満足度★★
Bチームを観劇。暇人演劇として見応え薄。/約110分
Aチームを観劇後、何日か置いてBチームを観劇。
分かりづらく感じた作品への理解が初見時よりも深まったのは、観劇が二度目だったことに加え、ある女を富田真喜さんが演じたことも要因だろう。
主要人物の一人であるその若い女を、声が通ってセリフの立つ富田さんが演じたことにより、その女を含む日本人の船客たちがなぜ母国を離れて南島へ向かうのか、その理由が初見時よりもよりよく呑み込めた。
ただ、理解はいくらか深まっても、本作が面白いかと問われたならば、答えは否。
多くの時間が割かれている詩談義は実を結ばないまま終わってしまうし、詩を語る連中をはじめとする“暇人を描いた劇”としても見応えに乏しい。
退屈な船旅をやり過ごすため色んな人物がバカなことを始めるのだが、バカバカしさが極まっていないため、コミカルなのに笑えない気持ち悪い時間がたびたび発生するのだ。
砂漠監視隊シリーズという、宮沢章夫が手掛けた暇人演劇の大傑作を知る身としては、同じ暇人を描きながらあのシリーズほどには笑えない本作に物足りなさを感じた。
満足度★★
Aチームを観劇。説明不足が過ぎる。/約110分
観る人それぞれに様々な感慨を引き起こす作品なのではないか?
初演から四半世紀を経て再々演されるこの劇について作・演出家はそう言うが、これは裏を返すならば、どう受け止めるかを客にほぼ丸投げしているということ。
実際、母国からとある南島へ移住するため船旅の途上にある富裕な日本人達がどんな動機でどんな島へ渡るのか、当人達はほとんど語らず、それを我々は推察するほかない。
これは不親切に過ぎるのではないだろうか?
冗漫な詩談義に多くの時間を割くくらいなら、その時間を使い、南島へ渡る理由を各人にもっと語って欲しかった。
初演時はバブル期の真っ只中にあり、本作は異常な好況がさらに進んだ近未来を描いている。
当時の日本への強い怨嗟を込めて書いたと作・演出家が言うだけあって、好況を背景に思い上がっている日本人が悪意たっぷりに描かれているが、新天地へ向かう彼らはどういうわけか一様に倦怠感を漂わせ、何かに苛立っている様子。新天地への期待感はあまり窺えない。
その理由も私にはつかみかねた。
多賀麻美さん演じる底抜けに陽気な女の子がたいそう魅力的でした。
満足度★★★★
Aチーム なぜ「南へ」行くのか?
脚本は20年前のそのままで内容構成は、現代にアレンジしていて、船の客、船員、密航者(?)の登場人物それぞれがなぜ「南へ」行くのかという会話しながらも、静かながらも、葛藤しながらも、未来へとつながる構成で若い演劇人がんばった、115分でした。
満足度★★★★★
Bチーム鑑賞
上演時間1時間50分。目の前のこと以外がほとんど描かれず、空間も時間も一部分が切り出された、なんとなくの情景の作品。その世界に一緒にいたかのような感覚が残る。