瀧夜叉傅 公演情報 瀧夜叉傅」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★★

    面白かった
    去年の白雪姫も観ましたが、今回も世界観が素晴らしい。
    後半の激動、畳み掛けるような展開はとても面白かった。
    殺陣も迫力があり、素晴らしい。

    今回も神谷さんが逸脱した、でもしっくりとくるいいキャラクターを演じている。
    白雪姫のスノウも美しかったが、今回のみずちもまた美しい役所。そしてそれだけに終らずクスリと笑えるところやお茶目さが出るのが神谷さんのいいところ。
    更に今回はラブシーンもあり、見応えがあった。相手役の市原さんも容姿端麗なところから、自然と観ていられる。
    前回のスノウでは隣の男性に目もくれない感じ、動き、爆弾、キレ、ダークホースのような役割を担っていたが、
    今回は一人の男性に執着、殺陣盛りだくさんの激動の中、静かに揺れる水面のような役割を完遂。身体の動きまでゆったり。
    演出の大野さんも、この神谷さんの良さ、幅をわかっているのではないかと感じられる。神谷さんファンとしては観てよかった。

    続いてよかったのは、松山さん下村さん。演技に安定感がある。
    殺陣がいいと思ったのは、主役の成宮さん、杉山さん、西山さん。
    必死さ、命を懸けている感じがいい。

    テーマとしては自然と人間の共存のようなものを描いていて、未だに震災に悩まされる我々が、考えさせられるものとなっていた。
    ……と、思うのだが当日のパンフレットの主宰挨拶を読む限りでは、テーマは別にあったのだろうか?と思う節もある。

    しかし面白かった。3000円前後で観るには十分なボリューム感。
    照明が格好良く、素晴らしかった。

    ネタバレでは少し残念なところを。

    ネタバレBOX

    始めは瀧夜叉の敵討ちの話かと思えば、少しずつ自然と人間の共存の話へ。テーマが少しはっきりとしないところが残念。

    今回よかったと感じる神谷さん、松山さん、下村さんの役所はどちらかというと出番が少ないのが勿体無い。
    秀郷(真の悪役というより、もう一人の主役というような役所)の相手役であるみずちなのに、出番や台詞が少ない。単純にもっと二人のシーンを観たかったのだが、その二人のシーンを重ねていれば、裏切りのシーンのインパクトがもっと大きくなるのでは?
    殺陣が盛りだくさんなのはいいかも知れないが、複数VS一人、一対一、刀以外の殺陣、など、アクションとしてバリエーションがあってもいいのではないかと思った。殺陣と芝居の配分や、差し込むタイミングをメリハリつければもっと面白かったのではないかと思う。

    衣装は研究されているのかよくわからないが、
    ところどころで世界観が損なわれる。特に良門、安倍は見直すべきだった。
    竹井さんは少年をよく演じていたが、とはいえ女性。ピンクを着られたら女性に見えてしまい、観ている最中でも、太郎ということは男性だよな……と冷静になってしまった。安倍も、摂政である人間がピンクというのが少し違和感があった。

    そして場面転換を人間でやるのは、大変だろうし、よくわからず、ここも冷めてしまうポイント。去年もあったが、あれはなんの為なのか理解できない。
    メインがやるのではなく検非違使がやっていたので、去年よりもは観てられるものだったが、あれはない方がいい。
    また袖から声を出すのも、少し冷める。
    音響が大きいのか、役者の声量が足りないのか、聞き取りづらい箇所が何度かあったのも残念。
  • 満足度★★★★

    ガイアのパトリオット、瀧夜叉
     関東の雄、平 将門亡き後、坂東の地には、摂政、安倍 小茶麿の息の掛かった国司、高 百尚の悪政が蔓延り、民はその重税と理不尽に苦しめられていた。

    ネタバレBOX


     首塚や神田明神の例を引くまでもなく、将門と言えば反権威・反権力の代名詞である。この反権力・反権威の申し子という位置づけで登場するのが、今作の主人公、瀧夜叉実は将門の娘、皐月姫である。
    史実では不明な部分も多く、実際には何がどうなっているのかについても様々な解釈が為されている為、逆に創造や想像の羽を伸ばし易い。そのような事情もある為か、歌舞伎や現代の創作演劇でも結構取り上げられる瀧夜叉ではあるが、上演されるタイミングに共通性があるようにも思われる。その共通性とは、民衆が、この政治はオカシイのではないか? と感じる時代である。即ち悪政の時には、瀧夜叉が立ち上がるのだ。今作でも、摂政の安倍は、某国植民地首相と同じ苗字だし、自分にとって風向きが悪くなると胃痛を訴え、マザコン(岸 信介の娘、洋子コンプレックス)だったり、母方祖父のことを崇拝している点でも、また姑息でチンケで、セイガク時代は強者の、現在は完全にアメリカのパシリでしかない有様も、下司そのものの内閣総理大臣をおちょくるキャラになっている。
     一方瀧夜叉の居ない我らの現在の実情を問えば、植民地首相、安倍は、宗主国、アメリカの命ずるままに原子力を推進、国力の落ちた宗主国の代替を務めるべく軍備増強で宗主国を補完、更に自らの同胞の血と肉と骨、知恵までも捧げようと躍起である。はっきり言ってこういうのを国賊と言う。
    さて本題に戻ろう。坂東武者の雄たる将門亡き後、瀧夜叉以外には殆ど、戦力足り得る力の無い反権力サイドではあるが、山人や蝦夷の民、そして坂東の民衆の支持が支えとなっている。因みに瀧夜叉は一人ではない。瀧夜叉の名の下に活動する者は二人。皐月姫と彼女の友、杣である。杣は、薬草に対する知識が豊富で医療の任にも当たる山人の娘で皐月姫の友でもある。皐月姫には異母弟の良門があり、彼が将門の長男である。武芸は得手でないが、知恵は中々のもの。度量もあるが、惜しむらくは余りに若い。未だ若干十二歳である。
     一方、朝廷方で手強いのは、俵藤太としても知られる藤原 秀郷、武勇に優れていることは余りにも有名だが、知恵も人望もあり懐の深い所が、最も恐ろしい。父、将門の仇でもある。だが、彼も実は一人ではない。俵 藤太の名の下に四名が属す。秀郷、秀郷の叔父・元康、功を為して藤原姓を与えられた元山人、秀忠、そして弓の名手で山人の蜘蛛丸。まあ、この四人の統括を秀郷がしている訳だ。
     これらのキャラクターに加え、秀郷に水脈の危機を救われたと恩にきて彼に力を貸す竜王の娘、みずち姫が大切な役割を果たしている。
    更に朝廷の政治に関わって、将門を討った将門の従弟、平 貞盛が、中々の策士であり、政治的人士として宮中の貴族である安倍を立てつつ暗躍する。この貞盛の政治的狡猾さと秀郷の深謀遠慮と武力を相手に、瀧夜叉(将門と彼に助けられた雌狐の化身で自然の守護神である朧姫の間に生まれた)は、立ち上がった訳である。その出自からも明らかなように、彼女は、現代で言えばガイアの地域版とでも言うべき存在である。
     一方貞盛の手腕は侮れない。現代政治にも通じる英雄と民心の離反を図る策謀や、権威を利用して己を権威機構の一員としつつ、実権を握る為に軍事的頂点に立ち自らを正当化する姿勢は王道である。一方、将門を射止めた栄誉に輝く俵 藤太を牛耳る秀郷は、更にしたたかであると同時に、人間の傲慢を象徴してもいる。彼は言うのだ。ヒトは前に進んでゆく、と。自然を開拓・管理する存在なのだ、と。それは、恰も西洋の論理そのものである。彼はこの論理を遂行するために良門を誑し込み、協力させることに成功する。坂東を制圧する為に利用しようとしたのだ。その為に、一旦は、良門を頂点とする為政を成功裏に立ち上げ、直後に彼を殺して瀧夜叉に罪を被せてその大衆的人気を奪い、以て自らの野望に資する計画だったのである。だが、それは正当なことだろうか? もう一度言っておく。瀧夜叉とは、ガイアのパトリオットである。因みに地球に届く太陽エネルギーの0.2%で、波風が起こっている。我々が暮らす銀河の辺境上ですら自然のエネルギーはかくも大きなものである。パスカルのように、謙虚な認識であるなら、自然もそれを憐れんで認めてもくれよう。然し、自然を人間如きが管理しようなど或いは管理できるなど思い上がりも甚だしい。
     実際、我々は、恒星のエネルギーを生み出す原理を発見し、自身それを極めて小規模なレベルで実用化はした。E=mc2で余りにも有名な相対性理論から、それは演繹された。だが、その結果我々ヒトが手にした核によるエネルギーが生み出す様々な問題群の何一つとして我々は解決できていない。而も、その未解決の問題が、我らヒトのみならず、この地球が数十億年に亘って築き上げてきた生命の歴史そのものを閉じかねないのだ。想像力が残酷なまでに欠如した人々の為、そして自民党や公明党の分からず屋他、核の脅威を知ってか知らずか、核推進に賛成する人々に、少し補足説明をしておこう。
     現在迄に、環境の激変で地球上の生命全体が危機に見舞われたことは何度もある。その度に新たな環境に適応し得る生命が生き延びてきた。だが、我らヒトの生み出した核技術は、生命体の傍で機能するには余りに大きなエネルギーである。生命を維持するのは、アモルフではない。何らかの構造である。それは、アモルフがカオスに対応するように生命という有機的構造に照応するのである。死とは、この有機的連関の瓦解であり、アモルフへの移行である。簡単に観察できる例を挙げよう。例えば長葱である。半分に切っても加熱などせず、そのまま放っておけば緑色の部分が伸び、更に放っておけば外皮やそれに近い部分から変色したり、乾燥したり、傷んだり、或いは溶けたりしてゆく。これが、死への過程である。レタスなどはもっと分かり易かろう。緑だった葉が変色して茶色になり、最後はドロドロに溶けてしまうのである。このドロドロに溶けてしまう状態こそ、アモルフである。どうしてこのようなことが起こるのかについては、興味のある向きには、実際に調べてもらうことにしておこう。
     問題を少し戻す。核が生命を滅ぼす原理についての話である。2011年3月12日に起こったF1人災についてだけからも明らかなように、この人災で放出された放射性核種は200種以上に及ぶことは、核物理専門家でなくとも最早常識。これらの放射性核種の各々が、放出するエネルギーは、生命が、その形態を為す為(即ちアモルフならざる構造を持つために)に使う連携のエネルギーを遥かに凌駕する。生命体を構成する分子結合のエネルギーレベルは、数電子ボルトだが、放射線の持つエネルギーレベルは、数十万から数千万電子ボルトに達する。このエネルギー差が、生命の連携を断ち切ることが、核が生命に重大な影響を与えることの原義である。各放射性核種の半減期にはとんでもなく大きな差があるが、生命体にとって完全に脅威でなくなるためには、一般に半減期の10倍の年月がかかると考えられている。よく挙げられる放射性核種で半減期を例示すれば、セシウム137で30年、セシウム134で2年、ヨウ素131で8日、プルトニウム239で2万4千年、ウラン238(天然)で45億年。但し原子炉内では中性子1個を捕獲してウラン239(半減期23.45分)になりβ崩壊を起こしたU239はネプツニウム239(半減期2.3565日)になるがこれがβ崩壊するとプルトニウム239になる。ウラン鉱山で採掘される鉱石中に0.7%の割合で含まれるウラン235(天然。広島に落とされた原爆材料はこのウランを濃縮)で7億年、ストロンチウム90で29年などだ。内部被ばくを認めないIAEAやアメリカ、イギリス、アメリカの植民地、日本などではDU被害を劣化ウラン弾に使われているウラン238が出すα線と認めていないが、劣化ウラン弾が使用された総ての地域で、癌、白血病、著しい身体欠損や奇形、遺伝子異常などが観測されるのは、偶然ではあるまい。仮にウラン238の出すα線が原因でないとしても、ウランの重金属毒性による可能性もある。第三者機関によるキチンとした検証が待たれる所以である。
     結論を述べておこう。瀧夜叉の敵とは、ヒトのみならず、地球上の全生命を根絶やしにしかねない人間の傲慢や嘘なのである。そして、エネルギーの無駄遣いを平気でしている我々なのだ!
  • 満足度★★★★

    斬って斬られて。
    殺陣は、衣装を着替えて斬られ役に回ったりと皆さん忙しいことになってましたね。
    事情はわかっているものの、「さっきの役の人とは、別、だよね」と一回確認してしまう自分がおりました。


    平将門の頃の時代設定でしたが、
    時代物というよりアニメ・漫画的な世界観といいますか。
    それはそれでよくてストーリーも好みだったんですが、
    ウケを狙ったであろう小ネタがちょいちょい挟まれてたのは
    不要だったんじゃないかなと。
    初演はどうだったのかな?

    転換の時の人間カーテンも、照明変化だけで充分だったのでは。
    照明は全般的によかったです。

  • 満足度★★★

    怖いのは人
    一番恐ろしいのは人間の欲望というストーリーはなかなか面白かったです。期待していた殺陣も楽しめましたが刀が鞘に収まってないのは何故?出来ればそのあたりの様式美?にもこだわって欲しかったですね。 欲を言えば演技力をもう少し磨いてほしいなと。

  • 満足度★★

    導入部はビジュアルから
    女性目で観て、こういう話はやっぱり衣装が大事!予算がどうのという事はあるだろうが、もう少し頑張れないだろうか?主役の滝夜叉が美しく見えないのは痛い(容姿の話ではなく)。人外のものの神秘性とか、将門の姫という気品とか、そういうものが全く感じられなかった。全体として、芝居は全く絡まず、ガッチリ組んだ感じがしない。殺陣も確かに迫力のあるシーンが無かったわけではないが、“これっ!”と言うオリジナル性が見当たらない。反省点は山とあるのではないだろうか?

  • 見てきた。
    人間と人ならざる物とが共存していた古い日本の話。殿の死により生まれた復讐心と、残された民と領土。それをあらたに統治しようとする者達。ストーリーは面白いと思う部分がありましたし、照明が個人的に好きな感じの部分がありました。殺陣も多く盛り上がりはありました。
    が、少しパワーと言いますか勢い伝わってこなかったのが残念です。
    もしや新人の公演だったのかと再度当パンを見てしまったくらいでした。
    劇場も持て余すような広い空間的ではないと思いますが、そのような印象を受けました。
    あと、場転が多いので全部とまではいかないまでも変化が欲しかった。とくにブルー転時に数人の人間カーテンのようなものがちょっと邪魔でした。
    それから刀が終始抜き身と言うのも気にはなりましたね(笑)
    今後再演などすることがあれば次に期待します。

  • 満足度★★★★

    坂東太郎
    結構現代的なテーマもありました。

    ネタバレBOX

    平将門亡き後の関東を巡る朝廷と関東武士による勢力争いと人間による自然破壊の是非を、将門と狐の血を引く瀧夜叉の武勇伝を通して描いた話。

    狭い場所での殺陣は大変だったと思います。

    朝廷側と、将門の長男を後継者に立てて朝廷に対抗しようとしつつ暗殺を図ろうとする勢力の存在など、陰謀渦巻く展開がありました。時の権力者が河川の流れを変えようとして龍のお姫様が苦しみ、瀧夜叉たちによって流れを元に戻すというエピソードを通して自然破壊を戒めるメッセージもありました。

    ただ、治水と自然破壊の関係は難しい問題です。治水工事を否定する考え方が人民から受け入れられないときは分かってもらえるまで説明すると瀧夜叉は言っていましたが、説明し続ければ分かってもらえなくても良いと言っているようで、まさに憲法学者の意見を無視する安倍首相のようでした。

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