笛を吹け吹け 双子のフロイライン 公演情報 笛を吹け吹け 双子のフロイライン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    大胆解釈した物語
    ハーメルンの笛吹き男...怖い教訓イメージがあるが、この公演では虚実の伝承ゆえに、その不確実を逆手にとって大胆に解釈した物語。
    そして演劇企画ハッピー圏外らしい、軽妙だがしっかり物語に引き込む魅力ある演出は見事である。
    伝承...その謎を解く展開は、わかり易く本当に楽しめる芝居になっている。

    子供のころに聞いた伝承は、教訓または風刺のようであったが、本公演では、政治情勢などが絡む人間ドラマになっている。その意味では寓話というよりは、この公演のような歴史書(編纂)と評するほうが相応しい。この物語の中心となる街の統治を巡る権力闘争(政争)は、そこに住んでいる人々の生活に大きな影響を及ぼした。知られた諺に「木の葉を隠すには森に隠せ」ということを聞くが、その悲しい苦渋の選択とは...。

    ネタバレBOX

    敗れた前領主の跡継ぎ王子を匿うため、街中の同じ年頃の子供の行方を晦ます。
    不安定な政情時、その犠牲になるのは弱き立場の者たち。その行動をするまでの経緯を歴史書編纂という形で描く。その演出は、時計の針を逆回転させるようなシーンを挿入し納得させるような展開である。それがミステリー・サスペンス風で最後まで飽きさせない。
    この物語を歴史編纂として紡いでいくが、ありきたりの歴史書の範疇を超える異形なものに仕上げている。双子の王子は生まれて直ぐ里子に出されるが、それを恨むこともしない。なぜそのような運命を辿ることになったのか、物語を遡行することから始まる。そして自分が生を享け、その役割を全うしようとする。そして第三者(観客)がその記録を見守るという形のようである。

    伝承を大胆に解釈...あたかも在るような資料を博捜し、登場人物(街人)にインタビューをする。綿密に叙述させ、「在る」ことの謎を解明して行くようであった。物語は自在に時間軸を行き来し、空間を飛翔させ想像させる。この公演の最大の見せ所であった。

    次回公演も楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    普通に楽しめた~♪
    でも何か一味足りないかな~とも感じた話でありました。

    久々に感じた主宰の伏線回収&まとめ+観客理解のさせ易さ(^^)

    舞台セットは抽象的に場面場所をぼかせるものにして、衣装や小道具などをリアリティー溢れるものにしていて、中世ヨーロッパの雰囲気が良く出ていたなぁと納得でありました。

    本場のハーメル市で上演しても受けるのでは?とか思ったデス♪

    ネタバレBOX

    さてお話は。ブラウンシュヴァイク伯爵の命により、家譜編纂(かふへんさん)を任されたオカルトの類が嫌いな書記官さんは、伯爵家のハーメルン市の歴史背景などを調べて。興味を持った130人もの子供の失踪の真相を突き止めるも書に残さず、無事報酬をもらえる仕事を完遂したのでありました。

    まぁ有名な話でもあり、いろいろ物語が書かれている事でもあり。同様な事件の真相話は昔漫画で1~2個読んだことあるなぁと。おぼろげに覚えています=似たような話になったのは、史実もコレに近いものだったせいでは?とか思えたデス。
    ジェボーダンの獣もホントは人間の仕業だったとか・・・・・結構人間は嘘つきだ(Drハウスもそう言ってる(^^)

    タイトルからして双子のお嬢さんと思わせといて・・・2卵生の双子オチだし(^^)ヒネリが上手やよねぇ・・・・
  • 満足度★★★★

    “緩急”が足りないか・・・
    〔Kチーム〕を観劇。
    ドイツ民話を題材にした物語り、という本作。
    なかなか面白い物語で楽しめた。

    ただ、全体的に“緩急”が足りない演出と感じた。

    また、アドリブ(?)を挟み込んだシーンは、好き嫌いが分かれるところだが、
    私は嫌いではない。

  • 満足度★★★★

    よかった!
    熱演でとてもよかったです。
    アドリブで笑はせてくれて、和ませてくれる。
    ちょっとやりすぎなところもあったけど、面白かったです。

  • 満足度★★★★

    Aチームを拝見
     ハーメルンの笛吹きの噺は、誰でも知っているだろう。鼠がたくさん発生して街の人々が困った時、道化の服装をした笛吹きが表れて鼠を皆、川へ追い込み溺れさせて街を救った。ところが、街の人々はなんだかんだと理屈をこねて彼に謝礼を支払わなかった。そこで怒った笛吹きは街中の子供130人を笛の音で呼び寄せ、何処へともなく連れ去ってしまった、という話である。

    ネタバレBOX

     この事件はドイツのハーメルンで1284年6月26日、ヨハネとパウロの日にこの街で起こったとされている。而も、キリスト教の科学を否定する精神によって知的には暗黒時代であったこの頃、一般の人々に理解し難いことは悪魔や魔法のせいにされるか、良いことであれば神の恩寵と解されるのが通例であったから、笛吹きは実は魔法使いであった、と言われてきた。だが、ハッピー圏外の解釈は、あくまで合理的である。では、どう解釈しているのか? 1260年に起きたゼデミューンデの戦いを起点とする、という歴史的解釈なのだ。今作では、ローマで有能な書記官として活躍していた男が、その合理的精神を枢機卿から嫌われて所払いになり、助手と共にハーメルンで領主をしている伯爵から家譜作成を頼まれ赴任してくるという話になっている。因みにこの伯爵こそ、女子供迄戦ったといわれるゼデミューンデの戦いの勝者であり、現領主という訳であるが、前領主は、領民からも慕われた名君であった為に、戦力に於いて劣る領主の為に民衆が加勢したとも取れる逸話が作品中で語られる。だが、前領主は、戦いに敗れ、領地を没収された挙句亡くなっていた。
     だが、現領主は、民衆に人気のあった前領主の子が何処かに落ち延びて生きていることに恐怖を抱いており、いつの日か忘れ形見の子が、挙兵して自分を襲い滅ぼすのではないかと恐れていたのである。
     書記は、助手と共に、先ず、一時情報を集めることから始めた。彼が興味を持ったのは、2年前。即ち、子供たちの失踪事件が起こった2年前、実際に何があったのかである。それを確かめる為、彼と助手は、人々に訊いて回った。数々の証言が集まった。書記たちは、証言を更に集めてゆく。嘘の証言をすることに利害関係の無い下級兵士などの人々を含めて。また、旧領主の奥方が、町外れに生きていることを探り当てて、家系図などの資料も入手すると共に貴重な証言も得た。更に矢張り町外れに棲んでいるちょっと変わった音楽家からも、なぜ、笛吹きが鼠を退治することができたのかに関する科学的根拠を入手することができた。更に、戦に敗れた20年ほど前、旧領主の妃が5歳だった息子を預けた旅芸人一座の座長からの証言も得る等、多方面から様々な情報を集めることによってハーメルンの笛吹き男伝説の背景にあった史実を浮き上がらせてゆく。このシナリオの手際が見事である。
     作品の本質には関わりの無いことながら、池袋演劇祭参加作品で同一テーマを二つの劇団がそれぞれ全く違った舞台に仕立て上げるという面白い企画のうちの1本である。もう一つの劇団はショウダウン。26回池袋演劇祭大賞を獲得した劇団である。できれば、どちらも観たいものである。それに、捻りもある。ハッピー圏外はWキャストでの上演。ショウダウンは、スピンオフとして、林 遊眠の独り芝居もある。
     ところで、今作の演出に関して。道化衣装は元々、二面性をも表す表象である。折角、笛吹きは、デモーニッシュな姿にも極めて真っ当で紳士的にも見られる内容なのだから、彼に対するその時その時の人々の評価をデモーニッシュな評価の時には寒色の青を強く、また人間的な評価では赤系統の暖色系を強く当てるなどの工夫を強めた方が効果的だとは思う。

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