黒鉄さんの方位磁石 公演情報 黒鉄さんの方位磁石」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
1-3件 / 3件中
  • 黒鉄さんの方位磁石
    前回に引き続き、市村直孝さん作演出。
    AUNの人たちが演じる昭和の人。
    いいなぁ。
    出ずっぱりの鋼太郎さんの演技はもちろんのこと、
    それぞれのキャラクターがそこに生きていた。
    圧巻だった。

  • 満足度★★★

    初日観劇
    初めて行く劇場は青山劇場の裏側にありました。
    ステージ凸型形状、客席約200余の凹型設置。
    客席上手と中央通路が花道仕様で頻繁に使われ、遅れて来る場合は座席誘導に注意。役者さんのセリフがよく響くから耳がキーンとなるかもw
    デザイン家具調椅子のような座席だったがD席?から前方3列は底段差のため、観客によっては視界が遮られる席があるかも。以降は階段状席。
    上演時間及び座席表示なし。上演時間だけでも告知して欲しい。
    休憩10分込み約3時間。

    前作の「有馬の〜」が良かったので、それなりに期待はしていたんだが、今回は全てを理解するのに時間がかかる。
    今後、皆さんの感想読んで補完したいと思います。

    ネタバレBOX

    昭和元年生まれの主人公の幼少時からの話が入れ子になってるが、主軸は現在の老人の姿をした男の走馬灯のような回顧録…と言っていいものかどうか。
    戦争によって貴重な青春の一時期を奪われるのは不憫。今年は戦後70年だが少し時代がずれてるだけの過去の話、とも言えなくもない雰囲気な21世紀に見る戦争の悲惨さについて触れる舞台だった。
    姿は老人でも戦前の少年期、戦争に突入した青年期と幾重もの時代を繰り返す場面の多い事。自らの疾患のため、兵隊になれず?機関車の運転士=黒鉄さんになるため戦時下に挑み続けるショウイチ。そのショウイチを昭一が入り組んで演じているもんだから、さっき出てた人は今いつの時代の誰?と、ゆとり脳気味の自分の頭ではすぐには理解できず、役柄の整理ができずらい場面も多々あったけど、激動の時代を生き抜き、老いた先に見えたものは、自分が誰なのかわからないまま過去の出来事も失っていく記憶と思い出を持った一人の男の切ない話と感じた。

    ただ、オリンピック見に来たトーマス夫妻の件とか必要?戦時中でもみんながみんな、もんぺ姿じゃないのな。昭一のお父さんの日露戦争ももっと掘り下げて欲しかった気もしたし、現代の電車運転士のフォローはないまま?とか。時代が交差するので、舞台の目線をどこに合わせていいいのか混乱したり。2幕の盛り上げ方、娘たちが昭一の日記を読みながら各時代の人物が集まったあそこで終わらせてもよかったんじゃないか、とか。
    吉田鋼太郎さんの喜怒哀楽が凝縮された舞台。
    も、ほんといつ休んどるんですか⁉︎ってくらい出続けてました。
  • 満足度★★★

    名場面×名場面×名場面×・・・=大名作、とはいかないのかと…
    フライヤーでのまるで映画「鉄道員(ポッポ屋)」を
    思い出させるようななつかしい昭和の風景、

    そして劇場に入ってのかなり凝ったセット
    「家」「陸橋(?)」「機関車の炉(?名前分かりません)」

    期待はかなり高まりました。


    (ネタバレできないので詳細ははぶくとして)

    ・ 主人公の幼少から機関士になり、定年までの人生という大きな物語

    ・ 人生を思い起こさせるきっかけとなるもう1つの重いテーマ

    この2つがうまく重ならないまま
    集約されずに物語が終わってしまったな、
    と感じました。

    パーツ、パーツで観れば「この場面ではかなり涙腺を緩ませた」
    シーンなど沢山あるのですが、
    どうにも締め方がうまくない・・・

    うーん、あまりにもったいない(´・ω・`)

    ネタバレBOX

    【思った事】

    ・ 現代(昭和64年=平成1年?)の夜、
      (後に電車の操車場跡と分かる)その場所に現れたおじいさん、

      そして時を越えて

      ・ 幼少期の父、母、友人達、そして友人が憧れた機関士達

      ・ まだ若かりし頃の妻、娘たち

      ・ そして妻について何かを伝えようとする叔父(?)

      これら時を超えたシーンがいきなり絡み合いながら描き出され、
      観劇している側には軽い混乱がはしります。

      ただし、メインは幼少期、友人達との楽しい場面、
      そして友人の1人が憧れた「機関士」(機関車の運行に携わるもの)達との
      触れ合いの場面なので、明るく物語は流れていきます。

      しかし、その後「現代」として、

      ・ 操車場にて、おじいさんを発見し、
        身元を調べて家族の元へ返そうとする男性

      ・ 自宅から行方不明になった『痴呆』のおじいさんを
        探そうと慌てる娘達

        ※ ここで初めて、おじいさんが「痴呆症」であり、
          その為に色々な時代の風景が現れ、そして大事な事が思い出せない、
          という理由が分かります。

      ・ 「忘れてはいけない大事な事」なのに
        「思い出せない」と悩むおじいさん

      この時点で、自分にとって本物語のメインテーマは

      ・ 【おじいさんの物語】
        おじいさんの幼少から機関士、そして定年過ぎまでの物語

      ・ 【痴呆】
        「痴呆」という老いと共に避けたくても避けられない重い病気

      主にこの2つに定まりました(勝手に定めたというより、物語自体がそう進んでいくので)。


      この後も【おじいさんの物語】は、

      ・ 「機関士に憧れた友人」と自分の目標を決められなかったおじいさん

      ・ 優しかった機関士が、戦争の赤紙で招集されて二度と会えなくなる様

      ・ 友人も自ら戦争へ

      ・ 機関士の先輩にも赤紙が・・・

      など、色々な小編(ショートストーリー)を交えて進んでいきます。

      そして、

      ・ 機関士になれたおじいさん

      ・ 機関車運行中は「絶対に汽車は止められない」という
        (お国の為とはいえ)悲しいルール

        ※ 日本中に物資その他を運搬する機関車は、
          基本年中無休で止められない事になっていたそうです。

      ・ 空襲

      ・ 終戦、そしてそれでも運行を止めない機関車、
        そして、夜、

        消灯令(?)が解除され、それぞれの家に明かりがつく事で、
        どれだけの人がこの街で生きていたのか、を
        「まるで星空を走っているかのようです」と語るおじいさん
        
      ・ その後、友人が憧れた「機関士」にあげた
        方位磁石が、先輩機関士と共に戻ってきます。
        本人は亡くなる瞬間まで、
        「この方位磁石があれば、日本への道に迷わずきっと帰る事が出来る」
        と語っていたと・・・


      この【おじいさんの物語】、だけで言えばはっきり言って「名作」レベルだったと思います。
      それぞれの場面が心に刺さり、涙腺を刺激し、
      時にその台詞の中に「現代」に通じるものまで感じさせる、という。


      ただ、自分は【痴呆】の側のストーリーの展開がどうにもいただけませんでした。

      ・ 主役の方(かた)の「痴呆老人」の演技がウマすぎて、
        その所作が痛々しく
        (転倒などしまくり、「本当に身体を痛めたのではないか?」と感じさせたり)
        
        そして、妻に先立たれ娘たちにうとまれるその姿もこれまた痛々しく、

        その(記憶がないゆえの)発言にも、あまりにも痛々しさを感じてしまいました。

        かつて、自分の父親がたどったのと同じ「痴呆」の道、
        【おじいさんの物語】には、幼少から機関士、そして定年までの
        悲しみと救いの物語があったのだけれど、

        【痴呆】の方の物語には、ほんとーーーに最後に最後になって
        やっと救いが訪れる瞬間まで、
        
        【おじいさんの物語】と【痴呆】と、
        脚本家はどちらを「メインテーマ」に据えたかったのかが
        分からなくなるほどの、
        「交じり合わない」
        「両方ともが大きく、かたや悲しみもあるが感動の物語、
        かたや救いの少ない悲しいだけの物語」
        として続いてしまいました。

        娘たちが父親の日記(亡き妻につけるように言われた)を見つけて、
        そこから初めて娘たちには語られなかった父親の過去と戦争、
        そこでの父親の「男らしさその他」が垣間見えて、
        それだけが救いでしたが、
        最後、操車場で男性に迎えに来てもらっった父が
        
        「誰でしたっけ?」と痴呆でまた全てを忘れてしまい
        男性を迎える姿には、

        ? 作者は【痴呆】に対する救い的なものを描きたかったのかも知れませんが、

        自分には、「なんとも哀れな悲しい姿」とか見えませんでした。


    ・ その上で、
      ・ 日露戦争で凍傷にて指その他を失い、酒に逃げるしかなくなってしまった父親

      ・ 単に操車場であった男性、だと思っていたら、
        実は自分と同じ「痴呆老人」が線路に飛び出した為に
        それを轢いてしまった電車運転手

      ・ 亡くなってしまった友人

      など、これまた救いがない小編(ショートストーリー)が
      何編も組み込まれていく本物語について、

      ラストまでがうまく集約されていない、

      それぞれの章/編がバラけたままに流れ、終わってしまっている、
      と自分は感動する事は出来ませんでした。


    多分、観る人が観たら、主人公の老人などのあまりの演技の上手さに
    全く違う感想を持つかも知れませんが、

    自分は物語が終わって
    「ストンと胸に落ちる何か」や、
    「観た後で1本の筋として感じさせてくれる余韻」などのように
    何か、1本の劇を通しての背骨のような太い筋が欲しかったな、と感じました。


    ※ 本劇は、「短編集」、かつ「メインストーリー」を定めた形だったら
      普通に面白かったと思います。


    褒めたい部分は多々あれど、どうしても自分の中で
    「オチ」ない為、感想が長文/散文になってしまいましたm(_ _)m

このページのQRコードです。

拡大