アスファルト・キス 公演情報 アスファルト・キス」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/01/19 (金) 19:00

    音響、舞台装置、照明とても素晴らしい。時々挿入される、アスファルトキスの現場のフラッシュバック(雨の夕刻、皆傘をさしている)も、物語をよく引き締めている。
    ラストへの伏線も、きちんとあるし(主人公の義父のセリフや仕草、妻の心情吐露)、サスペンスとしては面白い出来だと思う。

    しかし、皆さんがおっしゃっているように、同性愛や事件のねつ造、権力者のエゴや民衆の悪意、1つ1つを取ると、確かに未消化というか、半端な感じは否めない。

    もう70年前にもなろうかという時代を描いた戯曲なのだから、それなりに演出家も工夫を凝らしたのだろうけれど、もっと現代に引きずり込んでもよかったのかな、と思う。
    刑事や新聞記者の悪意も、単に傲慢であるだけではなく、もっと陰湿で匿名性の高いものであったらと思う。

    でも、こうした半端さを含めて、好きだな私は。

    ネタバレBOX

    主人公のあずかり知らぬところで成立してしまった四角関係。
    義父が、新聞記者を訪れる場面で、泥酔しある職場の女性の悲惨な顛末を、朗々と喋る場面があったけれど、あれは何なのだろう。何かの改心?
  • 満足度★★★

    遠い昔の映画で見たような、警察やマスコミの「賄賂」「でっちあげ」「恫喝」が幅を利かせている、「警察」と聞いた人たちが一様に眉をひそめる、そんな時代。女性を物のように扱ったり、人権という言葉が無いような描写に衝撃を受けた。時代背景や文化が違う所為か感情移入できる登場人物が居らず、違和感や嫌悪感ばかりが先に立ってしまった。登場人物がみんな人の話を聞かず大声で自分の言いたい事だけを言っていて、結局最後まで何が真実で、誰が本当の事を言っているのか分からなかった。その中でただひとつの真実がラストに明かされたことで、自分の中で作品が消化されたように思う。サスペンスドラマの手法であれば、腑に落ちる感じがする。わたしにはなかなかハードルの高い作品でした。

    ネタバレBOX

    ・シリアスなシーンでの音楽がラテンのリズムで、ちょっと笑ってしまった。
    ・パフォーマンスが間に挟まる演出はやっぱり苦手。
    ・畑中くんは巻き込まれ役が似合うなぁ。
    ・裕朗さんの新聞記者はいったい何を求めていたのか。
     特ダネ欲しさなのか、面白半分なのか、承認欲求の発露だったのだろうか?

  • 満足度★★★★

    最初は順当に主役青年の視点・立場になって物語を観ていましたが、段々辛くなってくる。
    なので青年の義妹の視点へと乗り換えることに。
    義妹は事件から程よい距離間、一歩引いた客観的視点ゆえ、なかなか具合がいいぞっと思っていたら・・・あちゃ~

    「腐敗したマスコミの実態を暴いた物語」そう解釈して観ていたものが、本流にもっと怖い正体がある事に気付かされます。
    紛らわしい行動が、悪意あるマスコミに利用され拡散されたその先。
    自分の場合は?とイヤでも問いかけてくるシンプルゆえにストレートな作品でした。

    事件に対する世間の反応のしかたに違和感がある等、実際の原作はすんなりと飲み込みにくい作品なのではないかと推測しますが、演出によって喉ごし良く観られる工夫が色々と施されているのは充分感じ取ることができました。

  • 満足度★★★★

    ブラジルの脚本だから、南米戯曲の多くがそうであるように思い込みが多い。そこを日本の時代に合わせ整理上演したという。
    舞台面は、スピード感もあって、コンテンポラリーダンスのような象徴的な場面を挿入しながら,進む。或る雨の日、都市の交差点で交通事故で通行人が事故死する。その死の直前に、たまたま居合わせたこの劇の主人公が求めに応じて、その直前のキスをする。それをたまたま見ていた新聞記者が、男同士のキスを興味本位で記事にする。そこから・・・
    という展開なのだが、なにぶんにもほぼ70年前の戯曲である。最近ロンドンで作者の没後記念で上演したと言う事だから(演出者も同じ)そこからとっての、この日本上演だろう。
    発表当時と最も違うのはLGBTに対する市民感情の変化だろう。
    多分、とこれは憶測でしかないが、原作はもっとゲイについて論及していたのではないか。
    今回の上演ではそこはすっぽりと抜け落ちて(あるいは抜け落ちざるを得ない事情があって)いて、ドラマはその無責任な新聞記事によて巻き起こされる、現在で言えば、情報社会、ことにSNSの跋扈に対する告発劇のようなところでまとめている。
    長年小劇場で苦労してきた古城十忍(共同演出)らしい配慮で、こうでもしなければ持たない、と感じた時代感覚はさすがであるが(パンフレットにそう書いてある)それならもっといい素材があったのではないかとも思う。同じ南米脚本の名作では「死と乙女」や「谷間の女たち」の世界は舞台を巧みに問題の焦点の外に設定して時代と場所を越えられる演劇にしている。この作品は主人公が遭遇する事件を、直、同じ時間で設定して進行していくので、そのたびに時代のずれを感じてしまう。象徴的シーンの挿入もそれを避けようとした工夫なのだろうが、ロンドンはよくても東京はどうだろう。
    ロンドンはゲイの先進地で、差別とは言ってはならないが、区別を市民が受け入れてその上で市民生活が成り立っている。差別は深く隠れているのだ。そこがあってのこの演出者の工夫だと思う。
    出演者は小劇場出身者で、大劇場の経験もある中堅で、長い台詞を早口でよくこなしているが、やはり吹き替え演劇のような翻訳台詞が抜けていない。むしろ、日本的な解釈でもっとゆっくりした台詞さばきでやった方が観客に届いたのではないかと思う。意外にセット・美術がよかった。

    ネタバレBOX

    ラストは元戯曲があるから仕方がないのだろうが、現代となってはもっと別の締め方もあっただろう。こういう風に終わるなら、もっとゲイに対する家族の反応が描かれていないとなんのことやら、となってしまう。
  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/01/18 (木) 19:00

     ブラジルの作家の日本初演作。交通事故死に遭遇した男が、死にかけている男の求めでキスをしたことが同性愛(という言葉は芝居の中では出て来ない)としてスキャンダルになり、家族が崩壊していく、というテーマだと思っていたし、実際、悪意のある報道や警察の動きでスキャンダル化していく過程が描かれている。しかし、50年代のブラジルという説明は劇中にはないし、その当時のブラジルの文化的背景も提示されないので、単純に観ると、男同士のキスがあれほどのスキャンダルになることに違和感はある。そして、エンディングの出来事で、その「悪意」がテーマなのか、という疑問が残った。そのあたりを丁寧に描いていればと考えると惜しい作品である。

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