満足度★★★★
次から次へと
劇も劇団も初見。
まともな人物が誰一人出てこない劇は数あれど、よくもまぁこんなにたくさんそこかしこに人間関係やらトラブルやらバラ撒いて、それでいて面白くてちゃんと収拾していっているものだと感心。140分飽きる暇がなくあっという間だった
最後は観ているこちらもえづいてしまいそうな時間がちょっと長かったけど、全体的に見れば伏線の回収やキャラクターもしっかりしていて楽しい公演だった
満足度★
そうだった・・・。
私、長塚さんの作・演出ものは苦手なんだった。
と、観始めて思い出した・・・。
全ての人の緊線にふれるお芝居などないのだ、ということ。
満足度★★★★
どくどくする二時間
「働きたい」生物である男たちは、「仕事」を与えられたのか、という設問に即して芝居を振り返ると、男はああして働いている=生きている。一つのあり方、とも見える。
一風変わった「リンゴを作る」夢にこの指止まれで集まった男たちが、凋落した会社の建屋に今なお各様の事情により通い、定時まで「働いて」いる。ここでの目標は「リンゴ畑を成功させる」が順当だが、その目標に直行していない何かがあり、何でそうなっているのか判らないが人物らの奇妙な笑える行動の背後で「謎」という通奏低音になっている。そうしながらも、関係する人間たちによって事態は動いている。ただし、「事態」を深刻にしているのは登場人物の「どうでもいい」ミスや非見識だったりもしそうで、ある種の「問題」を純然と浮上させるでもない込み入ったドラマ進行の歩調。そして不条理性の深化は加速し、やがて悪夢の様相を呈してくる。このシフトが徐々に、積み重なるように為されるので、少し前には何を問題にしていたのかが思い出せないまま、「事態」に翻弄されて行く。
芝居のオチに至る手前の最終局面の男らの行動が、また強烈で、男らに心情を寄せてその光景を見ると口に酸っぱい液が湧き出てくる。その前にも別の人物による類似の行動があるが、この異常さは何なんだ・・と思いながらも自分の正常さを明け渡してしまう。
「それが一体何なのか」、についての答えをドラマ内部に意味を見出すのは難しい。ある種の飛躍を要求される。ドラマを超越した、ドラマ「外」の現実も俯瞰する目を求められ、その「物(体)」が象徴するものは何か、思いをめぐらすことになる。芝居上ではその「物」が何であるかは、最後まで判らないが。。
「飛躍」についての説明は、戯曲上の仕掛けとして、最後に付けられる。だが、その時点では、直前までのあまりに毒々しげな光景の印象はすでに深く刻みつけられ、「意味」への問いは根を下ろしてしまっている。
徐々に異常な事態に慣れて行く、感覚の麻痺がすすむ中で、「毒」の浸透を許してしまう・・。この芝居のようなグロテスクな事態は誇張だとしても、10年前には考えられなかった常識が、確かに、日本でも現実になっている。
満足度★
名作と呼ばれる代表作だが、、
勉強がてら、長塚圭史さんの代表作を観劇。
12年ぶりの名作再演という事で、期待高く望んだが、小生の肌には会わず。
前半は、小劇場で鍛えられた大先輩方の身体を張った芸も拝見でき、間の入れ方も逸品で、話は進む。
しかし、後半の話が、うまくない。そのグロいとこ長引かせます?というぐらいに伸ばす。
言いたい事は分かる。
しかし、現在の小劇場の流行りを知っている身からすると、長塚圭史さんの大御所感とおごりを感じられずにはいられなかった。
小劇場を引っ張ってきた方だけに、残念。
最近の小劇場の方が、もっと、感情を後味良く持っていきます。そして考えさせてくれます。
再演をする覚悟をもったのだから、もっと最近の魅せ方を勉強して欲しかった。
ツイッターにあふれる迎合的な意見が多いのが気になったので、筆を取りました。
役者と本は良い。
次作に期待。
満足度★★★★
初日観劇
阿佐ヶ谷スパイダース20周年、本多劇場34周年の誕生日な初日祝日に観劇。
10年前はまだ青年で通用してた人達も今は立派な中年だけど、機敏な動きは変わらず。渡英前のギラついた?時代の長塚作品。
12年前の初演の時とは日本の事情も変化し、話が進むにつれ、結末の受け止め方が違う事を自覚してしまうが、ヒステリックなコメディでもある狂騒っぷりな出来事の泥沼にはまっていく様はやっぱ好き。
約140分。
満足度★★★★
はたらくおとこ
約2時間15分、休憩なし。12年振りの再演。面白かった!!過酷な設定に過激な暴力、黒い笑い炸裂の長塚ノワールはそのままに、演技も装置も演出も新橋演舞場ばりの安定の高品質。笑って驚いてしみじみ。手練れ俳優の俯瞰&集中力凄い。芝居愛も。20周年記念パンフ2千円は買い!