公演情報
「光より前に〜夜明けの走者たち〜」の観てきた!クチコミ一覧
満足度★★★★
鑑賞日2018/11/22 (木) 19:00
円谷さんの追い込まれていく様は、現代にも通底する気がします。
でも、振り幅が大きくて笑えて泣けて、しっかりエンターテイメントです。
シンプルな舞台装置ですが、ブレヒト幕としても使っていて、
唸っちゃいました。
11月23日のアフタートークには、君原さんご本人が登壇される様です。
満足度★★★★
鑑賞日2018/11/17 (土) 18:00
円谷幸吉の自殺は知っていたが、いかに追い込まれた末だったかは、今回の舞台で初めて知りました。君原の名前は聞いた気がしますが、メキシコ五輪2位だったとは。円谷の悲劇の影にうもれてきたと思います。
知っているようで知らないふたりのメダリストランナーの人生を対比させながら、胸に迫る舞台でした。円谷役の宮崎秋人は、山場では涙と鼻水を垂らしながらの熱演で、その激しさに圧倒されました。道案内役の中村まことも低めに響く「声」が良かった。バッハの通奏低音のように、時に北に南に、あるいは数年後へと場面のとぶ舞台をしっかり下支えしていた。
なんといっても、この題材を舞台にした企画と、焦点を絞って無駄を省いた舞台作り、キャスティングがよかった。
満足度★★★★
こういう手もあるかとは思った。
話は前の東京オリンピックのマラソン走者・円谷と君原のオリンピックを戦った後の、次のオリンピックまで。円谷は重圧で自死し、君原は我を通してメキシコでは2位になる。円谷遺書がよく知られているから、おおよそのことは皆知っている。50年前、当時のことだからパワハラもあったし、無責任ジャーナリズムもあった。
それを改めて今、舞台にかけるというのは、オリンピックが近いとか、スポーツ界のスキャンダルがあるとか、時勢を見てのことだろう。
しかしこれほど舞台に不向きな素材もない。42キロのロードレースをやるわけにもいかないし、円谷は自衛隊員、家族は確か30人ほどもいたはずである。遺書はその家族一人一人の名を記したところが泣かせ場のクライマックスだから、どうする。二人のランナーは気質も違うし場所も東北と九州。パワハラも自衛隊と八幡製鉄(新日鉄)だから、ありようも違う。映像は、オリンピック委員会の規制がかかっているから使えないし、ドラマにして、丁寧にやっていたら、時間はともかく、経費はどれだけあっても足りない。
そこを、この舞台は二組の選手とコーチ、ひとりの記者の五人の出演者のノーセットドラマでやってしまう。一種の証言ドラマ、記録ドラマである。朗読の変形と言ってもいい。五人のそれぞれの立場からのほとんどモノローグの中身なのだが、時折芝居になる。下手にやれば、寒々しいだけなのだが、これは事件の面白さで2時間は持つ。作演出は要領もよく、注文仕事を良くこなしてはいるのだが、うわべをなぞっただけという印象は拭えない。役者への注文もほどよかったようで、余計なことをしていないのでまとまってはいるが、この話は本来まとまりきれなかった男の話だから、限界がある。
それにしてもこの、当時の流行歌のようなタイトルは興業元らしいと言ってしまえば、それまでだが、もっと今風に考えないと、客は来ないよ。
満足度★★★
東京オリンピックを見たのは中学生のときだった。白黒テレビの前に家族揃って見ていたのだろう。今走り出したように元気なヒートリーがどんどん近づいて来るのを見て悲鳴を上げていた気がする。
私が持っている円谷のイメージは朴訥な田舎のおじさんなのだが舞台上の円谷は元気な今風の若者である。君原も何か違うなとは思うものの私の記憶も消えかかっている。もっとも東京オリンピックの時点では円谷24歳、君原23歳であったので現代の若者に置き換えればこんなものなのかもしれない。円谷のゆったりとした走り、君原の苦しそうに頭を傾げる走りを真似る様子はまったくなかったし、人物像も似せる気はないのだろう。しかし苦悩という言葉とは縁の薄い人々にしか見えなかったのがちょっと残念ではあった。
ストーリーは時系列に沿って淡々と進んで行く。東京オリンピックのときの君原への期待は大きかっただけに彼の円谷への嫉妬羨望も激しいものがあっただろう。そこだけで一編の栄光と挫折の物語なのであるがあっさりと流されてしまった。円谷の苦悩も表面的なことを並べているだけでどこかよそよそしい。
元になった話があまりに劇的であるおかげでこの芝居も十分に感動的である。しかし演劇としてはそれ以上の掘り下げが欲しいと思った。
アフタートークに登場した青山学院の原晋監督は表情、身のこなし、トーク力、どれをとってもベテラン俳優のそれであった。マラソンに限らず昔の日本人選手は本当にプレッシャーに弱かった。しかし今では心臓に毛が生えたような選手も珍しくない。それにはこういう新しいタイプの指導者の影響も大きいのだろう。