満足度★★★★★
千秋楽
素晴らしい。今年No.1。これまでの全ての中でも指折り。演劇の素晴らしさに溢れていた。娘たちに観させてやりたかった。再演すべきだ。一度しか観られなかったことを呪いたい。冒頭からヴァレンタインの横地梢さんから目が離せなかった。李そじんさんの麗しさにウットリ。男装して愛しい人に仕え、しかも姫への恋のキューピットを仰せつかるジレンマを、纏ったその柔らかなオーラと潤んだ瞳が匂い立たせた。完全に心を射抜かれた。そして大好きな小瀧万梨子さんのコメディエンヌっぷりに脱帽。こんなのできちゃうのね。
満足度★★★★
青年団(系)俳優もやるな
作・演出で芝居を見る自分にも癖になる俳優、気になる俳優が現れて来る。控えめな(あまり感情を露にしない)青年団の芝居でも存在感をみせる俳優が居り、彼らがしっかり起用されたRoMT版「十二夜」は、やっぱり青年団と思わせる要素が多々。俳優の本当の力量は見えないが(台詞の抑揚が意味と違ってたりもするが)、この芝居の世界が作られている、と感じた。テンポよく作ってると予想していたが、たっぷりな演技もあり2時間40分超え。十二夜だのに、まさかのカーテンコール無し。
やり尽されたシェイクスピアを、どうやるのかが作り手にとっての勝負だが、この舞台では口語の用い方に特徴があった。訳は河合祥一郎。そのまま喋れば訳語の文体に絡めとられた演じ方になりそうな所、台詞を噛み砕いて口に慣らし、台詞は台本のままでも発語の感覚が「現代」になっている、という技を繰り出すのだ。行き別れた兄妹の妹のほうが兄に似せた男装をしており、瓜二つで周囲は見分けがつかないという設定ゆえ、普通あり得ない寓話を成立させねばならないが、演技は勿論演出的工夫が各所にあって客をうまく乗せている。役の見せどころ、笑わせどころでは、役者がしっかりと仕事をしていた。
満足度★★★★★
古典喜劇でこんなに笑えるとは。。。/約155分・休憩無し
期待以上の出来。
いろんなシーンがあるこの劇を簡素なセットで上手に見せていたし、翻訳モノの割にセリフ回しがそこまでものものしくはなく、割とすんなり世界に入り込める。
訳者が苦心して訳しただろうにさほど可笑しくはないダジャレの数々を強調しすぎず、やや流し気味に言わせるのもいい。
そして何より、●●さんの独壇場と化していた某シーンの可笑しいこと!
自分がかつがれていることに気づいていない間抜けで哀れな中年男を●●さんが緩急完璧な演技で好演していて、笑った、笑った!
この●●さんと××さん。このベテラン二男優が安定した演技で作品を引き締めていて、客は安心して劇世界に浸れる。
主役の若い兄妹は、互いによく似た中性的な男女が演じるのが適切な配役なのかもしれない。
今回のRoMT版『十二夜』ではそのような配役にはなっていないが、ネタバレに記した理由により、今回の配役もそれはそれで悪くはないと思えた。
田野邦彦さん演出作品を観るのは昨年の『ゴーストシティ』に次いで二度目だったが、役者が時おり特定の客を見つめつつ演技する演出は健在。
自分好みの女優さんに見つめられた時はドキドキしてしまいました。。。