ふすまとぐち 公演情報 ふすまとぐち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★

    日常芝居なのに(笑)
    山田百次さんの世界観、素敵です!!!

    しょっぱなからスピーディに飛び交う津軽弁が、耳になれなくて最初はタイヘンですが、すぐに慣れてきました。
    なによりナチュラルなお芝居。
    押しまくりの演技が多いのに、日常芝居でハマれてしまう、不思議。

  • 満足度★★★★★

    何気ないシンプルな話なんだけど・・
    こんなにも音色豊かで、
    悲劇なのだけどそれをさほど感じさせず、
    救いようもないようでいて少しほっとする舞台に仕上げるのは
    やっぱり素晴らしいと思う。

    自分は、舞台の上にそれほど複雑さを求めていない。
    盛り上げるためにムリに絶望的な悲劇を用意する必要性も考えていない。
    ブレヒトのような奇妙な雰囲気は、
    そこへの方向性を持って彼が生まれたもので、
    わざわざ性に合わないのに、
    技術を示すために無理に再現することも正直、空虚だと思う。
    (先人たちのように奇想天外な才人がこの世に生きていたら、
    過去の自分の後追いなどせず、
    その時もっとも勢いのある表現形態で(音楽なり映画なりゲームなり・・
    全く別の表現に(瞬時に)辿り着くのは必然のように自分には思われるのだけれど。
    そういった作品をトレースするのは、
    過去の先人の息吹を感じ、
    新たに奇想天外な舞台を生み出す練習のために行うものだと思う。
    いつまで待っても何の奇想も生み出されないなら、
    何のための上演かと思ったりするのだけれど・・


    人生を描くときにはシンプルで良いと思う。
    日常のそこここに潜んでいる
    何気ない絶望、どこにでもある悲劇を積み重ねていけば
    (その積み重ね方に手腕が表れてくるのだけれど・・
    そしてそれらが物語の中で明確に解決されなくとも、
    ほんのちょっとした光が、
    描かれていれば十分だと思う。

    何のためにその構成があるのか?
    人生の描写のために、そんなに多数の登場人物が必要なのか?
    会話の錯綜はどこを目指して配置されたのか?

    舞台の上に不要なものが配置されることがあまりに多い。

    本来であれば、
    稽古のすべてを舞台の上にのせるのではなくて、
    稽古した会話の中からごく一部を抜粋して舞台の上にのせるのが
    適切であるように思う。

    役者が理解できないものは省き、
    理解できたところだけを演じて欲しいように思う。

    この舞台はシンプルだけど、
    地方の劇団によくあることだけど、
    薄くないし
    (東京の劇団は複雑で技巧的だが、どちらかといえば逆に薄いと思う・・
    現実の悲劇をきっちり描きながら、
    リアルなだけではなく、
    とてもユーモラスに描かれている・・
    (リアルリアルともてはやされているけれども、
    歴史的にみると、リアルより抽象、ユーモア、エスプリのほうが
    文化としては先にあるように思われるのだけれど・・
    そして何より、
    表に出すことが不器用なだけで、
    愛に溢れた一家が描かれているように思う。

    そこがとても素晴らしいと思う。

    地方の劇団は、
    東京に比べて批評する人が極端に少ないだけで、
    空気の色なども含めて
    非常に豊饒な気品を持ち合わせていることが多いように自分は思います。

  • 満足度★★★★

    自立する心
    初めての本公演観劇、やはり方言での上演で、やはり言葉さっぱりわからない。
    言葉がわからなくても芝居で理解をしたいと、芝居で伝えようとしているはずだと、最初のうちはとても集中して食い入るように芝居を追ってました。
    しかし、それも最初のうちだけ。
    話が進むにつれて、わかるような言葉で芝居をされている場面もあったりしつつ、そしてなんといっても芝居が魅力的で、ことばがわからないことも気にならなくなってゆきました。

    方言でつむがれる、日本全国の家庭で巻き起こっているであろうリアルな嫁姑問題。
    しかしやはり、相手の立場になって考える想う、それが肝要なんだなと。
    最後、姑が寝たきりになってからのひとりごとに、すべてが集約されている。
    聞いてると胸が締め付けられました。
    自分自分ではいけない、双方互いに。
    お互いに殻に閉じこもらず、自分のものさしだけで考えず。
    他者と自分を区別して、他者を理解をする、それにはまず自分自身の心が自立していなくては不可能。
    人との関わり、触れ合い、集団の中の一部である自分。
    ヒトというものを考えさせられるお芝居でした。

    と書くと、とかく小難しいお芝居なんだろうという印象になってしまうかもしれませんが。
    そんなことはなく、エピソードは腹抱えて笑うレベルのおもしろさでした(笑)
    突き抜けたやりきり度と思い切りがあり軽快で、最後まで飽きさせず引きつけ続ける工夫が絶妙。
    百次さんしか存じ上げませんでしたが、なんとも魅力的な芝居をされる役者さん揃い。
    ぜひ、また大阪でも公演していただきたいです。

    ネタバレBOX

    姑が嫁に向かって、キンチョールとチャッカマンで火炎放射器をリアルにお見舞いしたときには・・・ぶったまげました(笑)
    ぼおおおお!って、ほんとに炎吹いてるし!度肝抜かれました!!

    おとなしくだいぶヘタレな夫役と、小憎たらしく小生意気なご近所の男の子の二役な、百次さん。
    その演じ分けがカメレオンで、さすがな芸達者ぶりを見せ付けられました。
    男の子のときは、ぶん殴ってやろうかと思う憎たらしさで(笑)
    夫のときは、あなたがしっかりしていれば・・・と情けなく、そしてこんな旦那は絶対いやだと思いました。
  • 満足度★★★★★

    田舎なんだけど、社会派
    芝居は基本的に東北なまりで行われます。すべてのセリフを理解することはできなんいんですけど、要所要所の重要なセリフはゆっくりと話してくれたりするのでストーリーがわからなくなることはありません。
    むしろ、田舎のどこか懐かしい空気感を作り出してくれます。

    ネタバレBOX

    田舎の懐かしい空気の一方で、芝居は意外な社会派。
    ふすまの中にいる桜子は引きこもりを想像させられます。
    そしてその桜子をいびり、宗教にはまっていくキヨ。リアルです。
    夫のトモノリは仕事をせずに、桜子から逃げる。
    キヨは最後には寝たきり状態になる。

    再演ということで、時代性を考えてもテーマは引きこもりですね。
    暗い重い芝居になりそうなところですが、そこを笑いと方言で重すぎなくサクサクと芝居を進めていきます。
    ハッピーエンドを期待する一方で、ラストはバッドともとれるハッピーとも取れる。その感じがまたいい。
    いいしばいでした。

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