愛すべき馬鹿者たち 公演情報 愛すべき馬鹿者たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★

    ギャップ
    特攻隊の若者達の苦悩と葛藤と、対比に出てくる現代のものたちの“ギャップ”が大きすぎる。現代の駄目人間たちのその駄目加減が、同じ舞台の上に乗っている。さっきまでの凛とした特攻兵の話とは、水と油だ!いきなり演目が変わったように感じた。すっごい違和感!さっきまでの張り詰めた空気が
    もあーっと何か匂ってくるような、だらけた空気に変わったような気がする。
    作者は意味の違う馬鹿者達のギャップを出したかったのかもしれないが、あまりにも奇策。特攻隊の兵士達と同じ年頃の男の子達が演じるその方が、よく有りと言われても、よっぽど状況や気持ちが理解できるのではないかとついつい思ってしまった。

  • 満足度★★★★

    犬死?
     夕陽の見える小高い場所で沈みゆく陽を、空の変化を見つめる老女。そこへそろそろ引退しようかと考えている企業経営者の息子。

    ネタバレBOX

    母は、息子の生誕について重大な話を始める。その内容が今作の主眼である。
    戦争とは何か? 生きるとはどういうことか? 命とは、個人とは、自由とは、その上で人として生きるとはどのようなことか? 大義の為に死ぬことは果たして正しいか? 等々の問題が提起されるのだが。
     舞台は空襲の場面に変わり、少女が、亡くなった母親から赤子を託される。亡くなった母親の遺体を弔ってやりたいと願う少女と特攻隊の若者らは、業火舞う空襲被弾の阿鼻叫喚の中で出会い、兵士たちはショックで茫然自失の少女を救い、彼女の願いも叶える。この縁がきっかっけとなって、少女と特攻隊の因縁ができた。
     従って今作は、総て昭和20年硫黄島に東側から迫る米軍艦隊に一矢報いる為にあたら若い命が飛び立つ直前、神風攻撃隊の特攻兵5名の、特攻前数日の模様を中心に、その特攻兵の一人に、ほのかな意を寄せた少女との純愛と、戦争を生き延び今は大家としてアパートを経営するかつての少女とその「息子」、アパートに暮らす70年後の日本のフリーターや同棲相手、セクハラを訴えて首になった元丸の内OL等々が、特攻兵の一人と交わした少女の彼らの意を劇にして上演するという約束の為、大空襲以来の惨状を劇化して描いて見せるという構成に繋がっている。当然、社長の出生の秘密も明かされる。
     部下を負けると分かっている戦いで死地へ赴かせる大尉の苦悩、特攻隊員自身の人間としての迷いなどを描いている点がグー。惜しむらくは、裕仁の戦争責任を問う姿勢が見られない点である。そのような視点があれば、更に深い科白となって作品が立ち現れたであろう。

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