の狙いは別にあるようだ。人の心こそが故郷。
是非観に行って頂きたい。