初日
今回もしっかり能舞台をイメージしたセット。照明も美しかった。音楽もオープニングの電子音楽から、ロバート・プラントまで、転換も楽しめた。ただ、前方席からは死角になる場面が多く、鑑賞意欲を削がれて残念な面もあった。何重にも綿密に練り込まれた物語。その一つ一つにビックリな逆転劇が仕込まれていて、心地良く目がまわる。そこここに笑いが仕掛けられていて楽しい。それでいて常に死者の匂いが漂い、能を根底に感じさせる。サラリと徴兵制度まで織り込み、現代性まで漂わせる。見事。
満足度★★★
「美しく、優れた物語」という意味の綺譚
「美しく、優れた物語」という意味の綺譚。
少し、構えて観にいった。
観終った最初の感想は「面白く、不思議、でも、覗きたい」だった。
二つの「卒塔婆小町」「熊野」が、不思議と混じり合い、
「夢」なのか、「現実」なのか、「妄想」なのか、「過去」なのか。
色んなピースが、はめて、外され、「こうなのか?」と思うと、はぐらかされ、
何とも不思議。
時代の交差が面白い。時間の流れの切なさというか、リプレイする演出の面白さを感じた。
99年、99回、あと一回、そこに辿り着けない
もどかしさ。
でも、だからこその人生。
ラストの美しい照明。何だか、私の大好きな映画をふと、想い出した。
老婆が腰かけるのは朽ちかけた卒塔婆。
映画好きの青年が、夢見た映画のラストはハッピーエンドだったのだろうか。
銀幕のかりそめの恋人に最後に逢えたのだろうか。
あのシーンは、とても、美しかった。
今回初めて拝見した眞島秀和さん。
「熊野」の登場人物・宗盛を演じていらっしゃったのですが
気になる俳優さんでした。
今回、久々に富山えり子さんのお芝居を拝見出来たのも嬉しかった。
満足度★★★
能楽と三島文学の甘美さが共存
そこはかとなくアングラメロドラマ感出てる小町パートは面白かったけど、宗盛とユヤの近未来部分の徴兵制の件は、三島文学というより三島の人物史感が透けて見え、そこらへんは虚が削がれて見てた。
昭和令嬢の喋りは美しくて好きだが、歌う場面もあってそこらへんは一路さんへのファンサービスなのかな、とも思ったが、三島由紀夫作品て女優が活きる舞台だから、やっぱそれがあって良かったのか。
満足度★★★★
現代の片隅にも存在しそう・・・。
まずは、一路真輝さんが美しかった!!!
現代のネットカフェを舞台にしているのが面白いです。
色んな人間が出入りしていて、その素性を誰も気にしなくて、気楽さに加えて、人間の闇もある・・・。三島由紀夫の世界の華やかな世界を持ちながら、深々とした闇が足元に広がる様な感じがするのと、なんだか不思議にリンクしました。
原作を読んでからいくと、より面白いと思います。
満足度★★★★★
マキノノゾミの舞台に酔った!
原作は三島由紀夫の近代能楽集で、卒塔婆小町と熊野から。マキノノゾミがこれを大胆にアレンジして、魅惑の舞台に仕上げた。
舞台はネットカフェだ。いきなり、ももクロの強烈なメロディーで幕開け。渋谷・道玄坂のネットカフェに居着いた連中が主役である。中でも、いきなり仙人のような風貌で現れた一路真輝には度肝を抜かれる。
時空を超える「能」の世界よろしく、一路真輝があでやかなドレスで登場するときは、二・二六事件前夜だ。シンプルな演出もさることながら、ネットカフェに巣くう人たちの生態をベースに、ほかの登場人物も同様に時空を超えていく。
三島が舞台を見たら何と言うだろうか。演劇の持つ創造性、観客の想像力を大いに刺激する秀逸な舞台だと言える。
見ないと損しますよ。
満足度★★★★★
神とカミ
古き話と現代の世相の噛み合わせが実に面白い!更にふたつの話がマキノ氏の作り上げた世界で融合していた。神の存在が信じられていた昔と、簡単に存在する現代の“カミ”。物語の中に見えるリアルと幻想。重い話かと思えば、ライトな導入と想定外の展開。色々な比較が入り乱れて、実に見応えある舞台でした。