満足度★★★★
鑑賞日2018/01/19 (金) 19:00
音響、舞台装置、照明とても素晴らしい。時々挿入される、アスファルトキスの現場のフラッシュバック(雨の夕刻、皆傘をさしている)も、物語をよく引き締めている。
ラストへの伏線も、きちんとあるし(主人公の義父のセリフや仕草、妻の心情吐露)、サスペンスとしては面白い出来だと思う。
しかし、皆さんがおっしゃっているように、同性愛や事件のねつ造、権力者のエゴや民衆の悪意、1つ1つを取ると、確かに未消化というか、半端な感じは否めない。
もう70年前にもなろうかという時代を描いた戯曲なのだから、それなりに演出家も工夫を凝らしたのだろうけれど、もっと現代に引きずり込んでもよかったのかな、と思う。
刑事や新聞記者の悪意も、単に傲慢であるだけではなく、もっと陰湿で匿名性の高いものであったらと思う。
でも、こうした半端さを含めて、好きだな私は。