満足度★★★★★
「我が名を呼べ!我が名は天子シロマである!」
壮大な設定の下、結構綿密に考えられた構成と展開!
最初の出だしの部分で説明がないまま話が展開してゆくので、(それはそれで楽しかったのですが)事前にパンフをチェックしていないと、世界観に入れないまま最初の数分は置いてけぼりになる感じでしたが…。
とは言え、よく考えられた世界感に裏打ちされた展開、結構、というか、かなり好きです♪
空想の世界ですが、開国当時の日本を彷彿とさせつつ、「ロマ帝国」「シロメイ国」など馴染みのない国名…、もう少し歴史から連想できる国名の方が、世界感に入りやすかったように思います。
そんなこんなですが、骨太の設定が終盤に牙をむきます!
終盤、思いもよらいない展開が次から次へと、本当に楽しかったです♪
そして最後に佐々木さんが「我が名を呼べ!我が名は天子シロマである!」と叫ぶとき、その想いと顛末がドシーンと心に落ちてくる感じでした!
最初少し迷子になりましたが、それを補うにあまりあるお話でした!
初めての劇場、初めての劇団さん、これからに期待を込めて、満足度はおまけして5点をつけましょう!
満足度★★★
多分、壮大な話
だと、思うのだけど・・・かなりチープな出来上がりになってしまっていると思った。セットがシンプルなのは許せるが、“目隠ししてます”と言わんばかりの白い布。そして全体の雰囲気は“砦”。シロマが隠れ住んでいた場所をべースと摺るなら○だが、そこに王座の図はどうも陳腐。バックは木質より無機質なものの方が変化が取れたのでは?そして、衣装。すくなくとも“天子”たるのもが、セルロイドの人形に着せるようなテカテカのピンクという品の無さはひどすぎる。名のとおり、白のシンプルなもので品を出すべきでは?陰の衣装も、陳腐。その世界を創造させる独自性がまったくない。また、ひとつ国の話なのに、殺陣は四人まで。国という大きなものを感じさせる迫力が無い。言葉だけで大きい軍勢を感じることは出来なかった。しかし、話としては面白いと思う。特にシロマの、世を知らない女の愚かしさ、ここは上手いと思う。出来ればもう少し劇団としての力を貯めて、登場人物(特にアンサンブル)を増やし、美術的なものをもっと向上させて、4、5年経っての再演なら、もう一度観てみたい。このチープさで最後に子供の名前が出たときは、やっぱりこの辺りが出るのね、と思いつつ、かなりがっかりした。
満足度★★★★
その名を叫べ!
本来、群像劇になりそうな物語を限られたキャストで演じるのは、アタリハズレが大きいのだけど、これは役者たちへの挑戦だったのかなとも思える作品でした。
初回は平日で冒頭10分見逃しましたが、やはり説明不足気味はしょうがないかな、と、序盤の謀反、海軍の将軍(?)だった首謀者が天子と面識がないとか、影武者の必要があったのか・・・?などと悩むより、ここは主人公と敵役の初対面と割り切るとスピード感にあふれていてこれからの因縁の始まりと受け取るべきでしょう。 「神の子」「国民」「民主主義」なんか浮ついたように聞こえた台詞はあくまでたてまえ、本質的に受け入れられないライバル関係とみると、そこには「汚れたジャンヌ・ダルク」vs「悪の坂本竜馬」の図式がラストまで太い芯として貫かれていました。
主人公のシロマ/クワンの事を「汚れた」と形容したのは「聖女」よりも生々しく生きた彼女のスタイルは「生きる」ということに於いて清濁合わせ飲む度量の大きさ、汚れてもなお「ロマ」(ジャンヌ・ダルクの異名)としてその名を呼びたいなぁ。
これは役者さんからうかがったのですが、あえて特定の歴史、事象をそのまま下敷きにするのではなく、無制限に組み合せてみるのも当初からの目的だったので明治維新のような、そうでないような不思議な世界観はちょっぴりる観る者になじめるかの判断を迫ってきそうである。
基本的にこの作品はどこまで役者さんがその役を生き切った(演じきった)かということで、それは観る者によくつたわったんじゃないかなとおもいます。
はてさて、この世界、この対アアルカナイカ・・・誰が知ろうか?
満足度★★★★★
無題1836(16-126)
13:00の回(晴)
12:00受付、12:30開場。
「〒機巧ぽすと〒」は3作目、「水と油でバシャバシャ!(2014/2@かもめ)」の「水」佐々木さん&「油」千葉さんが初めてで、佐々木さんはたぶん7作目、本公演では制作の千葉さんは所属の劇団暴創族「プラットホーム物語(2016/4@ポケット)」を。
いままでいろいろなキャラクターを演じてきた佐々木さんが初めての堂々たるヒロイン、(二人芝居)チュッパチャプスの少女とは大違い。
いやいやびっくり、前2作からは想像できない壮大な物語、入り組んだ抗争の構図がなかなか頭の中で整理できない(のは私のせいです)のでとりあえずお互いが食うか食われるかという関係にあるのだろうと枠組みをおきイメージを膨らませる。当パンの勢力図をもう少し地図風にまとめていただけるとわかりやすいかも。
振り回す剣はそれなりの重さ(そういう音がしている)があるのに振付、SE、タイミングが揃っている。
ヴォリュームMaxになると時々セリフが聴き辛いので少しテンポを落とすなど工夫してもいいのではないかと思いました。
満足度★★★★
良い物語じゃないですか
2時間10分,ちょっと長めだけど,途中休憩もあり,集中も切れることなく楽しめました。舞台に高さがあるから,あまり前の席じゃない方が観やすいかな。声を張る場面では台詞が聞き取りづらかったです。時代や他の役者さんの服装から違和感のある衣装の人もいたけど,それでもなかなか良い物語で,引き込まれました。
満足度★★★★
史実的な空想劇
歴史劇のようなシーンもあるが、あくまで想像劇である...史実があるから幻想・架空があるという謎めいた口上に続いて物語が始まる(口上を述べる人だけが、劇中も含め現代の服装。冒険家・時空間の旅人といった役割か)。壮大感はあるが分かり難いところもあり、筋を追うだけに陥りそうである。
鎖国、不平等条約などの台詞から舞台背景は幕末をイメージする。しかし、当日パンフの年表によれば、日本と思われる国は西暦200年代であり、一方外国(外圧)勢力は1000年代~1400年代と時間軸が長い。あくまでこの隔たりの大きな設定に拘ると物語が錯綜してしまう。舞台美術、衣装、小物にいたるまで、時代にそぐわないものばかり登場するのだから...。
この公演は、先に記した幕末の様相が色濃い。そうであれば、2つの点で興味深い。その1は、日本の黎明期の血なまぐさい史実を戯画化し、卑俗でわい雑な覇権争いの劇として舞台化したこと。観せ方として劇場の上空間の大きさを利用した俯瞰...その2は、どちらの勢力も民衆のためという外面正義を振りかざし、その実は己のことばかり。その支配に潜む不条理劇が観て取れる。
それだけに、観客が物語の筋に終始するだけではなく、その展開とともに共振できるような公演であれば...その意味で勿体無いような気がした。
上演時間2時間10分(途中休憩10分)