満足度★★★★
青年団(系)俳優もやるな
作・演出で芝居を見る自分にも癖になる俳優、気になる俳優が現れて来る。控えめな(あまり感情を露にしない)青年団の芝居でも存在感をみせる俳優が居り、彼らがしっかり起用されたRoMT版「十二夜」は、やっぱり青年団と思わせる要素が多々。俳優の本当の力量は見えないが(台詞の抑揚が意味と違ってたりもするが)、この芝居の世界が作られている、と感じた。テンポよく作ってると予想していたが、たっぷりな演技もあり2時間40分超え。十二夜だのに、まさかのカーテンコール無し。
やり尽されたシェイクスピアを、どうやるのかが作り手にとっての勝負だが、この舞台では口語の用い方に特徴があった。訳は河合祥一郎。そのまま喋れば訳語の文体に絡めとられた演じ方になりそうな所、台詞を噛み砕いて口に慣らし、台詞は台本のままでも発語の感覚が「現代」になっている、という技を繰り出すのだ。行き別れた兄妹の妹のほうが兄に似せた男装をしており、瓜二つで周囲は見分けがつかないという設定ゆえ、普通あり得ない寓話を成立させねばならないが、演技は勿論演出的工夫が各所にあって客をうまく乗せている。役の見せどころ、笑わせどころでは、役者がしっかりと仕事をしていた。