ある日、受講生のひとりがこう言いました。
「観劇って、普通の人にとってすごくハードルが高いことだと思うんです」
彼女の提案はこうでした。
「だから、ハードルを低くして、一般のお客さん皆に観に来てもらいやすい作品をやりませんか」
しかし、私は思ったんです。
普通の人って、誰?
一般のお客さんなんて、どこにもいないんじゃない?
それは、このプロデューサー講座に参加している10名が教えてくれました。
初めて出会った彼らは、私の目には誰よりも「普通」に映ったのですが、接するうちにびっくりするほど個性豊かな人間の集まりだったと分かったからです。
「普通」の作品なんて、誰が作ってやるものか。
10名のプロデューサー候補生たちに、演じる役者たちに、関わるスタッフたちに、観に来てくださるお客さまたちに「これこそ『私の』作品だ」と思ってもらえる、そんな作品を届けたい。
彼となら、彼女となら、あなたとなら、きっと同じ景色を心に浮かべることができるんじゃないか。
そんな予感がするのです。
ナビゲーター:水口美佳