錯覚、して、沈黙。 公演情報 錯覚、して、沈黙。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    無題1824(16-114)
    20:00の回(晴)。

    1Fに受付時間の案内があり待つ。19:33池田さんが下りてきて並んだ順に整理券を手渡し(さすがここまで気配りできる方は少ない)、19:40受付、開場。

    中央奥の大きな姿見のようなものに文字が映っている「本日はご来場...」。中央がメイン、左右に役者用のイス。開演前、客席にも役者用の席がありましたが冒頭のみ使用。

    20:02前説(池田さん、飲み物OK)、20:06開演~21:21終演。

    内容は「説明」のとおり。小説ですと、だましているのか(嘘をついているのか)、最後のどんでん返しもありそうですが本作では穏やかな(個人的には、ん---それでいいのだろうかと思いました)終わり方になっていました。

    脳に関するものを読むとにわかには信じられないようなお話でいっぱい。

  • 満足度★★★★

    楽しめました
    カプグラ症候群という精神疾患を題材にしたユニークな舞台。ちょっとエキセントリックで、ライトSFのような感じもして、細かいところではわかんないこともありましたが、楽しむことができました。映像の使い方がよかったですね。心療内科医師役のセリフの反復が印象的。

  • 満足度★★★★

    自分と他人の間には...
    初めて聞く「カプグラ症候群」...その心療内科用語は、親しい関係にある人ほど、本人であるか否か疑いだす。もっとも話の内容から自分の置かれた状況が一時的にブルーになっているようにも思える。本当にこの人でよいのか?もっと違う誰かがいるのでは、という不安定な精神状態のようでも...。

    話の展開は、哲学めいたところもあるが、その観せ方は最近見かける演出手法のようで、あまり新鮮さは感じられなかった。

    ネタバレBOX

    自分の存在(本当の自分とは)の証明が難しいように、親しい人が本音、考えていることが偽りでないかと疑う。疑問が不安に、不安が疑心暗鬼へと悪循環に陥る。この状態を心療内科の聞きなれない症名を用いて興味を持たせる。繰り返し症状を説明することで、その意図を強調しているかのようだ。

    舞台セットは、上手・下手に各3脚のパイプ椅子が向かい合わせに置かれている。中央は、テーブルを挟んで椅子。喫茶店内のイメージ、その奥に一段高いところに客席に向かって椅子1脚。上手・下手は人格の入れ替わり。中央奥は俯瞰するような位置付けか。中央下手側にスクリーンボードが立てられている。

    主人公にあたるカップル、成嶋やよい(小畑はづきサン)と柴田剛(大垣友サン)は近々結婚することになっているが、やよい が 剛を本人でないと言い出す。その根拠は定かでなく、原因を心療的なこととして決める。生涯の伴侶はこの人で...世間でいうところのマリッジ・ブルーのような気もする。

    本筋に絡めて大学時代のサークル(映研)の仲間、やよいの勤務先(小学校・教師)の同僚が、それぞれの関係性を面白く観せる。演出は、映像でスマホの画面を映し、そこにLINEのやり取りを見せる(少し長い気がする)。
    映画でも同じように用いられる。最近では、花嫁に関連付けるのであれば「リップヴァンウィンクルの花嫁」(2016年の邦画)でも冒頭から出てくる。

    自分自身の存在をどう証明するのか、そして本当の自分の気持とはという自問自答。ある程度、他人の評価で外形付けられているかもしれない。そしてその他人の目、評価が気になりだす。直接会っていても、直視し本音で話せない。そこに携帯電話、スマホ等の媒体が介在してくる。街中でよく見かける光景ではないだろうか。素の自分であっても、知らず知らず演技をしているかも、というシュールな切り口は観応えがあった。

    次回公演も楽しみにしております。
  • 満足度★★★

    トゥルーマン・ショー、或いはマリオネットタウンでそっくりショー
    カプグラ症候群なんて、初めて知りました。“つくりものじゃない演技”“本当の自分”みたいな事を話す役者が台詞をつまったり緊張気味なのも、あえて狙い(リアル)なのかしら?

  • 満足度★★★★★

    シナリオが素晴らしい
     表現する者としての秘密の一つがここにある。(追記2016.5.15)

    ネタバレBOX

     大学時代映研に所属、監督と主演女優の関係にあった剛とやよいは、近く結婚することになっているが、ある日、やよいは親しい人が偽物と確信するカプグラ症候群に罹患してしまう。剛は心療内科医になっている友人にサポートを依頼。やよいは自らの病についての説明を受けて頭では納得するものの、病状の改善は見られない。一方、剛を目標にしていた映研の後輩はプロの新進映画監督として名を馳せるようになった。彼は、剛の未完成作品のコンセプトを譲って欲しいと頼みに来るが、この未完成作品には重大な意味があった。然し、自らの才能に見切りをつけていた剛は現在サラリーマンである。それには無論、理由があった。剛はその時点で分かっていなかったのである。何が? 本当の自分など何処をどう探しても存在してなどいないという残酷な事実が。後輩には「好きにしろ」とコンセプトを譲った。
     ところで、学生時代彼ら映研メンバーには、拘りがあった。その拘りとは演ずることではなく、本当の表情や身振りが撮りたいということであった。だが、それは可能なことだろうか? 人間とは演ずる動物なのではなかったか? 残酷な事実とは、本当の自分など存在せず、我らは唯関係を映す鏡であり、それを感じる己があって而もそれらを対象化すると同時に統一して認識する他に方法がない、という薄ら笑いを浮かべた事実そのものをそのものとして認識すること。大人になるということは、幼稚なメンタリティーを脇に置き、厳然たる事実としての関係を計る覚悟と共に自らを関係の最中に投げ込み同時に総てを認識していること。更にそれが単に鏡に過ぎないほど自分などというものが関わり得る位置は小さいことをも認識することなのであった。このことが分からなかったが故にありもしない本物の姿を映そうとしたのである。彼を信頼し愛しても居たやよいが、彼を崇拝する余り主演女優として自らに本物を突き付け続けて来た結果がカプグラ症候群だったと言い得るのである。だから、自らの発見したことを彼女に告げる。曰く自分など存在しない、と。そして何故彼女がずっと目の前にいる自分を撮影し続けていたのかを理解する。彼女は、本物と思えなくなってしまった最愛の彼をファインダーを通して探し続けていたのである。剛は、改めてやよいにプロポーズする。彼が謎を解き、改めて二人の関係を何ら確かな物など存在しないという状況を認識し合った上で、築いてゆこう、というのを、彼女は「はい」と受け入れる。
     シナリオが抜群である。若い役者達の演技も良い。ヒロイン役の女優のキャスティングもグー。主役の剛役、脇を固める後輩や心療内科医師、後輩の映画に出演する役回りの女優もそれらしい。無駄を省き主軸に焦点を当てた演出も気に入った。
  • 満足度★★★★

    心の変遷
    難解でした。

    ネタバレBOX

    カプグラ症候群に罹った彼女と婚約者を始めとする周囲の人々の話。

    目の前の相手が瓜二つの別人にすり替わっていると認識するカプグラ症候群、初めて知りました。親しい関係であればあるほど症状の出方が強いということから、周囲の人に対する本来の好感度が知れるところが興味深い点です。

    男の方が映画監督への道をあきらめたことが遠因になっているのかもしれませんが分かりません。彼女は最後は自らの症状を認識し、理屈で納得して結婚に向けて婚約状態の継続を決めましたが、この間の心理状態の変化は難解でした。

    男よりも才能のない後輩が映画監督としてデビューしたのは皮肉で、熱意としつこさとタイミングの有無なのでしょうか、この差は何だろうと考えてしまいます。

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