ハハキのアミュレット 公演情報 (公財)可児市文化芸術振興財団「ハハキのアミュレット」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    和歌山県の過疎化した町、大正時代創業の由緒ある棕櫚箒(しゅろほうき)工房、倉西商店。働くのは四代目の南果歩さんと弟子入りして一年目の橋爪未萠里さん。町興しの一環として神社の奉納返礼品、荒神箒(こうじんぼうき)を卸している。神主(福本伸一氏)は観光客を呼び込もうと子宝祈願の御利益を大々的にアピール中。地元のホテル経営者で町会長(?)の緒方晋氏。その娘の東宮(とうみや)綾音さん。南果歩さんの息子(田中亨氏)はIT企業の在宅勤務。そこに突然帰って来る南果歩さんの兄、平田満氏。高校を出て東京の大学に行ってから47年間で僅か三回しか帰郷しなかった男だ。

    傑作2022年版『あつい胸さわぎ』の田中亨氏&橋爪未萠里さんコンビだけで嬉しくなる。

    奏(かなで)=南果歩さん、穂香(ほのか)=橋爪未萠里さん、凛=東宮綾音さん。名前の響きが心地良い。

    東宮綾音さんは松たか子と小川麻琴を足したような美人。長身スラリ。

    福本伸一氏が会場の笑いをかっさらっていく。

    横山拓也版『男はつらいよ』かと思わせて作家の狙いは別にあるようだ。人の心こそが故郷。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    荒神箒(こうじんぼうき)とは現在では小型の箒の総称。
    棕櫚箒(しゅろほうき)は棕櫚の樹皮から繊維を取り出して作るもの。

    ハハキ=「羽掃き」、音が変化して箒になった。
    アミュレット=お守り。中世ヨーロッパでは三つ編みに魔除けの効果があるとされていた。

    横山喜劇お馴染みの失恋賑やかしキャラ、福本伸一氏や東宮綾音さんに勘違い求婚するズレた田中亨氏。そういったネタを笑いで引っ張るいつもの作風ではなく、話はこれといってない。2時間10分、ある意味要らないシーンも多い。無駄を削ぎ落とすタイトな作風ではなく、無駄にこそ人々の心のうつろいが宿るとの視点。丹念に時間を塗り込んだ、ある懐かしい空間への郷愁を表現するかのような小津安二郎的世界。(風景が主人公で人はモブと言ったら『白貝』みたいだが)。今後横山拓也氏はこういう作品が増えそうな予感。

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    2025/10/11 15:20

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