刺毛-シモウ- 公演情報 刺毛-シモウ-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-13件 / 13件中
  • 満足度★★★

    特異な世界観ではあるが
    世界を普通でない色に染めることは?

    ネタバレBOX


     共犯と、愛の間の勘違いに竿さして他人を壊してゆく男のダークファンタジー、だと考えたということか? 即ち、生きるとは、自分の色に世界を染め上げることだと。それが、例え不幸で、反社会的であるにしても。
     両親の行為を押入れの中から覗き見るしかなかった兄妹の傷は、妹が思春期を迎えるに至って頂点に達する。だが、兄はそれを認める為には、余りに理が勝る年になっていた。一方、傷は兄、妹それぞれが担うことによって軽減するしかないと二人は考え実践する方向へも動いた。ある朝、燃え上がる朝焼けの只中に母がぶら下がっていた。
    彼らの抱えたカルマは両親のカルマ、兄妹間の禁じられたセックスによるカルマであった。いつしか彼らの業は、他者を食い物にし、他者を破壊することで転化し得ると幻想されるようになった。両親のカルマが如何なるものであったかについての具体的描写はなかった。両親も兄、妹だったのかも知れぬ。何れにせよ、自らが自らを呪う為には充分なカルマであろう。総てが朧な中で展開してゆく物語なので、様々な解釈が成立する。作者の狙いもその辺りにあるだろう。霊界にあるのであろう妹の出現も、ホントに霊なのか否かはハッキリしないし、登場する人物各々が抱える闇もハッキリしているようで殆ど謎であるように作られているので、醸し出されるダークな雰囲気を自分に引き寄せながら面白いと思うか否かで評価が分かれそうだ。で、ホントのことはどこにどのようにあるんだろうね?
  • 満足度★★★★★

    刺さった
    いつもながら思うのは、何でこんな話が書けるのだろうということ。普通に幸せになりたいであろう人々が、何とも歪んだ方向でしか幸せと向き合えない話を丁寧に描いていると思いました。本能に忠実であれば人と自分を傷つけていくけれど、世の中のルールとやらに従っていては、自分自身を満足させられない。そんな普通より少し自分に正直な人たちの物語。私自身も決して真っ当な人生を送っている訳ではないけれど、正直自分には無理だなというシーンが多々あって心に深く刺さりました。

  • 満足度★★★

    何が刺さるかはその人次第
    刺さるつもりで観に行って、しっかり刺さって帰って来ました。愛の話でもあり、欲の話でもあり、人格形成の話でもあった、ように思う。

    陽一も、玲旺も自分に素直だったのだなぁ。大胆に見える芝居こそ、繊細だと感じたし、役者の人となりが感じられる気がした。

    決して明るくはない物語を、暗くさせない管理人コンビ。愛らしかったなぁ。ここぞ!ってタイミングで登場して空気を変えて去っていく。だけど、その的確さがちょっと怖かったりもするね。

    自分の欲望にまっすぐな公平が、拓海には羨ましかったのかな。一緒にいていいと、自己を認めてもらえる場所でもあった。(席が上手だったので)間近で見る拓海の独白が刺さったし共感した。"普通"に幸せになってくれればと望む親心を裏切っている点は、自分にも自覚があるから、そこは更に。

    同僚3人組。私に一番近いのは珠希の立場だけれど、中身は誰だろう?智花の不満と不安も頭では理解出来るし、遼子の行動も納得するところがある。だけど、珠希の行動は私の中には皆無なので分からない。女って難しいなぁ。
    遼子役の中村さん、どこかで見た事がある気がする…

    玲旺の、盲目と純粋と狂気の境目が見えない。それが遼子にとっての救いであり悲劇だったから、境目なく遷移していく様子を驚く暇もなく受け入れていくしかなかった。そういう滑らかな演技だった。上手く表現出来るほど日本語が巧みでないのがもどかしい。ラストシーン、幸せ…なんだよね?

    紗和のようには生きられないけれど、生きてみたいと思った。序盤は驚きの存在だったんだけど、中盤以降は羨ましく思ってた。紗和は拓海にも等しく愛情を向けていて、温かい人だった。
    その一方、修が衝撃受けたり悩むのも分かるし、受けたショックを緩和しようと肉体を酷使するのも納得。

    御園夫妻は、最初と中盤と最後の印象が全部違って、いろんな面で心が苦しくなった。言葉に表しにくいんだ、この二人は…。
    麻奈美は大人しいだけの人かと思ったら、結構エグかったり、本質は盲目な愛だったり。セリフは多くないのだけど、それが届いてくる演技だった。
    陽一は、ほとんどの登場人物と会話している…?それくらい、他者に影響を与えていく人物。徐々にその真意が見えてくるのが怖くて、可哀想で、目が離せない。
    男としての熟し具合が要求される役を、今の加藤さんが演じているのを観られて良かった。心に刺さるというより、染みを作って広がった演技。悲しい結末しかないと理解していたとしても、私も"あの"陽一("あの"かちょさん)に堕とされたら付いて行くと思う。だから智花も仕方ないのだよ…。

    妹・恵里菜は、最後の最後まで正体・存在理由が明かされずに物語に関わっていて、違和感としてものすごく残る。だからこそ、見ながらも気になり続ける役。理由が明かされてからの怒涛の流れは、脳内処理が追いつかずに驚きの連続を連れてくるからすごい。生きて実在して…いる?もういない…?

  • 満足度★★★

    一夜の出来事
    夜更けと共に、人びとの欲望と本性が露わになって、ドロドロになっていく。でも、あまり暗い感じじゃないね。

  • 満足度

    1/2理解不能・・・
    ダークなエロさを期待して観に行ったのですが 底なし沼のどろどろ状態だなぁ~って。夫婦の感覚は良くわからないけど 同僚3人の気持ちはそれぞれに「あ~わかる・・」 でもね歌は必要?避暑地の設定が谷を降りたすんごい山の中って秘境っていうんじゃないの?と突っ込みどころ満載でした。

  • 満足度★★★★★

    好きですね
    いつもどおり病んでる世界観でいいですね。
    ところどころ笑いもありつつ駆け抜ける感じで2時間あっという間でした。

  • 満足度★★★

    刺毛だらけなのが…
    人間の持つ狂気や嗜好を凝縮したような物語で感覚的に苦手な作品でした。

    ネタバレBOX

    後半、コテージの客が次々と刺毛によって傷つくように破壊の方向に向かっていく展開にはどうにもついていけなかった。管理人夫婦の陽気さや何回かあった歌唱シーンは劇中どんな意味があったのだろうか、疑問が残る。
  • 満足度★★★★★

    好みは分かれると思うけど、心に残る作品
    知っている役者さんが客演するということで、
    初めてうかがいました。
    指定席で、上演時間は休憩なし2時間。

    劇団先行で予約しまして、
    劇場に行ってみたら
    該当するイスがないという事態に直面しましたが、
    スタッフさんが丁寧に迅速に対応してくださって
    気持ち良く観劇できました。

    予約の際のメール対応も優しくて良かったです。

    本編は、好き嫌いはあるかもしれないけど、
    見ないふりしてる醜い部分をえぐるようなシーンもあり、
    でも、それでも寄り添っていないと生きていけない
    人間の不完全さ&切なさを感じる話で、
    私は好みでした。

    ネタバレBOX



    山奥のコテージに訪れた人々が、
    少しずつ心と人生が壊されていく…
    というような話で、
    性的な方面の話題も出てきましたが、
    「いろんな愛の形があるんだなぁ」
    という感じで、

    エロいなとは思いましたが
    (基本的に直接的にはキス止まりだった)
    いかがわしいとか汚らわしいとか思いませんでした。
    と、いうか、
    他人のこんな部分を見ちゃイケナイかなと思いながら見ているのが
    背徳的で楽しい…あっ、でも楽しんじゃいけないのかしら? って感じで、
    ゾクゾクしました。

    歌謡ショー的な部分は、
    スタスタやって来てさりげなくマイクを渡していったり回収したりする管理人夫婦含めて面白かったです。

    歌謡ショー的演出は特に「突然!」って感じでもなかったので、
    違和感なく見れました。

    オープニングは耳が慣れる前に始まって、耳と目が忙しかったのですが、
    ソロ曲の歌詞は、
    歌詞カード(販売パンフレットに記載)見なくても聞き取れました。
    人妻の曲が、
    歌い出す前のエピソードを絡めた
    それっぽい曲調で面白かったです(笑)

    時々あった、2、3組の場面のセリフが入れ子になっている(?)演出は
    情報整理で頭使うのにちょっと苦労したけど、面白いなぁと思いました。
  • 満足度★★★★

    狂気で壊れていく
    初観劇の劇団さん。観劇前は薄気味悪さを感じるホラーな感じの舞台かと思ってましたが、序盤は明るめな感じで、徐々に狂気が満ち溢れていく舞台でした。上手い役者さんが多く、楽しめました。
    以下、公演中なのでネタバレで。

    ネタバレBOX

    性(様々な愛の形)を題材に、人の欲望や狂気が徐々に溢れだす舞台。感情の揺らぎを感じられる役者さんが多く、個人的にはとても楽しめました。やや、難解というか個人の受け止め方により見解が異なる所もありますが、人が壊れていく様は恐ろしい。オープニングシーンとエンディングシーンがつながるのも面白い。
  • 満足度★★★★

    極夜の世界...その観照は見事に描かれた
    本公演...人によって好き嫌いが分かれそうな気がするが、この醜悪とも思えるような行為も人の一面(姿)であると自分に言い聞かす。

    公演全体は妖しく、シーンによっては妖艶のような。色気と狂気の両方を見事に表現していた。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    人が潜在的に持っているであろう、嗜虐的・暴力性...それを主人公・御園陽一(加藤靖久サン)が一見怪しげながら、心に傷を秘めた男を静かに激しく演じていた。
    表面を取り繕った言葉から、もっとドロドロとした本音を聞きたい。その行為は、相手(人間性)を壊し、自らも破滅に追い込む。むしろそれを望んでいるような破滅型人格を描いている。

    舞台は、山奥の避暑地。 コテージが2棟並び、狗尾草(エノコログサ)が 別荘の廻りを囲んで生えている。上手側にはベンチが、下手側には壊れかけた物置がある。
    主人公夫妻、若いカップル、それに職場の同僚(女性3人組)が宿泊客。そこに珍しい動画配信を目的に男2人。さらに浮気相手などが紛れ込み...。
    人間性を壊す行為は、人の心の隙間にソッと入り込み、心と体を弄ぶ。全編そんな危うさと嫌(厭)らしさが漂っている。その表現として、スワッピング、同性愛などの艶(エロ)・性(サガ)の嬌(狂)態が随所に織り込まれる。

    主人公の屈折は、子供の頃のトラウマ。隙間から覗いた両親の嬌態を見、また父の母への加虐行為への興奮か。その光景を妹と見ており、何時しか妹と...。その妹もこのコテージ物置の隙間から兄・陽一の行為を見つめていた。陽一が妹・根本恵里菜(佐河ゆいサン)と邂逅した時の慟哭が憐れ。そして妹がそれぞれの登場人物の台詞に沿う語り掛けが印象的である。

    登場人物の描きは、生身・肉感的であるが、所々に詩的な表現があり興味深い。例えば兄・妹の母が自殺したであろう表現は、光(陽)の中で吊下がっていたと。役者の体現と台詞のギャップが面白い。

    最後に、登場人物(役者)のカラオケシーンは必要であろうか。渡り芸人の楽曲は、嫌悪感に対する緩衝的役割を担っていたかもしれないが、頻繁に挿入されるカラオケは好まない。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★

    芸達者ばかりなので、勿体ない
    仕事帰りの身には少し難解でよく分からん作り。
    体調万全で臨まないと楽しめないかも。
    以前観たものの方が分かり易くパンチが効いており嵌る要素もあって楽しめた。
    期待していた歌謡ショー的な演出も空振りだった。

  • 満足度★★★★

    心臓に突き刺さる意味
    壊したい何かを持っている人たちの交差は、演出と歌と踊りで、奥に秘めたものがありながらも軽快に感じました。

    ネタバレBOX

    何もかもを壊したくなる想いが溢れんばかりでした。現実にあるものを壊したい衝動が、日常の中に普通にあることが、決して不思議でないことに改めて気づかされます。しかし、物置にいた妹は、幽霊でないとすると、話の中にどうつながっていくのか、理解が追い付かなかったです。
  • 満足度★★★★★

    劇には、意味がある。
    この劇には、何か意味が有った。その意味を知るには、読解力が求められる。つまり、意味深い劇だった。

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