満足度★★★
民家で演じられる『ハムレット』というコンセプトが、予想外にストレートな形で実現していることにまず驚きました。演技スペースは民家の台所で、観客は襖を隔てた隣室に着席して、ドラマの推移を見守ります。台本は、複数の翻訳から切り出され、コラージュされたものではありますが、シェイクスピアのせりふと言っていいでしょう。つまり、そこでは、正真正銘のプロセニアムの劇場とよく似たシェイクスピア劇上演が行われていたのです。
とはいえ、二階から現れる引きこもり風青年の妄想=異世界としての『ハムレット』に付き合うという大枠の設定は、ありそうでなかった「劇中劇」としての上演にもなっているわけで、それ自体、興味深いものではありました。また、テキストの抜粋や(時に狂騒的な)演技の意図を理解しかねるところもありましたが、一般家庭のやや古びた台所で演じられる『ハムレット』には、やはり、古典劇としての上演とは異なる顔が現れる瞬間もあり、マシュマロを食べ続けるガートルードにハムレットが詰め寄る場面などは、家庭劇としてもスリリングでした。
家の中の上演として、特徴的だったのは、暗転するために、客席頭上の電気を消したり、雨戸を閉めたりすることです。あの日常だけれど非日常な不思議な時間が、どう演出や演技の中で自覚されているのかも、ちょっと深めてみると面白い展開があるかもしれません。
満足度★★★
『ハムレット』を民家で上演するというコンセプトにワクワクしました。台所をアクティングエリアに、出演者はたった3人。さまざまな手法や演技、ポップな美術で、かなりデコラティブ。
満足度★★★★
作品の詳細については初演時に批評誌『クライテリアvol.1』に書いた。
http://criteria.hatenablog.com/entry/criteria_vol1
初演と比べると「劇的」な要素が強調されているように感じたのだが、私はこの作品の魅力はリアルとフィクションを軽やかに行き来するところにあると思っているので、「演劇であること」の強調は作品の魅力を増すことにはつながらなかった。
もちろん、観るのが二度目である以上、初演時ほどには魔法が効かなかったということもあるだろうが、いずれにせよ初演のハードルは越えられず。
と、厳しいことを書いたが、もちろんこれは初演と比較するならばという話で、基本的には『ハムレット』の上演としても、民家での上演としてもよく考えられたよい作品。
満足度★★★
普通の民家が劇場になっている。そもそも東京から離れていてちょっと田舎で、色んな意味で日常と非日常が交差している感じだった。経済的な理由も含めて自分たちの表現する場所を工夫して作っていることが素晴らしいと思いました。
満足度★★★★★
ハムレットなんだけど、舞台は台所。
デンマークも王宮も台所。オフィーリアが胡椒瓶だったりもするけど、すべてをハムレットにしてしまうのが、ココの役者のすごいところ。
演技の中に巻き込まれる感覚は、どぶんと入り込んで時間を忘れた。
満足度★★★
幸運なことにぽかぽか日和で、蕨駅からの徒歩約12分のお散歩が楽しかったです。会場は駅から線路に沿って真っ直ぐ進み、地図のとおりに2度曲がるぐらいの場所にあり、生け垣に舞台写真や活動紹介の紙を貼ってくださっていたので、迷わずたどり着けました。
会場は築数十年と思われる民家。全席自由で各回限定15席です。前の二列は桟敷席(畳に座布団)、最後列は背もたれなしのイス席ですので、劇場へはどうぞお早目に。開演前に台所をじっくり眺めていると、「私の祖母の家と同じ食器棚がある!」「あのマグカップ、私も持ってる!」などの(笑)、色んな発見がありました。
今回の『ハムレット』は“戯曲の棲む家”シリーズの第6弾。当日配布のパンフレットによるとセリフは全て、シェイクスピア作『ハムレット』の翻訳本からの引用だそうです。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/31 (金)
価格3,000円
無題2031(17-034)
20:00の回(雨)。
19:30受付、開場。
6公演目にして初めての雨。
初日、客入時にはThe Beatlesの初期ナンバー。
20:02前説~開演~21:08終演。
今夜もキッチンにはものがあふれ、冷蔵庫、棚もいっぱいで少しでも空いているのは床だけ。
男、暗闇、夜食、ここまでとその後の妄想とが混濁、初日にして大騒動。
普段の生活ではよくあるハプニング、それをまったく普通のことのようにやり過ごす演出(機転)。美術のこだわりも大増量。
「Let It Be」の「Be」はハムレットの「Be」のことではないかと思いながら駅まで傘を差し、歩く。
追記
19:30会場着、ザブトン2列+椅子1列。
「アンティゴネー(2016/4)」からで6公演目(初めての雨降り)、初演が2016/8、場所は同じくキッチン。もともと「家」で芝居を?というので観に来たのがずっと続いています。
大きな固定座席のホール公演よりも小さな会場、ギャラリー、倉庫のような所、野外のほうが好み。「家」では贅沢貧乏の「ハワイユー」を観たのが2016/5でこちらとほぼ同時期、観客数も15名くらいだったと思います。
100%住人と周辺のお話、家の外で生まれた戯曲を招き入れ歓待(?)したときお話と、全然異なる印象で甲乙つけがたい仕上がりです。
役者さんが近いことには慣れていてどこから出てきても驚かないはずが「この家」ではお話の展開、並行宇宙のように部屋を移動したり、上下移動があったり、お話の中にちょっとだけ入ってみたり、戸外に出たり。
個人的には(本作以外でも)演劇論はいらない。充実した時間だったと感じられればそれでよく、終演後原作を読むこともできる。
玄関入って左にある本棚をみるのも楽しみの一つでいつも1~2冊くらいは持っていたり、読んでいたり。
「蕨」なかなか漢字では書けない。そこは、昔々、住んでいたところ(駅の反対側だったけど)、永い時を経て、再び現れた不思議な空間。