満足度★★★★
思い出し投稿・・ 大竹野正典戯曲の上演で知ったオフィス・コットーネの非・大竹野関連作品を初めて観劇した。海外戯曲上演のメリットは「良いものを選んでいるに違いない」という計算が観る側に働く。デメリットは「遠い問題」「他国の文化を理解しないと難しい」といった懸念が働く。ポストトークでは演出家が10年来やりたいと願ってきた作品とか。さて、蓋を開けると。
構図が明確で意図も分かりやすい(気がする)、名品の香りがある。停電の一夜に隣り合った(同じ構造のそれが寄り集まった)ハウスの各世帯の構成員が互いの家を誤り、あるいは意図して入り込む等し、普段見られない事態が展開、その中で家族の問題が露見し、最後には闇の中で語り合う場が生まれる。と、通電し現実に戻るがそれまでの関係から何らかの変化を起こしている(良い変化に見える)。・・三世帯それぞれに抱える問題が現代の病理を表し、シリアスさが勝った芝居になっていた。そう見えたのだったが、基調が喜劇に作られたほうがシリアスさが浮上したのではないか・・と思った。
個人的には、後方席からは人物が区別しづらい俳優がおり、「判らない」状態に睡魔が襲う時間が生じてしまった。・・装置は上段まで高くそびえ、不規則に繋がる部屋が配置されているが、三世帯それぞれが芝居の中で占有する自宅領域が、ダブっていたり、また「判らない人物」が家を出て他人の部屋に入り込んだりすると、混乱である。説明的でない台詞だと尚の事だし、停電の夜という薄暗い照明もそれに加担した。どれか一つでも、我が方に歩み寄ってくれていたら・・と。特に「判別しづらかった」のは十代男性と中年男性。演技なり衣裳なりでもっと工夫できなかったのか・・とは正直な感想。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/12 (日)
最終日観劇。
イギリスの集合住宅。三世帯の家庭が主軸。家族といえど「個」が優先されやすいのは何処の国でも似たようなものか。
エッシャーの階段だまし絵みたいな舞台セットに、観劇視線が上下左右に目まぐるしく転換していく。
停電後、三家庭がひょんなことから一室に集まり、リビングのソファで一斉に会話している描写のセリフと行動はなんとなく女性が書いた戯曲だな、と感じた。戯曲をいじれない海外舞台作の上演の制限でもあったのか、笑える箇所はあったのだが、あまりにもストレートな訳し方に、その場面が不発に感じたのはやや残念。
13年前の戯曲だけど、この手の題材には事欠かないお国柄がよく出ていた舞台というのか、将来的に誰も幸せにはなれそうもない末路を想像したが、気持ち悪いけど不快にならない面白さ。今回のような同性への性的指向(思考、でもいい)が入った戯曲は今の日本人に受け入れやすくなったのかな。
最終日トリプルカテコ。
面白かったです。
満足度★★★★★
演出が見事だった。おそらくこういった同時多発の会話劇って最近じゃあよくあるし、むしろ古さすら感じるのだけど、よくぞここまで「新しいもの」にできたなぁという感じ。俳優陣も全員そつなくよかった。
満足度★★★★
座席F列17番
2004年初演の英演劇であり、突然の停電に見舞われた
お隣さん同士の3家庭を描いた作品。題は「停電」と
「心の闇」をかけているようです。
とにかく出てくる人が全員何かに後悔し、追い込まれている上、
どこかで絶望しており、いい意味で苛立ちを感じることが多々
あるでしょう。
満足度★★★★★
高橋正徳さんの演出は、大好きです。
舞台の限られた空間の使い方は、いつもお見事です。
台詞の重なり合い、行動の重なり合いは、なんだか音楽のセッションのようにも感じました。とても面白かったです。
満足度★★★★★
英国らしい重いお芝居かと思いきやテンポの良い内容でとても面白かった。
同時多発性のお芝居?とのことで3家族が展開していく会話や細かい動きなど物語が進行していくにつれどんどんハマっていった。
それぞれの会話がリンクしていたり大笑いではないけどクスッと笑えるようなシーンもとても多かった。
セットや照明に小道具と細かいところまでこだわりを感じられていてもう一度観たくなるお芝居だった。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/06 (月) 19:30
座席1階C列12番
予定調和にしないこと、間隙を作り観客に読み込ませる部分を設けること。単に意外性を追求するのではなく、本来現実にありうる偏りや欠落を示し、バランスボードにうまく人物を配置しないこと。この舞台のそうした配慮に感心しきり。
同じ間取りの3軒の家に3つの家族が位している。間取りが同じなのだから、3軒は同じセットの中を縦横に行き来するのだけれど、こうした舞台設定はそんなに珍しいものでないようです。(この日はアフタートークがあり、中山祐一朗さんがそうおっしゃていた)
同じ間取りを使うとなれば、それぞれの家族のシンメトリーを映し出すことが物語進行の肝になりそうなものです。確かに3つの家族は異なります。
15歳の引きこもりの息子がいる倦怠期の夫婦、新しい赤ん坊(娘)を授かりながら、過去に幼い子供を亡くしたトラウマからいがみ合う若夫婦、大きな息子(彼がある性癖がある)を持ち夫をなくした老母。確かに家族の像はバラバラです。
この3家族は、全く異なるシチュェーションで、同じセリフをシンクロさせながら笑いをとったりしますが、常にどこかが仲間外れです。一家惨殺の事件に関心を寄せる2家族、流れのままに不倫をする2家族、停電で灯りを持っている2家族、子供たちが意思疎通する2家族、食事をする2家族、シャワーを使う2家族、バーナーのある2家族というように。
それぞれの家族は当たり前といえば当たり前のように、横並びではありません。停電の闇で、登場人物の心の闇が動き出す、確かにそうした舞台なのですが、微妙な仲間はずれが、闇の濃淡・深浅を紡ぎだします。
満足度★★★★
女性プロデューサーの綿貫さんの主宰するオフィスコットーネが久しぶりに大きな劇場へ出ての公演。キャストも一つ格上になっているが、そのためにチラシにもある、このプロデューサーらしさが薄くなった。ここはそういう背景を抜きにして、現代のイギリスの「新劇」を紹介されたところを多としよう。ドンマーハウスと言う劇場は昔行ったことがあるが、その後、(30年ほど前)からはしっかりした芸術監督がついて内容もよくなったと聞いていた。たしか、幸四郎や蜷川もここでやったのではなかったか。今回は、いかにも、現代のイギリス諸問題を埋め込んだ家庭劇で、よくはできているが新しい話題や発見は少ない。イギリスの土地で、イギリスの役者がやればそれなりに生の現代劇の味が出るのだろうが、日本では隔靴掻痒の感が抜きがたい。しかし、こういう小粒な新劇を見せてくれるのは、韓国でテストランしたミュージカルを見せられるよりははるかに貴重で、これからもオフィスコットーネ頑張ってください。期待しています。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/05 (日)
とても面白かったです。
役者さんたちの演技はもちろん、ストーリーも演出部分としても、とても魅了させられました。
セリフには様々なメッセージが仕込まれていたのと、
3家族を同時に動かすなんてとても大変だなと思いながらもそれが繋がっているところに感嘆させられました。とても面白く思いました。
ロンドン、海外のものを日本で初演ということで観て、(あ、外国の作品のものだ‼︎)というかんじでした。笑
そんな感じで思ったことが嬉しく思えたのと、外国のよくある言い回し(?)が自分にとって新鮮だったので面白かったです。笑
人間の内のこと、外からじゃあ見えない、分からない部分がダークによって引き出されていくお話です。(そのまま笑)
問題提起として考えさせられる舞台でした。
満足度★★★★★
優れた舞台美術は、会場に踏み込んだ途端、観客を引き込み、視覚からさまざまな感覚を目覚めさせ、開演までの時間を物語の世界へゆっくり誘うかのようだ。
本公演は、作:シャーロット・ジョーンズ、翻訳:小田島恒志、小田島則子で日本初上演だという。それは、ひとつの空間で奇妙に混じり合う3組の家族の物語、その実験的な作品は観応え十分であった。
満足度★★★★★
イギリスの女優・劇作家の戯曲を日本初演-
松本紀保さんの出演舞台を近作全て観ているが、本当に外れが無い。
翻訳もとても馴染みやすく海外戯曲なのにストンと入ってくるので万人にお勧め。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/03 (金)
初日の舞台、観劇して来ました!
この気持ちは感激?感動?
とにかく気持ちを揺さぶられました。
役者さん、舞台装置、照明等々、全てが混然一体となって、まさしく、「Dark」な舞台を観させて頂きました。
そして、闇に射し込む一筋の光も。
まさか、こんな風に三家族を見せられるとは…、考えも及びませんでした!
必見の舞台、お勧めです!