想いはブーン 公演情報 想いはブーン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★★

    ノスタルジー
    松本哲也さんの作品からは、いつもノスタルジーの匂いがする。作家として向田邦子の、演出として久世光彦の醸し出す昭和の家族の匂いがする。可笑しくて切ない。そして全ての登場人物が、ダメ人間なのに愛おしい。高校中退のヤンチャ娘の小園茉奈さんのやさぐれ感がたまらなく可愛い。親に逆らう感じも、それでも母の愛に包み込まれちゃう感じも、みんな愛おしい。次にアイツと遭遇した時には、やっつけてしまう気がする。鍋にしちゃう気がする。

  • 満足度★★★★

    語り口の柔らかさ
    ストーリー構成とセリフのバランスが絶妙。扱っている設定は、突飛なものではなく日常を切り取った様。そこに展開されるユーモアもエッジが効いているというより間とタイミングで笑えてしまう様に創られていた。全編宮崎弁での語り口の柔らかさがまた独特。

  • 満足度★★★★

    ほっこり
    淡々としたお話でしたが、心地よかったな。

  • 満足度★★★★★

    心地よい笑い
    特に大きな出来事や展開はない日常を切り取った物語だが
    日常の中にある葛藤や笑いが上手く表現されていてニヤニヤしながら
    笑えてとても良かった。
    宮崎弁も言葉が分からない箇所あるが、不思議と意味は分かる。
    観劇後とても心地よい気持ちになれた。
    次回作も是非観たい。

  • 満足度★★★★

    楽しめました
    久しぶりの小松台東の観劇。松本哲也氏のつくる話はホント面白く、身につまされますね。懐かしい宮崎弁でのセリフも粗野ながら心地よい。

  • 満足度★★★★

    初<小松台東>
    三鷹市芸文の本年のネクスト・セレクションの2劇団目。松本氏作の舞台は1度観たが、小松台東の公演は初だった。「今」の「日本」のどっかで、起きてそうな現象を切り取った芝居。(宮崎弁だが、他の地方でも、関東圏でも都心でなければ、成立しそうではある。)
     大きな事件はなく進行するので、現代口語演劇(静かな演劇)に属すると言えそうだが、「ああ」とか、「え、ああ、うん」と、言葉を濁す特徴は見られず、割とズバリと言葉を投げ合う。程よい省略があって、それが想像力を刺激し、後で謎解きがあり、次第に場の風景(過去あっての現在という風景)が、見えてくる。
     その手法もうまいが、この芝居で徐々に際立って来る存在があり、これが芝居の中心テーマかも知れない、と思わせる存在なのだが、そこに最後は釘付けになった。この「痛い」人物の存在は、このドラマでの「問題」であり、半端なくどうしようも無い存在として、周囲も手厳しく難じる事によって、事実それが「問題である」ように、観客にも見えてくる。
     青年団系の芝居なら、「色んな生き方があるんだし」と理解を示す人間が幾らか居て、一方に厳しい人が居てその対立によって「問題」の人物は救われる、となりそうだ。(両論併記に持ち込む事は、悪法を議論の俎上に上げる事をも許す意味で、注意すべき)
     この芝居ではそれは許されず、「リアル」で逃げ場の無い中で「問題」はいよいよ「痛さ」を増して浮び上るばかりである。周囲が現実を見据えて必死に生きている中で、「彼」の痛さは少数派となっているが、実際には社会的な広がりを持つ。多くの「彼」が、特に都会には、悩ましく棲息している事だろう。

     思うに・・この「問題」の処方箋として、芝居の中にも「もまれて来い!」と台詞があるが、これは例えば、経済的格差が放任され、戦争やテロの危険もあり、人権も狭められて行く社会が、この「問題」の解消に有効なのでは、という想像をよくしたものだ。「余計な事を考えてるヒマなんかない」状態が、処方箋だという訳だ。
     しかしそこで思い出すのは、戦後間もない頃に起きた連続殺人事件や無差別殺人事件。物は無かったが希望に満ちた時代、といったイメージが、全てではなかったにしろ、相対的にあったのだろうと勝手な想像をしがちだが、意外にそうでないという事実。特に、差別は今とは比較にならない程あったし、人を鬱屈とさせる「問題」は、形を変えつつも日本という社会で継承されているのではないか・・。
     芝居に戻れば、「もまれること」は確かに処方であるかも知れない、と我が身に引きつければ、納得する所はあるが、この「リアル」な芝居では、問題の「彼」は、恐らく本質的な部分は変わらないだろうと思わせる感触を残す。またその事を「微笑まし」く描いてもいない。程よく放置して終わる。

     電気工事の詰め所に、出入りする「電工さん」、病気で一線を退く社長の娘達、近所の人が、それぞれにしっかりとキャラクターを背負って、濃く存在する。俳優の個人の力の賜物に違いないが、その事を忘れさせる舞台世界の構築が、嬉しい芝居である。

     小さい頃、親類を訪ねて心地よいカルチュアショックを味わった宮崎弁にも、愛着を覚えた。

  • 満足度★★★★★

    ブーンと伝わりました
    面白かったです。詳しくはネタバレで。

    ネタバレBOX

    電気工事屋の詰め所での一夜の話。『生まれ変わったら、』の件もくだらないけど、松本さんが書くと面白い。殺風景な詰め所が舞台だが、理奈役の異儀田さんの赤いスカートがやけに映えていた。
    小松台東は、居心地がよい?
  • 満足度★★★★★

    この際、「デンギョー」の再演を
    小松台東との出会いは 「デンギョー」

    この「想いはブーン」で 奇しくも あの時の鮮烈を思い出す。


    台本も売ってましたが たぶん文字からは こうは響かないでしょう。

    この「ブーン」も再演に値する作品と思います。

  • 満足度★★★★★

    ストレートプレイ好き、演劇好きならば、観てほしい舞台
    今、ストレートプレイの演劇で一番面白い戯曲を書いているのは、この小松台東の松本哲也さんではないかと思う。
    この最近、小松台東以外にも戯曲を提供していて、非常に多作なのだが、どれも面白い。

    今回の『想いはブーン』は、その中でも最高に面白い一作だ。

    (ネタバレボックスに書いています)

    ネタバレBOX

    電気工事会社の詰め所が舞台。
    社長が明後日、命にかかわ病気で入院するので宴会が開かれている、一夜の話。

    とにかく台詞のやり取り素晴らしい。
    どの役者も上手い。
    自然に会話をしているし、そのときの気持ちがこちらに伝わってくる。

    特に、3人姉妹の会話が素晴らしい。
    中盤で3人だけが会話するシーンだ。

    長女役の山像かおりさんは、登場した一瞬から3人姉妹の長女であり、母親である佇まいであった。

    そして三女役の異儀田夏葉さんはやっぱり上手い。
    彼女だけが、3人姉妹の中で、外との窓口の役割を果たしている。
    すなわち、男性の登場人物との接点を担っている。
    彼女だけを接点とした戯曲の上手さもあるが、その重任を異儀田夏葉さんは見事に果たしていた。

    姉妹の間で見せる顔と恋人に見せる顔、ほかの電工さんや、幼なじみに見せる顔が微妙に異なり、その台詞のトーンの使い分けも見事なのだ。姉妹との会話と電工さんの隆史との会話は、落ち着いているようで、実は微妙に違うところが上手すぎるのだ。

    次女の森谷ふみさんは出番は少ないのにもかかわらず、彼女の立場が上手く伝わっていた。
    昔の恋人との間を突っ込まれながら、(それと気づいて)その彼、隆史(あとでもう一度それが確認できるという演出も上手い)の上着を畳んで見せるという演出も効いている。

    役者も上手いのだが、もちろん、戯曲自体もいい。
    今、ストレートプレイの演劇で一番面白い戯曲を書いているのは、小松台東の小松台東の松本哲也さんではないかと思う。
    この最近、小松台東以外にも戯曲を提供していて、非常に多作なのだが、どれも面白い。
    この『想いはブーン』も非常によく出来ていると思う。

    台詞の1つひとつが、いろんな出来事や人間関係にきちんと結び付いていく。
    ことさらにそれを前面に出しているわけではないが、張り巡らされた台詞(言葉)で観客は知らず知らずのうちに、物語や、そこに描かれる人物の背景の深さを感じるのだ。

    だから面白い。

    印象的だったのは、長女と三女が抱き合って泣くシーンだ。
    その姿に、ぐっときながらも、観客は後から現れた次女と長女の娘の姿に少し驚く。

    抱き合う2人の姿になんとなく理解し、一緒に抱き合おうと誘う長女に対して彼女たちはためらうのだ。
    確かにリアルに考えれば、それに乗れるはずがない。

    ためらうから単に泣かせるシーンにならずに、それよりもさらにいいシーンになるのだ。
    次女は、形だけ抱き合って見せるのだ。
    わかったと理解して一緒に抱き合うのでもなく、突き放してしまうのでもない。

    気持ちは伝わるから、長女、三女、長女の娘と、照れながらも形だけ抱き合うようなことをする。
    このとき身体に触れるということが大きいと思う。
    このシーンから十分に大人な姉妹たちの、今の姿がリアルに伝わってくるのだ。

    3人姉妹のそれぞれの恋愛観が垣間見えてくるのも、戯曲と役者が上手い。
    それぞれの立場、年齢、経験が微妙に違うが、“大人の”恋愛模様なのだ。
    ほかの登場人物も不器用な恋愛模様がよく出ていた。

    他人の介入によって、ほぼどのシーンでも会話は中断されてしまう。
    最後まで登場人物に結論めいたことを言わせたりせず、余韻がいい塩梅で残る。

    その会話があとの、別のシーンに効いてくることもある。

    松本哲也さんが演じる井戸潤の、暴力的とも言える台詞での介入は、舞台に緊張感を生む。
    三女の恋人である浩史に「師匠」「師匠」と言うのも、実にネガティヴであることがわかってくる。
    カップ麺を食べるときにむせるのは、面白いけどしつこいとは思うが(笑)。

    緊張感で言えば、長女の娘が泣きながら戻って来るシーンだ。
    誰かに襲われた、ということで観客の多くは今そこにいない男、浩史のことを思い浮かべたのではないだろうか。
    登場人物の様子からいってもそう思ってしまい、一瞬ひやりとした観客も多いのではないか。
    しかし、襲ったのがイノシシだとわかるのがバカバカしくも面白い。
    舞台の上の三女たちの大笑いは、まさに観客の思いと一緒だった。
    娘役の小園茉奈さんもいい塩梅の娘ぶりが面白い。

    演出で言えば、三女と隆史の会話のときに三女が誤ってコップの酒を少しこぼしてしまう。
    それを隆史がさりげなく雑巾のようなものを手にして拭く、というシーンが、アクシデントなのか何なのかわからないほど自然で、痺れた。

    三女の幼なじみ(山田百次さん)は、登場から存在自体が卑怯なほど、いい味を出していた。
    隆史役の瓜生和成さんはさすがにいい。三女との会話の、気心知れた感なんかとってもいい。

    盛り上がっているであろう宴会から聞こえる『山谷ブルース』の歌声が、奥のほうから聞こえてくる様もいい(やはり電気工事会社を舞台にした小松台東『デンギョー!』でも、『山谷ブルース』だったような)。

    小松台東は確実に面白い。
    これからも期待できる。
  • 満足度★★★★★

    しょーもない
    面白い。105分。

    ネタバレBOX

    理奈(異儀田夏葉)…三女。浩史と恋仲だけど浩史がダメダメなので、父に報告できずにいる。終盤、関係を考えさせてと、浩史の背中を押す。
    薫(三像かおり)…長女。年の割りにきゃぴきゃぴしちゃうかわいい人。
    麻耶(森谷ふみ)…次女。隆史と関係にあったが、事情により重光と婚姻。会社のことで隆史に相談している。
    浩史(細見大輔)…中退後、東京でフラフラしてて父の葬式にも出ずというしょーもなくて、ウジウジしてるイケメン。
    隆史(瓜生和成)…浩史の兄。ダメな浩史を気にしてる母のため、安永電気を紹介した。社長からは会社を継ぐよう言われている。
    杉浦(尾倉ケント)…家庭持ち。社長の病気の件で会社の行く末が気になっている。
    井戸潤(松本哲也)…入社半年の浩史を「師匠」と呼ぶ。自分と同じようにダメなヤツと見下げている。
    黒木(山田百次)…理奈のことが好きなクリーニング屋。
    美来(小園茉奈)…薫の娘。高校中退でやや反抗期。
    重光(佐藤達)…麻耶の夫。麻耶が隆史と不倫しているとイラつく。

    理奈らの父で社長の入院が決まり、最後の晩餐が行われている横の詰め所での会話劇。いいバランス感覚な群像劇。それぞれの描き方もいいし、笑いと緊張感のバランス(ミックス具合)もいい。中盤、ウジウジしてて隆史に何も言えない浩史が、「俺は誉められて伸びるタイプだ」とボソっというとこなんかはセンス抜群だなと。
    入れ替わり立ち替わりで会話が進むが、安永三姉妹のシーン(ラストもいいけど)のユーモラスさを保ちつつ家族の想いが行きかう感じが素敵。

    上手く家族と恋愛を絡めた秀作。

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