アンチクロックワイズ・ワンダーランド 公演情報 アンチクロックワイズ・ワンダーランド」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.1
1-20件 / 33件中
  • 満足度★★★★★

    アンチクロックワイズ
    ひねりすぎとも言えるほど台詞と場面が何重にも折り重ねられているのが面白かった。

    ネタバレBOX

    最新作に対する批評に気を病む作家の葛河。灰色の柱がいくつも出てきて灰色の服を着た青年と女が葛河を見つめる(以下、彼らが現れるときは柱も出て来る)。赤ん坊の形をした人形らしきものを作る妻悦世と人形作りを指導している近所の医者梶原。梶原は悦世が作ろうとしている青年の人形に取りかかることを促す。赤ん坊は青年の原型のようでもある。悦世は葛河の最近の作品の出来が気になっている模様。お手伝いで葛河に気がある希緒が赤ん坊の形をしたものの仕上げ。悦世は希緒に葛河に今朝渡したものについて何か言ってないか聞く。担当編集者野口。赤ん坊の形をしたものは夕食のおかずのようだ。
    葛河は悦世が梶原から渡されたメモに出ていたネットの素人批評サイトでも自分の最新作が酷評されていることを知りショックを受ける。バーで知り合った速記者の女満智子を突き落として殺した容疑で滑川らがが事情聴取され、そのあたりから時間の番版が解けた感じ。その女は作家の大ファン。取調べをする刑事安倍と若山。禿げの若山は猫を探している。取調べを受ける野口の話も調書もだんだん変化してゆく。満智子の部屋で葛河が話す小話は、満智子が階段から落ちる白昼夢を見て思いついた後日譚。植物状態の満智子に恥ずかしめる話。満智子はその話を気に入る。葛河は彼女からも最近の作品を酷評され激高し、階段から突き落とす。最新作のなかの登場人物、たぶん、「公園に迷い込んだ素性がわからない女」が葛河の前に現れる。葛原は女と前に会ったことがある気がする。このあたりから時間と言うか因果の連結が逆流した部分を現れてきたようである。野口の携帯の電話がずれ、供述書が消えてゆくなど。安倍は、何かが入ってきた、と言う。安倍は若山にとにかく動けば何かわかると説いて2人で夜の街に出てゆく。
    女と葛河は公園に行って「革新的な時間理念を持つ青年」らしき男と会う。そこで観念的な議論。青年が女をふり払ったときに女が右膝を擦りむく。希緒が公園に来て一緒に去る葛河に青年の「今夜はもっとひどいことになるぞ」との言葉。青年が誰か見ているという。それを確かめるために青年と女は公園から出てゆく。
    野口は誰かから電話を受けて満智子が倒れているところに行く。満智子は起き上がるが頭が割れている。野口はそれを見て感動。脳がこぼれ落ちて、それを掬った手をぬぐう満智子の姿にも感動。安倍と若山が公園から作家の家に行くと、希緒が手首を切って自殺。安倍らが人形のようだと言う。輪郭がくっきりとしてきた青年と女。女の右膝の傷が悪化。若山と遭遇。女を病院に連れてゆこうとする若山に青年が鉄パイプで襲いかかる。
    満智子は梶原の病院に運ばれて植物状態。葛河が作った小話通りの展開。梶原が野口に悦世が人形を作っている動機を話す。夫のように無から世界を作り出したいと言う。(最初のほうで希緒にいてもらうのは夫のためという会話があったような)。野口は既視感を憶える。野口は梶原に人形を作っている部屋を見せてもらいそうになるが、野口が断る。(※このあたりの話の順番を忘れた)
    梶原は野口に葛河と満智子の間には何かありそうだと言う。安倍が病院にたどり着くが梶原に役割を終えていると言われて消える。
    葛河は病室で、満智子が実は妊娠していて、その子供が後になって自分の前に現れたという小話をする。それが実は満智子だと言う。満智子が植物状態になったのは自分ではなく葛河だと言う。葛河は書けなくなっている。植物状態の葛河に母親の復讐だと言う。悦世が満智子に葛河が父親だと教えた。悦世は葛原に自分はずっと傍にいたからと言う。
    病院に寝た女。それを見守る青年。離れて座る若山。葛河も現れる。青年の独白。出てきてひどいことになったと悔やむ。女の独白。あなたがたに会えたんだから出てきてよかったと言う。
    葛河が茫然としている後方にいる若山は本を手にしていて、それを葛河に渡すときに、猫はどうなったのか聞く。葛河は観念的な答えをしたような。
    朝の食卓。葛河と悦世。葛河の前には妻から渡された(若山から渡された)本が置いてある。
    最後にテーブルに座る葛河を他の登場人物が囲み、葛河が彼らを順に見ていって終了。
    --
    基本的な作品構造はマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』(長塚圭史には同名の戯曲があるようだ)のように時間が円環をなしていること。因果律がアンチクロックワイズになっているというより円環を通じて現在が未来としての過去を変えてゆく。時間が大きな円環をなしていることによって無数の小さな円環が生じ、アンチクロクワイズな状況になる。
    「ホイヘンスの原理」で満ちた時間の環。時間の環のなかで劇自体が作中で言及される「さよふけ何とか」という小説にもなっている。このような何かと何かの重ね合わせみたいな状態は登場人物にも波及して、彼らは現実の人物であるとともに「さよふけ」のなかの登場人物でもある。青年は悦世が作ろうとしている青年の人形であるとともに「さよふけ」のなかの「革新的な時間理念を持つ青年」でもある。希緒は葛原家のお手伝いさんであるとともに、悦世が作った自殺した女の人形のようでもある、それととも「公園を訪れる女」のようにも思われるのだが(と言っても性格がかなり違う)、梶原の病院を看護婦姿で通りすぎることもある。満智子はバーで男を漁る速記女であるとともに、速記女の母でもあり、生きているとともに死んでいる。女は「さよふけ」の「公園を訪れる女」であるが悦世が作った女の人形のようでもある。「さよふけ」は葛原の作品であるとともに悦世の作品のようでもある。
    事象が波紋と波紋の重なりで存立しているという事象描像。青年と葛原の問答もこうした描像についてなされていたように思われる。
    時間の環のなかで記憶は持続せず残像のようになって消えてゆく。安部がこの点について自覚的な役割。安倍と若山は時間の環から事後にあるかのような形で環のなかに入っているので、彼らの時間性が浮揚したようになる。野口の場合は後になるにつれて「さよふけ」の記憶が残像化して既視感として現出する。若山は猫がいなくなったことの残像、あるいは「さよふけ」のなかで猫がいなくなったことのみに引っかかっている。
    悦世と梶原はこの作品のなかでの二つの固定点。彼らの記憶は変様しないし白昼夢も見ない。
    葛原は生々しい物語を作り出すのを本領とする作家だが時間の環のなかで悦世や満智子の欲望に時折転移して小話を繰り出すだけの受動的な存在として翻弄されている。
    舞台空間は抽象化されていて、セットはテーブルと椅子と、移動式の灰色の柱のみで、しばしば複数の場所が同時平行。
    音楽はシンプル。葛原の書斎では時計の音が。満智子が出てるシーンで異界的な音。
    照明は明暗・陰影を出す感じで構成。場面転換で暗転。
  • 満足度★★★★★

    おもしろかった。
    虚構、過去、未来、現実が入り混じって物語が進行していく。
    それを前提に観た方がわかりやすいし楽しめると思う。
    観客も物語の主人公達と一緒に物語の中に入ってこの状況はどういうことなんだろうと考えられる作品。
    観ていてわくわくする作品だった。
    ミステリーを体感しているみたい。
    今回プレビュー公演だったのでこれからどうなっていくのか楽しみ♪

  • 満足度★★★★★

    スマートな迷宮
    ひたすら実存的な言葉(しかも現実虚構の実存入り乱れた言葉)で会話がなされるので、頭を全力で開いていないと置いてかれる。コメントを参考にずいぶんと気合を入れて臨んだのだが、一瞬気がそれたらだいぶ置いてかれかけた。
    けれど内容はといえば、虚構と現実についての考察と実践という点からみて、その入り混じり具合も台本上での言葉と演劇の仕組みと組み合わせバランスも非常に上手いことやっており、似た試みをしてきたあまたの作品の中でもかなり成功してると言えるもの。虚構と現実らしきものの境目にあるラビリンス。少なくとも自分はワクワクしっぱなしで2時間みれた。

    小説に書かれた言葉は必ず物語とかかわりがある、みたいな言葉(詳細不確か)をどっかで聞いたことがあるが、みていてその言葉を強く想起させられた。物語、特に文字で書かれた物語というものは常に恣意的。それをひっくり返して考えた所にこの舞台の始点があるように思う。

    ネタバレBOX

    個人的にやられたのはラストのオチ。虚構と現実を主題に据えるとどうしたってそこに帰着せざるを得ないよなという所にやはり落ち着きはするのだが、その見せ方のスマートさに唸る。
    あれだけで伝えられるし伝わるというのがやっぱり演劇の強みなんだよなあ。
  • 満足度★★★★★

    物語に飼いならされた…
    演劇を、ストーリーを物語る「手段」としか考えない人は、本作を、わけわからないもの、おもしろくないもの、意味ないもの、残念なもの、期待はずれとしてとらえる。しかし、そういう評価を下すものがいるならば、それはいみじくも、評者自身が、「物語に飼いならされている」ことを表明していると感じる。

    理解できないことを楽しむ度量があれば、もっと大きな喜びや楽しみや感動が得られる。

    未来の日本演劇界のために、本作品における長塚圭史氏のチャレンジを受け止めてあげたい。受け止めてほしいという思いが止められません。

  • 満足度★★★★

    個性のある役者さん
    池田さん、伊達さん、中山さん、山内さん、小島さんなどなど
    お気に入りの役者さんが多かったんですが
    今回はその個性は封印し、長塚ワールドに。

    美術も大がかりなものはなく、奥行きのある、簡素な感じ。
    その中で、場面を舞台上のキャストの掛け合いで変えていく。結構好きでした。





    先行予約で購入したのだけど、見切れる席だったのは残念。
    後ろでもいいから正面で観れた方が良かったでしょう。

  • 満足度★★★★

    果てなき挑戦に拍手!
     人気絶頂の阿佐ヶ谷スパイダーズ代表の長塚圭史が、文化庁の芸術家留学制度で1年間の海外留学をし、その成果を見せつけようと、満を持して行った公演が今回の『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』。期待に胸を膨らませて観に行ったが、その期待はうれしくも(?)裏切られた。

     長塚圭史は過去の栄光や功績にとどまることなく、あえて今回冒険とも思える公演を打った。さまざまな人の感想を聞くと賛否両論である。あまりに難解であまりに理解することを拒絶したような作り。舞台装置もほとんどなく、音響や照明に凝ることもなく、ストレートプレイでありながら、ストーリーはわかりづらく、笑うシーンなど全くない。

     終わった瞬間もここで終わったのかと観客はとまどい拍手をする手もためらいがちだった。海外留学からの凱旋公演。本来なら溢れる拍手でカーテンコールを繰り返し、長塚圭史をひきづり出したいところだが、そんな雰囲気ではなかった。

     しかし、長塚圭史はその光景にしてやったりと思っているのではないだろうか。(以下ネタバレで)

    ネタバレBOX

     物語は作家の夢の中の物語、ネットの劇評で袋だたきになるシーンは、今回の公演を予見し、開き直ったと考えるとなかなか面白い。見る側と見られる側、そして物語の中と外、未来と過去、それらがたくさんの象徴的なキーワードとともに、想像力をかき立てながら縦横無尽に展開してく。

     人形、猫、殺人事件、取り調べ、バーの女、病院、そしていつも誰かに見られている気がする男。パラノイアの男の頭をのぞき見たように、物語は分裂しながらも一人の作家像を象徴的に見せてくれる。この作家こそ長塚圭史そのものではないのか。
     
     とすると、今回の公演ほど奥深く興味深いものはない。人気劇団として、客受けする芝居を安易に選択しなかったことに、長塚圭史の志しを見た気がする。
  • 満足度★★★★

    「リアル」とは何か?
    生の舞台で初めて観た阿佐スパ。
    とても刺激的!
    観ている側の想像力を最大限に広げていく展開は、多くの「誤読」を生んでしまいそうなのだけれども、その危うさがまたいい感じ。
    ただ、この面白さは、“岩波文庫的”な面がかなりあるので、友人みんなに薦められるかどうは自信なし。
    それにしても、本多劇場で補助席の当日券が5,800円・・・というのは強気だなぁ。

  • 満足度★★★★

    演技は満足でも考えた・・・
    プレビュー公演を観劇しました。未来・過去・虚構・現実が、入り混じっていて、油断すると・・・ あれ?どうなってんの??? って・・・ ん??? 考えることが多かった・・・逆に病みつきになりそうな感じさえあるかなぁ?
    役者さんの演技はやっぱり素晴らしかったなぁ~

  • 満足度★★★

    レビュー書きにくっ!
    悩める作家が迷い込む、時間軸や構造原理さえも曖昧な精神世界。不条理で難解なものは個人的には苦手だが、奇妙な登場人物(特に村岡さん)と台詞に惹きこまれた。主人公と長塚氏がオーバーラップしてしまい、だから、その、ここにレビュー書きにくっ!。

  • 満足度★★★

    未来・過去・虚構・現実
    感想が上手く纏められないよう~未来・過去・虚構・現実が、入り混じっていて、油断すると・・・ あれ?どうなってんの??? って・・・ ん??? 考えることが多かった・・・でも、そのモヤモヤした感じが逆に病みつきになりそうな感じさえあるかなぁ?うまく纏められない? だけど、この消化不良な感じがする感覚が、嫌いじゃない!

  • 満足度★★★

    ちょっと疲れました。
    うーん、ちょっと疲れました。
    緻密な構成力、巧みな展開力、大胆な飛躍、どれもすごかったんですが、綿密な作品であるがゆえに、観客側にも綱渡りしながら針の穴に糸を通すような集中力が要求され、見終わった後に「疲れた」という第一声をつぶやいてしまいました。
    阿佐ヶ谷スパイダース作品は映像を含め、2,3回観ていますが、以前の作品のほうが、シンプルで迫力のある芝居だったように思います。

  • 満足度★★★

    どうなんでしょう
    夢の話なのかなあ。よくわかりませんでした。

  • 満足度★★★

    なるほど
    なかなか難しいお芝居でした。が、この先に何か待っているものがあるのかもしれないな・・・早くそこまで行ってほしいとエールを送りつつ帰宅。

  • 満足度★★★

    期待が大き過ぎたか。
    消化不良、というところでしょうか。
    残念。

  • 満足度★★★

    個性的な出演者。それほど難解ではなく時間と空間が錯綜した世界。
    作家の苦悩から生み出された自作の小説の世界。
    時間と空間が錯綜し、自我を持った登場人物たちが入り乱れる。

    最初、なんとか展開を理解しようと考えて難解にも感じ、
    提示されたものを観る人なりに楽しめばいいや、
    とも割り切れず、考えながら探りながらの観劇です。

    それでも、池田鉄洋さん、光石 研さん、山内圭哉さん
    ほか、個性的な俳優さんたちと、
    小島 聖さん、馬渕英俚可さん、村岡希美さんと
    好きな女優さんが3人も出てて、
    それぞれの演技を楽しみました。

  • 満足度★★★

    寝ちゃった…
    最初は頑張ってついていけたけど、中間部で脱落…
    エンディングが意識不明でした。。。

    しかし、話の展開に仕方にはかなり工夫があり、
    やはり演出の上手さは感じた。
    俳優陣もとても上手いのだが、演出と合った演技なのか、
    今一つ腑に落ちず。

    事前期待の大きさからすると、可もなく不可もなく。

  • 満足度★★★

    意外によい評価もあるんだ
    概ね、白昼夢のような捕らえどころのないストーリーも平気ですが
    別段、ぼく的には心地よい空気でもなく、「いつ終わるのかなあ」って
    途中から思って観てました。

    綿密に緻密そうにみせて、気持ちにすとんと落ちてこないのは
    作家の苦悩が理解できていないからか、緻密じゃないからか。

    しかしきっと次回作も観に行きますよ。

  • 満足度★★★

    長塚さんの夢って
    嫌な部類の夢からインスピレーション受けたのかな?
    「失われた時~」の評判に、桜姫に触発されたのか墓守みたいな
    男と女も自分の中から飛び出して、夢うつつな不確定な自分を生きる
    そんな主人公と、見守る奥さんの物語だったりして。
    中山さん山内さんコンビは好きですが、後半絡みがなくて残念
    初めて生で光石さんの演技が見れて少し満足。
    なんとなく好きな思いつきを舞台に上げてくる長塚さんは今後も
    目が離せません!でも少し離そうかなと思います。
    評判はきにせず色んな挑戦して頑張って下さい。(ケラさん長塚さん)
    ちょい笑えてニヤニヤしながらこんなの来たかぁ~と楽しめた舞台でした。

  • 満足度★★★

    イライラ・・・。
    長塚作品は好きで、今回も面白いと思える部分が多かったけれど、役者さんがそれを充分に表現できてなかったように思います。
    とにかく不十分と感じました。

  • 満足度★★

    ???
    着いていくのが精一杯、しかもどれぐらい理解できたのか疑問。
    帰国後1発目。
    観劇後はお芝居の内容よりも、
    留学中に長塚さんが何を学び、何を見てきた、のかに興味がわきました。
    それにしても役者さん豪華ですね。

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