ハハキのアミュレット 公演情報 (公財)可児市文化芸術振興財団「ハハキのアミュレット」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/09/07 (日) 14:00

    座席1階

    横山人情劇の本道を行く作品。笑いあり、少しの涙あり。ほっとした気持ちで劇場を後にすることができるすてきな舞台だ。

    ハハキとは箒のことで、舞台は棕櫚(シュロ)の皮の繊維を原料にして作っている老舗。人口減少で活気がなくなりつつある街で、伝統工芸と言ってもよい独特な技法でつくられた箒だが、電気掃除機が当たり前の世の中でなかなか売れない。そこで伝統技能を生かした箒のミニチュアを、神社に祈祷に訪れた人にプレゼントすることなどで町おこしを図る。
    主人公は箒製造の女主人だが、跡継ぎを期待されていた兄が東京に出ていったため仕方なく継いだという事情がある。しかも、夫は香港に住んでいて別居生活。長年の箒づくりで重い腱鞘炎を患っているところに、都会から弟子入り希望の有能な若い女性が入社した。物語は、女主人の家族や神社の神主など、地元の人たちの人間関係が交錯しながら展開していく。
    過疎化、町おこし、伝統工芸。ちりばめられたキーワードで舞台は社会性の帯びているが、本筋は横山お得意の群像劇。舞台を関西に設定してあり、スムーズな関西弁が舞台に味わいを添えている。

    主演の南果歩の奮闘に拍手を送りたい。兄役の平田満は、その勢いに押されたかのように少し影が薄い印象を受けた。サプライズはなく無難にまとまっているところに物足りなさを感じた人もいるかもしれないが、安心して楽しめるというメリットは捨てがたい。各地で地方公演あり。一見の価値ある舞台だ。

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    2025/10/13 18:50

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