満足度★★★
質の高い娯楽劇
出演者、演出、照明、音響、衣装。
どれをとってもそつなく美しい、パッケージとして出来のいい作品でした。
設定はリチャード三世なら「あるある」な形で、フライヤーから察せられた通りの布陣。
スピード感ある展開、ほどよくちりばめられた笑い、派手なアクションと見所たっぷりの娯楽劇に仕上がっており、楽しい2時間でした。
ただ、独自の設定とキャラクターを立てるための脚本の余波なのか、シェイクスピアの数々の名台詞が聞けなかったことには物足りなさを感じました。
また序盤の登場人物のやりとりを観て、もう少しラドクリフを生かしてくるのかなと想像して期待していただけに、彼の使い方にも物足りなさ。
それでも、単品の作品としては申し分ない娯楽であったと思います。
満足度★★★★★
赤と白と黒
ザ・演劇!
…という感想に帰結してしまうのだけど、重みがあって、軽さもあって、芝居がしっかりしてて、美術も衣装も音響も照明も立派で、世界観にしっかり引き込んで魅せてくれた2時間でした。
舞台の奥の方にそびえ立っている十字架が、とっても存在感があって、始まる直前に照明で赤く染まって暗転していくのが、導入として効果的だな、と思いました。
客演してるキャストはたくさん見てるのだけど、少年社中の本公演を見るのは初めて。歴史がある劇団は、備えているポテンシャルがぜんぜん違う。根底が揺るがない。
いつも見てるのが薄いって言いたいんじゃないんだけど、やっぱり何か違う。
律されてる、っていうか。上手い日本語が見つからないのだけど。
少年社中のリチャード三世は、善の白リチャードと悪の黒リチャードの対比(対立とは一概に言えない)が主軸で、そこに白薔薇家と赤薔薇家の抗争のシェイクスピア的な軸もあって、遺伝子の螺旋構造みたいなシナリオだったなぁ。
でも、役者が演じるから人間味が溢れてて、どの感情もいとおしいものだと知る。
物販店長にアン役の内山智絵さんがいらして、間近でお会いしたのだけど、麗しくて麗しくて見惚れるばかり。劇中での凛とした姿や悲壮感の漂わせ方も素敵だった。アクションも観たいけど、こういう役もまた観たいな。
ちなみに衣装の花の模様、縫ってあるのかと思ってたら描いてあるみたい。
他の方の衣装も、ふわふわしていたりひらひらしていたりするのに、すごく芯があってデザイン画からもコンセプトからしっかりしているんだろうな、と。
少年社中の舞台、もっともっと見たくなりました。
満足度★★★★★
笑いあり涙あり
かなり近い距離で観ることができたのもありますが、すごい迫力で鳥肌ものでした。シリアスなシーンばかりではなくむしろ面白い所が多く楽しかったです。シェイクスピアはかなり難しい話だったりして理解できるか心配でしたが、全然大丈夫でした。主役が二人いる原作をアレンジしたリチャード三世は原作と違うところがすごく魅力的に感じました。
また音楽、衣装、舞台セット、照明がすごく綺麗でかっこよかったのが印象的でした。私は当日券でまた見に来るほどハマってしまいました。見ないのは損って思える作品でした。ありがとうございました。
満足度★★★★★
満足!
このところ、あちこちの劇場で見かけて、観たいなぁとため息ついていた舞台。名前は随分前から知っているが、初めての社中。観にいって良かった!
暫くぶりにストーリーにやられた感いっぱい!シンプルだが迫力のあるセット、品があり美しい衣装、そして、動きが軽く、切れがいい、どこを観てもワクワクさせる殺陣!蜷川演出のような雰囲気がありつつ、重くなり過ぎなず、適度に入るヌケ、見応え抜群の舞台でした!
満足度★★★★★
少年社中さんを信じて本当によかった☆
残忍で、暴力のみを信じて生きていたと言っても過言では無い
暴君、リチャード三世を描いたシェイクスピア作品を
少年社中さんが舞台に表現する・・・
それはファンとして少し覚悟のいることでした。
少年社中さんは、
その根底にいつも人間への深い理解と愛情を持って、
夢や希望を描き出します。
どんな心の持ち主でも、深い慈しみを持って
その人物のありのままを、舞台の上で輝かせてきました!
それが今回は、自分の欲望や野望のために、
愛する家族をも次々にあやめてゆく主人公の生き様を
どう愛し抜くのか?!
けれども、信じてよかった。
例えどんなに孤独と憎しみに駆られた心を持つ人間でも、
少年社中さんならきっと読み解いてくれる!
きっと愛し抜いてくれる!
そう信じ抜く勇気を持たせてくれました。
きっとシェイクスピアの450年にも渡る孤独が
この舞台で、解き放たれたことでしょう!
素晴らしい舞台美術☆
心の底まで響き渡る美しい音楽!
物語を語る愛情溢れる衣装!
まるで観客の想いを知っているかのように照らされる照明!
臨場感溢れる命がけの殺陣!
優雅に流れる清流のような清さを描きだしたダンス!
主役を務めた
池田純矢さん、山川ありそさんの熱く胸を打つ
完璧な人物理解と生命を懸けた表現!
ご出演された皆様のチームとしての素晴らしい
溶け合い、生かし合い、互いを信じ合い、愛し合う力!
そして何と言ってもこの難解な作品
現代を生きる私たち観客の心に、ここまで熱く激しく新鮮に
突きつけて魅せた
毛利氏の脚色、演出、読み解きの素晴らしさ!
何度も何度も繰り返し味わいたい
名作です!
間違いなく、人間なら一度は出会うべき芸術作品だと信じて止みません!
素晴らしい作品を創り出してくださって、
本当にありがとうございました☆