満足度★★★★
キャストによる「密な空間」
敷きつめられた砂、
それに映える照明、
煙がゆらめくような音楽、
そしてそこに立ち上る6人の密な空間。
どちらのバージョンも拝見しましたが
ストーリー云々の前に
目の前の世界を堪能することができました。
『渋柿の行方』に続き
劇団コーヒー牛乳の石黒さん客演のため
足を運んだのですが、
他の方も書いているように
前回より今回のほうが
素直に「来て良かった!」と思います。
両バージョンとも登場人物は
至って普通の人々。
前半の何気ないやりとりの連なりが
こんなに面白いなんて驚きです。
特にやはり石黒さんにはスキがなく
セリフがある時とない時の存在感が
全然変わらないのが本当に凄かったです。
(「五十嵐さんって誰!?何かの伏線?」と思った程)
ちなみに照明も素晴らしかったです。
シンプルな中からこだわりが伝わってきた気がします。
砂が鈍く黄金に輝くシーンや不吉な夕方のシーン、
そこから空気感のある夜のシーンへの移り変わりなど
決して主張しすぎずかつ
キャストたちを美術・音楽とともに
底からしっかり支える安定感がありました。
プランナーの宮崎さんという方の舞台は
他団体含め5〜6回拝見していますが
今回のステージは特に良質だったのではないでしょうか。
平日にも関わらず満員の客席と男性客の多さに
ヒンドゥー五千回という劇団の勢いを感じます。
『北京の冬』バージョンを観てきた
都合でこっちのバージョンしか観れなかったのだけれども、2つ観た友人が、『絶対2つ観たほうがいい!』と言ってました。
それでも役者一人一人の表情なんかに考えさせてくれるヒントがあったのでそれをもとにあれやこれやいろんなことを考えてみたりしました。
役者を、知り合いにも関わらずあの人は今何を考えているのかと役者ではなく『役』で観れるのはやっぱりいい役者さんなんだなと思います。
満足度★★★
建築家の腹 よかったけど
設定はどこかで見た感じでしたが、前回の渋柿よりは俄然面白くて驚くくらい。役者の技量のバランスも上手いこととれていた気がします。でも正直2バージョン見る気には到底なれなかったです。それだけの時間を割いて得られるものがチケット代を上回るようには思えませんでした。あくまで想像ですけど。小劇場って(たぶん)役者がお客さんを呼ぶのが基本的なスタイルなわけで、ひいき役者見たさに予定を合わせようとするものですけど、2バージョンやるにはややステージ数が少ないようにも思えました。劇場に行くのって結構大変ですよね。そういった意味では(システム自体が)こちら側に不親切だなと思わなくも無いです。だけどまぁ、お芝居なんて結果足を運べた人だけ楽しめればいいわけですからね。そういった意味では観る前からの葛藤も含めて、巡り会えてよかったなと思える作品でした。「演劇」にはそんな力もあるよなと再確認しました。ひとつしか見れなかった(見たくなかった)私も料金分の興奮は買えたと思います。
満足度★★★
「建築家の腹」 少し分かり易いけどアンバランス
この作品のタイトル、そして両サブタイトル、これらと内容の
結びつきは、よくわかりません。
何となく、意味ありげなタイトルをつけただけって感じがする。
まぁ小劇場は制作費も殆ど持ち出しでしょうから、
自己満足に作ってもらって、構わないんだけど、一見さんには意味不明。
「北京の冬」バージョンに比べると、
少し分かり易い。
役者も機敏に動き回るし、説明的な台詞も含まれており、
なんとなく話の背景がわかるけど、
アンバランスな感じがするなぁ。
こちらのバージョンには、コーヒー牛乳の人が
客演で出ていました。
なんか目立つなぁというか他の人と毛色が違うなぁと、
浮いた感じがありました。なんか前へ前へ出た芝居をしている。
声の出し方というか、脇にいるときの仕草とか。
彼自身が個性が強いのか、小劇団でさえも
劇団のカラーがあるのか、全体のバランスが傾く原因になっている。
まぁこれは演出家のコントロールの問題でしょう。
2バージョン、全く雰囲気の違う作品です。
この作品が見たくて、でも時間がない人は、こちらの「建築家~」のほうが
見やすいとは思います。
それぞれのバージョンの公演時、もう一方のキャストの人達が、
劇場案内や受付をしています。
開演前とか、結構ひまそうにしてますから、興味がある人は、
お話も出来そうです。階上の喫煙所とかで。
満足度★★
「北京の冬」暗く重く・・・
こう、何と言えばいいんのか、果敢な挑戦、
作家の芸術性の創造を醸し出そうとする心意気は
伝わるし、なにか哲学的なメッセージを伝えようとしているんだなぁとは
感じましたが、90分の上演時間にもかかわらず、
まるで果てしなく時間が長く感じ、
暗く重い内容が綴られていく・・・。
役者の抑揚さえも、はっきりとしない。
100席しかない小劇場ならではの実験的作品jなんだろうけど、
僕には理解が困難だった。
この作品はマチネで見たんだけど、
チケット買う時に、勢いでセットで買ってしまっていて、
夜もう一度、劇場へ足を運ぶのが、とてもおっくうな気分。