満足度★★★
王道的
有名な物語をバレエ化した作品で、この時期の定番『くるみ割り人形』と同様に、家族で楽しめる明快で美しい内容でした。
シンデレラと一緒に住むのが継母ではなく実の父であったり、最後のガラスの靴の持ち主がシンデレラと判明するくだりが少し異なっていたりと細かい変更はあるものの、粗筋を知っていれば動きを見ているだけで内容を追える、分かり易い振付・演出でした。
第1幕後半の四季の精が順に登場するシーンは季節毎に後の幕が上がって奥行きが増して行き、広くなった舞台をかぼちゃの馬車が一周する空間演出が印象的でした。
第2幕は舞踏会の場面で、ゴージャスな美術・衣装と群舞が美しかったです。12時になって魔法が解け、シンデレラの衣装がドレスからみすぼらしい服に早替わりするのが鮮やかでした。
男性ダンサーが演じるシンデレラの義理の姉2人のユーモラスなやりとりが楽しく(カーテンコールでも笑いを取っていました)、悪い性格になり過ぎていないのが良かったです。
コール・ド・バレエの振付はシンメトリーを強調していて、格調の高さが表現されていました。
プロコフィエフの音楽は意外性に富んだ旋律や和声進行でありながら親しみ易さがあり、物語を盛り上げていました。
元々の振付のせいもあるとは思うのですが、演奏とダンスのリズム感が微妙に合っていないように感じられる場面が所々にあったのが少々残念でした。
劇場スタッフの格好やホワイエの装飾もクリスマスの雰囲気を盛り立てていて良かったです。
満足度★★★
18日(米沢・菅野)と19日(長田・奥村)に鑑賞
結構久しぶり(10年ぶりくらい?)に見るアシュトン版シンデレラ。
良くも悪くも「あれ?こんな作品だったけ・・・」っていう感じが。
あれだなあ、プロコフィエフの音楽に対してこんなに「素直じゃない」(否、「合ってない」なんだけど)振り付けだったっけ・・・?っていう印象。
ダンサーが綺麗に振りを当ててるのに、イマイチこう、気持ちが良くなれないなあ、と。
四季の精とか、なんでこうもわざわざ踊りづらい振付にしちゃったんだろう感。星の精とかのアンサンブルはかなり計算されていて見蕩れちゃうんだけども。
あとやっぱり好きな曲とかがカットされちゃってたり、曲中の余計な切り貼りも目立つなあ、と。(これは初めて観たときから思ってたけど)
ただいい意味でも「こんなんだったっけ?」っていうのはあって、「意地悪な姉たち役、こんなに魅力的な役だったけ?」っていうkとなんだけど、前に観たときはただただお笑いなだけの役に感じたんだけど、今回の上演ではどこか「ちゃんと魅力的な女の子」な部分も感じられて面白かった。
これは18日19日ともに演じていた古川和則さん高橋一輝さん両名の役作り故でもあるんだろうけど、演劇的に作品を作り上げることを大切にしてたビントレー体制時代の名残なのかなあ、とか。
18日、主演・米沢唯さん、三幕の演じ方がめっちょ好み。
舞踏会の余韻に浸りながらキラキラオーラ満点なんだけども、それでもちょっとだけどこか「あーあ、楽しい一晩の夢だったなあ^^;」みたいに醒めてる、そのバランス感覚。舞踏会から意地悪な姉たちが帰ってきて、これからまたいつものつまらない日常だっていう「さっ、気持ち切り替えなきゃ^^;」っていう、諦めてるんだけどでもちゃんと前向きっていう振る舞いもグッとくる。
19日は、八幡さんが大健闘。あそこまでキレッキレで踊られるとやっぱり気持ちがいい。THE・王子な奥村さんもいい。
ただ鑑賞教室で入ってた学校団体の鑑賞態度がとても悪かったのは大いに不満。パドドゥの最中に着信音が大きな音で鳴ってたりして、演者の集中力も心なし途切れてたような。
仙女役、湯川さんか本島さんで観たかったんだけど、18日の堀口さんも19日の細田さんも初役とは思えないくらいハマってて見蕩れちゃう。
特に堀口さんのパドブレの美しさ、ステキ。