夜への長い旅路 公演情報 夜への長い旅路」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    孤独を描く
    丁寧かつ真情豊かな演技に圧倒された二時間。
    麻実れいの役者力を見直した。益岡徹の闊達さも。兄弟役の二人も有名どころらしいが、良い演技をしていた。
    ユージーン・オニール作、に惹かれてチケット購入、しようとしたところ発売後間もない時期にも関わらず完売。トラムシートの追加販売を購入した。
    時代性の違いは、麻薬中毒への適切な対処をできていない所や、結核が不治の病である所。が、そこはあまり気にならず、時代は幾分遡ることを認識しながら、「今」起こっている光景として、時代を忘れて観ることができた舞台だった。
    熊林演出は「tribes」以来の観劇だが、静かさの中の力強さを今回の舞台にも見た。奥行のある舞台の正面(奥の方)に、部屋から出る扉の枠が立っている。その扉の向こうに立ち、ゆっくりと戸が閉まる、あるいは、立ちすくんだまま、照明が落ちる。そこに立つ者は孤独の時間へ戻って行く囚われ人のように見え、幾度となくそこに立つ(二階へ行くために)のが、麻実演じる母だ。が、最後にそれまで立たなかった者が立つ。そこで反転が起きるのが戯曲の示唆なのか、演出なのか分からないが、その者は拒絶してきた真実をその時ようやく受け入れた、という風に見える。孤独と、そこにしかない癒しの中に、劇は終わる。
    小さな破綻も甘さもない鋼のような戯曲である。

  • 満足度★★★

    壮絶家族の愛憎劇
    観劇して数日経過しても、喪中直後のような、なんかモヤモヤしたものが残骸として出てくる。

    バッドエンド後から話が始まったような舞台というか。地の底、地獄穴のようなとこで、もがき苦悩してる家族。互いが何かを失い支え補う、阻害ある亀鑑な間柄というか。
    終始、薄明かりのような照明使いに、舞台の両サイドには砂地のような場所を設置し、家から出た後の時間をそこで過ごしている。それも彼らの心境のようにも見えた。
    役者同士の身体の接触も多く、顔が触れ合うような距離で、怒鳴ってねじ伏せ触れ合って。見てるだけでしんどい。気が滅入りそうになるも、その直後には母や兄弟は優しく抱きとめる。
    ラストの闇間に消えていきそうな母メアリーの語りに、家族の明暗と再生がかかっている、と思えた。

    重苦しく陰気さに覆われた海外戯曲って好みではないが、役者さんに惹かれ見たが、賞を取るような海外戯曲ってこんなんばっかなのかな?
    見終わって原題名に納得。

    ネタバレBOX

    ドラッグ、ハイテンション、ヒステリックな母の感情の落差に見ている方も振り回され、そんな母でも大事に慕う父と兄弟。アル中の兄と疾患持ちの弟、この2人の感情のぶつかり合いに哀感。
    父は父で現実から逃げてんじゃないか、とも感じたが、母一人になんでさせた!と兄弟に怒るシーンで滑稽だけど妻には愛想ついてないのが救い。やっぱ大切な人なのな。

    ユージン・オニールのほぼ自伝らしいが、亡くなった後で作品発表されちゃうし、生前でも亡くなった後でもいろいろ大変だったんだなー。
    追加。
    なんだか、三原順の漫画を読みたくなった。

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