満足度★★
Aチームを観劇。説明不足が過ぎる。/約110分
観る人それぞれに様々な感慨を引き起こす作品なのではないか?
初演から四半世紀を経て再々演されるこの劇について作・演出家はそう言うが、これは裏を返すならば、どう受け止めるかを客にほぼ丸投げしているということ。
実際、母国からとある南島へ移住するため船旅の途上にある富裕な日本人達がどんな動機でどんな島へ渡るのか、当人達はほとんど語らず、それを我々は推察するほかない。
これは不親切に過ぎるのではないだろうか?
冗漫な詩談義に多くの時間を割くくらいなら、その時間を使い、南島へ渡る理由を各人にもっと語って欲しかった。
初演時はバブル期の真っ只中にあり、本作は異常な好況がさらに進んだ近未来を描いている。
当時の日本への強い怨嗟を込めて書いたと作・演出家が言うだけあって、好況を背景に思い上がっている日本人が悪意たっぷりに描かれているが、新天地へ向かう彼らはどういうわけか一様に倦怠感を漂わせ、何かに苛立っている様子。新天地への期待感はあまり窺えない。
その理由も私にはつかみかねた。
多賀麻美さん演じる底抜けに陽気な女の子がたいそう魅力的でした。