desnudo Vol.16「牛女」 公演情報 desnudo Vol.16「牛女」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★★

     フラメンコと言えば日本人が最初に想像するのはヒターノであろう。迸る情熱と哀愁を帯びたメロディー、緩急を基調に凄まじい迄のタップに激しくかき鳴らされるギター。踊りが演じられるのは場末の安酒場とくれば、もう映画そのものという感じがする。(ブラボー!)

    ネタバレBOX


     然しながら今回演じられたのは、フラメンコはフラメンコでも、童話作家・小川 未明の作「牛女」とのコラボだ。用いられている楽器は、ピアノ、チェロ、尺八、ギター、パルマ。ピアノ奏者は歌も歌えば作曲もする。フラメンコ自体非情にレベルの高いものだが、朗読、楽器演奏や歌唱とのコラボを含め全体のアンサンブルが素晴らしい。ダンサーたちの身体訓練もキチンとしていることは明らかだ。お年を召したダンサーもいらっしゃるが、踊りの要である足腰の鍛錬によって可能な限り姿勢も制御している。ヒターノの狂熱的なダンスではないが、身体の基本を良く知り、極めて合理的に制御している技術とそれらを可能にしている基礎鍛錬が素晴らしいと同時に衣装にも気配りが効いてダンスを盛り上げている。無論、基本はタップなのであるが、物語りの内容に応じて緩急のみならず、強弱から無音に至る総ての階梯を実に納得のゆく演技で表現している。
     牛女が亡くなる辺りから、息子を思って何としても亡き後も見守ってやりたいとの切なる念の表現も母の有難さをひしひしと感じさせる。キュートでありながら、深く包み込んでくれるような温かな愛の表現である。牛女役でソロを演じる鍵田 真由美さんのお顔が菩薩顔ということもあって理想の母像としても拝見した。
     母を亡くした後、南に行って成功し、故郷に錦を飾った息子は広い土地を買い林檎園を経営し始めるが、大地に感謝するシーンがあって、農民の本質を良く理解していることもうかがえる。
     最前列桟敷席で拝見したので、腰の悪い自分は腰の痛みに耐えられるかも不安だったのだが、終演後、スタンディングオペレーションをする人が何人もいたが、それも充分頷ける内容であった。
  • これだけ踊れるバイラオーラ、バイラオール(踊り手)がこれだけ出て、腕のあるミュージシャンの生演奏、語りに蛍雪次郎さん。ついでに小さくて素敵な空間。やっぱり贅沢!
    せっかく小さな会場なのだから、演奏も語りも完全アンプラグドだったら良かったのにとも思うけど、客席の都合で、そうもいかなかったのかもしれませんね。

  • 劇、音楽劇でした。
    私自身は音楽踊りに特化したものの方が好みだけど、この世界観はこれで素晴らしいものだと思いました。

  • 良い舞台だったと思います。

  • 満足度★★★★★

    母の情念を切なく訴えかけるこの物語は読書という形でも伝わってくるわけですが、生々しくも美しい肉体に物語が宿り表現される迫力といったら

    農作に勤しむ村民達の生命力・・・牧歌的でありながらもヒシヒシ伝わってくる労働者の高揚感

    子猿のようにじゃれてまとわりつく息子を大きなガニ股で軽々とあやしつつ、彼を育て守るため力仕事も厭わないパワフルで温厚な母の表情・・・ずっとそのままでいて欲しいと願わずにはおられない蜜月のとき

    母親の病魔にも気付かず甘えてくる息子をしっかりおんぶしながら、滲み出る苦悶の表情・・・例え死んでも息子を守り抜こうとする決意の表情

    原作から想像した今回の舞台化は、どちらかというと「静」のイメージだったのですが、移りゆくシーンのひとつひとつは、時には切なく優しく、時には心撃ち抜くド迫力でもって実に表情豊か、最初から最後まで心揺さぶられっぱなしで圧倒されっぱなし。
    思い返せばただただア然と見入っていた時、演者さんと一瞬目が合い「呆けた顔を見られてしまったなー」と(笑)
    鍛え抜かれたドラマチックな動き、その動きで舞い上がる風、繊細な腕の表現力、ダイレクトに身体に響いてくるステップ。
    あり得ない程間近でフラメンコを鑑賞したのは初めてでしたが、心から素晴らしいと思いました。

    もちろん生演奏。尺八が和の差し色になっており、絶妙なパルマ(フラメンコの手拍子)奏者、語り部の染み入るような声、成長した息子の心情を歌詞にのせた歌唱、全てが融合して完成された本作はフラメンコを超えた極上のエンターテインメントといっても過言ではありません。

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