稽古場公演2019「野鴨」 公演情報 稽古場公演2019「野鴨」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★

    噂に聞いていて自宅から自転車でも行ける近所の演劇塾兼劇場で観劇。
    発生や表現力は研ぎ澄まされており流石のレベルだが、どうしてもこういう古典劇を楽しめない自分がいる。でも、別に芸術に迎合する必要もないと考えている。本当に楽しいと思えるものに時間を投資したいものだ。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/02/16 (土) 13:00

    仲代劇堂の地図はちょっと判りづらいので、初めての方は時間に十分余裕を持って行ってくださいね。

    「野鴨」の舞台を観るのはこれで2回目だが、やはり演出の仕方でかなり違う印象を受けるものだ。
    実のところ、前回の舞台では、グレーゲルスとヤルマールの印象だけが強く残っており、他の登場人物はまるで舞台装置のように、物語を進める上での存在でしかないように感じた。ヘドウィックの死さえ、この2人に振り回された不条理なものに思われ、釈然としない気持ちのまま終劇を迎えたと記憶している。
    グレーゲルスとヤルマール双方に、嫌ーな苦々しい思いを抱いた。

    しかし、今回の舞台は、登場人物個々が非常に際立っており、登場人物全てにある種の純粋さが存在していることに胸を打たれる。ヘドウィックの死も、野鴨よりも大事なものを代償にするといった清廉さをもって受け取れる。そして、暗示される最後のヴェルレの行為にも。
    グレーゲルスの理想追及にも、青年期の稚拙さや無謬性が感じられ、偽善や自己正当化を感じることなく、ラストの悲劇を際立たせていたように思う。
    よくできた舞台だった。


  • 満足度★★★★

    初めて無名塾の稽古場公演に足を運んだ。
    イプセンの「野鴨」、そのあらすじくらいは聞いたことがあったが
    作品を観るのは初めて、無名塾も初めて。
    静かな住宅地に、主張しすぎずセンスと個性の息づいた建物外観と
    重みのある作品が相性の良さを感じさせる。
    哀れな野鴨は飼い殺しにされ、そして本当に死んでしまった・・・。

    ネタバレBOX

    アクティングスペースには白い椅子が1脚のみ。
    重々しいBGMがこれから起こる悲劇を予感させる。

    豪商ヴェルレとエクダル老人はかつて共同で事業を行っていたが、
    ある不正の罪をエクダル一人が被って投獄、彼は精神に異常をきたしてしまう。
    ひとり息子のヤルマールも大学を中退し、一族は没落する。
    反対にヴェルレはその後も事業を拡大、成功を収めている。

    罪の意識からか、ヴェルレはエクダル一家を金銭的に支援している。
    ヴェルレの息子グレーゲルスは、父親のその偽善者ぶった行動が気に入らない。
    当然のように恩恵を受けるエクダル一家も、真実を知るべきだと思っている。
    ヤルマールの妻が、かつて自分の家の使用人だった
    ギーダであると知ったグレーゲルスは、ヤルマールに彼女の過去を告げ
    全てを知ったうえで新しい家族としてやり直してこそ「理想」の家族だと
    信じて疑わない。

    ところがこの「理想」は、エクダル一家を崩壊させる。
    ヤルマールは真実を受け容れられず、ヤルマールを慕う娘のヘドウィックは
    家を出ていくという父親に絶望して拳銃自殺してしまう。
    思いがけない展開になすすべもないグレーゲルスは、ただの罪深い理想論者。

    老い先短く、間もなく失明する運命のヴェルレは
    何人目かの愛人セルビー夫人と正式に結婚、引退を表明する。
    互いにこれまでのことをすべて包み隠さず告白し、その上で決めたと言う。
    隠されていた真実によって幸せな暮らしが一瞬にして崩れ去るヤルマール一家と
    鮮やかな対比を成している。

    グレーゲルスは金持ちの息子としての人生を享受しながら
    それを築いた父親を批判している。
    運命を受け容れざるを得ない立場への理解が欠落している。
    非常にバランスの悪い、机上の空論で他者を追いつめるだけの男だ。
    一方のヤルマールも、現実を直視できない、解決も対処もできない幼い男。

    対する女性陣は強くしたたかに生き抜く知恵を身につけている。
    セルビー夫人は賢く、思いやり溢れる魅力的な女性だし
    ギーナも夫の弱さを知り尽くして上手く操ることのできる大人の女だ。

    セルビー夫人の世慣れた余裕のあるおおらかな態度がとても爽快だった。
    演じる西山知佐さんの容姿と柔らかな声がぴったり。
    ヴェルレ役の鎌倉太郎さん、“間違いだらけの”人生を送って来た老人の
    渋みが上手く出ていて、これも愛すべき人間の正直な姿なのだと思わせる。

    「真実」にいったいどれほどの意味があるのか。
    「理想」はひとを幸せにするか。
    正しい行いだけが幸せになる道なのか。
    ヴェルレの最後の選択がいつまでも残っている。



  • 満足度★★★★★

    不義の娘は、出生の秘密を知りショックを受ける。大人の事情で、彼女は自殺に追い込まれた。後半の修羅場が、秀逸!とても感動的に仕上がっていました。

  • 満足度★★★

    イプセンの「野鴨」を観るのは初めてでした。登場人物が中でグレイゲルスがけっこう面白い。「理想の要求」を自分人生では実行しようとせず冷笑的に父親に接するその姿。彼は欺瞞を嫌っているのに欺瞞に満ちている人物なのがいいです。

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