Rabbit Hole 公演情報 Rabbit Hole」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.6
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★

    平凡と思えるような夫婦の暮らし、確かに数ヶ月前までは幸せな家庭であったが、ある出来事を境に変わってしまう。過去に囚われた妻、未来に思いを馳せようとする夫、その心の持ちよう、葛藤が周囲の人々との関係の中で澱のように沈殿していく。
    ピューリッツァー賞受賞、ブロードウェイでトニー賞受賞した原作、その日本初上演の翻訳劇は日本の情景・状況へうまく取り込むには難しいようだ。
    (上演時間2時間 途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、神戸夫妻(原作はコーベット)の宅内。上手側はリビングルームでソファー、TVがあり、その奥に子供部屋のような別空間。下手側はダイニングキッチン、冷蔵庫が置かれている。全体的に白基調の調度品のイメージから空虚な感じが漂う。

    梗概は、4歳の一人息子が8カ月前に交通事故で亡くなった。その息子(事故)が忘れられない妻、何とか前向きに生きようとする夫、その悲しみに対する夫婦が持つ感情に違いがあり、捩れた関係になる。それを修復しようとお互いを思い遣るが、その行為が自分本位になるところもあり、より深く相手を傷つけてしまうという悪循環に陥っている。

    1部で妹の妊娠が発覚、自分の兄の死を巡り、亡くなった息子への思慕はより鮮明になると同時に、悲しみの感情をコントロール出来ない苛立ち。
    2部で交通事故の加害者少年(高校生)を自宅に招き、その胸中を聞く。少年も事故のとこを苦しんでいたようだが…だんだん高校生活の楽しさも語り出す。
    息子の思い出を仕舞い込みたい思いと、そう出来ない行為(子供が映ったVTRを観るなど)の矛盾。そこに2人の心の悲しさを埋めきれないやるせ無さが見える。

    原作、アメリカという国を舞台に絶望と喪失感をリアリティに描いているが、人間ドラマの嘆きは国が違っても普遍的なものである。しかしその観せ方、演劇という見世物になれば文化の違いを意識させても良いと思うが…。描く内容は理解できるが、その感情表現としてはどうか?日本人の感情として数ヶ月でここまで露骨な会話が成り立つか。その話題に触れないよう気を使う。その重圧・閉塞・絶望・喪失感が先に立つような気がする。
    また視覚として、加害者の衣装「学生服」が端的に違和感を覚える。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★

     日本初演という作品。

    ネタバレBOX

    ピューリッツア賞受賞作品という謳い文句で大体の傾向は見える作品だったが、予想の範囲を超えなかった。大体、アメリカのような世界最悪のテロ国家が何故そのようであるか、という問いを立てるとすれば、その答えの一部を示している作品ではある。大方の日本人はアメリカに対して好意的であるように思われるが、アメリカこそ、最も身近で具体的に日本人に対して害悪を齎している張本人達であるというのが自分の認識だ。以前にも何度も自分がアメリカ人と論争をした話やその結果は書いているので繰り返さないが、アメリカを活性化させている一部のとても優れた移民たちは兎も角として、アメリカの大衆というのは愚衆と言い換えて良い。それはアメリカナイズされたことにも気付かぬ日本会議のメンバーや二元論をデカルトレベルに於いてすら考え抜かなかった知的怠惰の実践者たる諸人物達と変わらない。
     レッドカーペットだの、トロフィーだのにどんな意味があるのか? それを今、我々は考え直してみる必要があろう。問題は内実だからである。いつの頃からかアカデミー賞も、ピューリッツア賞も形骸化してしまったように思うのは自分だけではあるまい。
     そんな賞を取ったからということを売りにして公演を打つことは、果たして本当に小劇場演劇にとって意味のあることなのだろうか? 自分は違うのではないかと考える。今作を拝見して思ったのは、殊に夫役は、♂としての男が、♀としての女に対して非在であることの哲学的意味を問う事なしに、アメリカ社会の欠点である自己主張のみを描き出すことに結果的にはなってしまっていたことである。良い演技とは、役を生きている演技だろう。だが、今作で夫が演じていた演技は洋の東西を如何に演じるか? という視座で構築されていたように思う。女性陣はそれなりに自然に見えた。
  • 満足度★★

    原作を知らないので、話としてどうかということはなんとも言えないが、わざわざ日本に置き替えした事で、ちぐはぐというか、違和感を感じさせてしまう部分が多々あった。原作のままで良かったんではないかと思う。また、舞台の流れに大きな変化が少ないので、どうしても単調になりがち。ラストも“えっ?ここなの?”と意外な終わり方に肩透かしを食らったような気分だった。出演者の熱は感じるが、もう少しそのキャラと、観ている観客の感覚を考えて欲しいと思う。

  • 満足度★★★

    舞台と言う限られた空間の中で頑張って心の葛藤や苦悩を表現していたが、劇にメリハリが無く、少し間延びした感じがしました。
    でも、全体としては楽しめました。

  • 満足度★★★

    友人に連れられ観劇。
    全体としては好きなタイプ。
    他の方も書いてたけど、舞台を日本に移す必要はあったのかな。翻訳の硬さと、日本に移しきれていない細かい所の違和感で、舞台に集中しきれなかった。
    初日という事もあって、ちょっとバタバタしてたけど、役者さんは皆さん良かったです。

    ネタバレBOX

    妹役の役者さんの明るさとパワーは救いでした。
    主人公のお母さん役の役者さんの深い悲しみも印象的。
    ただ、シーンごとのつながり、流れが良く見えなくて、もう少し全体の統一感があったら良かったと思います。

    子供を亡くした家庭って、どういう形であれその子の存在が大きく残ってる筈ですが(排除しようとしても)、その存在感が薄かったのが残念です。
  • 満足度

    「演りたい」と「演れる」は違うんじゃないか。

  • 満足度★★★

    淡々と進んでいく2時間(途中休憩10分間あり)。(以下、ネタバレboxにて)

    ネタバレBOX

    幼い我が子を失った夫婦の、心の空白を題材にした作品だが、コレ、日本の若い作家さんが書くと、登場人物たちを派手に泣きわめくよう仕向けるんだろうなぁ。でも、目の前の舞台では、気持ちの行き違いが招く相互不信や虚無感のさまを、努めて冷静にスケッチしているような描写が続きます。
    そしてラストシーンでは、あまりにもさりげない仕草で、夫婦の「再生」の兆しを表現します(終演後の拍手にやや間があった感じがしたのは、アレでラストと認識していない観客が少なからず存在していたのかな?と推察しました)。
    アメリカ戯曲の日本での上演、派手な演出・劇伴・照明といった「うまみ調味料」をふりかけた作品、少なからず目にしたことはありますが、今宵の『Rabbit Hole』は素材(脚本)の風味を活かした薄味の調理かな。私は素直に好みの舞台でした。

    なお、役者さんに関しては、当方、観劇オジさん故、どうしても男性目線で観てしまうせいもあるが、ラスト近くまで、何処かうつむき加減な姿に映った、(ヒロインの夫)法司役・青木孝裕さんにシンパシーを感じました。

    あと、最後に一点。この『Rabitte Hole』という作品。確かに、現代の東京ならば、さほど違和感はないかもしれないが、設定を米国から日本は移し替えなくてもよかったのでは?と、小川友子さん演ずるヒロインの母・夏の、プロテスタントな内容のセリフに触れる度に感じたことを付記しておきます。

このページのQRコードです。

拡大