くれない博徒 公演情報 くれない博徒」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★

    日本映画が全盛期を少し過ぎた頃の個性派監督が撮った娯楽時代劇、的な
    とある目的のためにさすらう壷振り女がある宿場町に投宿したことで起こる騒動記。
    おりんに予言をする老女、おりんが狙う宿敵の娘の三姉妹、宿場町で対立する二大勢力など、名作リスペクトもあり、味わいは映画全盛期の娯楽時代劇。
    いや、お約束的な勧善懲悪ではなく、主人公を含む大半の人物が「ワル(もしくはアウトロー)」の要素を持っているあたりは全盛期を少し過ぎ、個性派監督がウケ始めた頃のノリか?
    そんなアウトローたちが織り成すのは復讐の連鎖(「殺られたら殺り返す」の世界)のハナシ。これ、好きなんだよなぁ。
    そういや少し前にも女性主宰のユニットがこのテーマで公演していたっけ…。
    それを人物の個性を表現した衣裳、終盤での仕掛けも仕込んだ精緻な装置、サンプリングの音響を付けなくても迫力を感じさせる殺陣などでコーティングしているのだからその観応えたるや…!
    2時間余を堪能いたしましたぁ♪
    なお、同じ疑問を抱かれる方もいらっしゃるだろうから書いておくと、かんざしを他人に渡す時に尖った方を相手に向けるのは正式な作法だそうで。

    ネタバレBOX

    「マクベス」ったり「用心棒」ったり、ところにより一時にわか「リア王」…な感じ?(笑)
  • 満足度★★★★

    無題1352(14-401)
    19:30の回。1階に貼紙、19:00、会場へはスタッフが誘導、受付(整理番号)。

    下手から上手へ3ケ所に分かれた配置、花が添えられ、和風の趣がよく表されています。

    19:24前説(中尾さん)、19:36開演~21:38終演。

    当パンに1984年生まれ「日芸劇作コース卒」とあるので、鮭スペアレの中込さん1985年生まれ「演出コース卒業」と近いなと思い、サイトへ行ってみると...「エモーショナルレイバー(2011/1@トラム)」演出助手...私がミナモザを観たのはこの作品が初めて。

    こちらは初めてで、今年も時代劇は数本にすぎませんが、整った和服姿はなかなかよいものですね。海外の人情ものはダメですが、「和」のものは好みだとわかった年でもありました。

    「今後の予定」によると、3月、新原さん「想い出パレット~(@両国)」。これは2010/12@ラビネスト(タマコロ)で観た作品とどう関係しているのだろう?

  • 満足度★★★★

    真実しらずに・・・。
    舞台セット、衣装と独特の台詞が印象的でした。
    男性3人(銀次、左馬介、与左衛門)の殺陣シーンは緩みのない迫力あるものだった。

    ネタバレBOX

    知人の子供たちの病を治療する費用を稼ぐため、いかさまをした母を死に追いやった母の愛人の一族郎党に復讐すべく策を企てるツボふりおりんの話。
    復讐相手の子供3姉妹は”リア王”を連想させる遺産相続問題が絡む。
    最後は通り魔に刺され死んでしまう哀れな悲しい話。
  • 満足度★★★★

    任侠時代劇の王道
    昨今あまり見かけなくなった任侠時代劇。時代劇が好きなので娯楽作品として、個人的に楽しめた。公演中なので、以下ネタバレで。

    ネタバレBOX

    任侠、敵討ち、博打、イカサマ、隠し財産、夫婦愛、親子愛、八州見回り等等、時代劇の王道的な要素を盛り込んだ娯楽作品。
    ストーリー的にはあまり意外性はないが、それは本作品に求めているものではなく、純粋に楽しめる作品。
    気楽に楽しめ、気づいたら2時間の大作。開演前の挨拶で演出家の中尾さんが挨拶されていたが、まだお若く良い意味で本作品の演出家とは思えなかった。
    脇を固める役者さんが上手く目についた。特に火渡安治郎役の小川信太郎さんが大親分と父親の顔がみれ良かった。
    そのせいか、何人かは任侠物にしては少し線の細さが気になってしまった。


  • 満足度★★★★

    役者力も殺陣も、セットもスケールアップ
    蜂寅は、旗揚げ公演からほとんど拝見していますが、観る度、劇団力がアップしているなと実感させて頂いています。

    内容的には、「リア王」とか、それをモチーフにした「天保12年のシェークスピア」に想を得たような雰囲気を感じましたが、所々に、中尾さんらしい、独自の気の利いたセリフが配されて、エンタメ作品としても、一定のレベルに到達していたことを嬉しく感じました。

    蜂寅お馴染の役者さん達に、それぞれ、華が具わって来たなあと、それも嬉しく思いました。

    殺陣が、以前より、迫真度が増して、時代劇としての体裁が整いつつあると実感させて頂きました。

    今回のセットは、更に、重厚度が増して、洒落ていて、大変気に入りました。

    ネタバレBOX

    旗揚げから拝見しているので、もはや身内感覚で、孫の成長に目を細める心境でした。

    最初の頃は、中尾さんの脚本は、高水準だったものの、衣装もセットも、役者力もまだ、素人に気が生えた感じで、初々しくもありましたが、今回の舞台は、もう立派に、時代劇劇団を名乗れるプロ集団の作品として拝見できました。

    何しろ、役者さんのレベルに、個人差がなく、それぞれが、役を好演されているのが、本当に嬉しく、安心して観られました。

    益々、蜂寅の進化が楽しみになりました。

    流行りの壁ドン、愉快でした。
  • 満足度★★★

    楽しめたが、何故か印象に残らない・・・
    “蜂寅企画”初観劇です。

    ストーリー面白い、役者さんたち演技上手、
    なのですが・・・、

    全体的に、緩急がなく一本調子な感じで、
    劇場の程よい暖房も手伝って、度々眠くなってしまった(汗;)。

    結構よく出来てるし、楽しめたが、何故か印象に残らない・・・、

    惜しい・・・。

  • 満足度★★★★

    スケールアップした蜂寅時代劇
    蜂寅時代劇作品を何作品になるのか観させていただく機会を得て、今回は演者数の倍増?もさることながら、それに対応した戯曲がスケールアップし、立ち回りの激しさ面白さは、演劇に関して専門的な事は分かりませんが、純粋に時代活劇を楽しむことができ、涙させていただきました。ありがとね。

  • 満足度★★★★

    大衆演劇…面白い!
    中尾知代氏の作・演出は「沈没のくれなゐ」(2012年)「氷のほむら」(2014年)の2公演しか知らないが、本公演も含め時代劇に対する想いとしっかりした取材に好感を持っている。
    最近は反社会的勢力に対する取締り強化という背景もあり、昭和時代にあったようなヤクザ映画の上映もなくなっている。しかし、その時代に観た任侠映画を彷彿とさせるような雰囲気のある芝居は面白かった!

    ネタバレBOX

    2014年11月には日本を代表する男優2人が鬼籍に入った。その2人の代表的な作品は任侠映画(映像イメージは異なる)であり、当時の映画隆盛期にシリーズ化されたものもある。

    さて本公演は、主人公の任侠鉄火な女(おりん)の復讐劇である。この復讐モチーフはシェイクスピアの四大悲劇の1つ「リア王」のようであるが…。

    王であった時は自分が愚かで弱い存在であることを認めなかったリアは、彷徨して苦しんだ末、末娘の愛に救われ己の愚かさを悟る。リアに最初からその自覚があれば、悲劇は生まれなかった”はず”なのに。本劇中のセリフ「あの日までは…もし、たら、れば、は 博打と色恋にゃあ御法度!」と同様、仮定の話は無意味だろう。
    しかし、シェイクスピアを例に、彼は悲劇・喜劇の両戯曲があり、多様な人間を描く「万の心を持つ」(ミリアド・マインデッド)とも言われ、彼の世界は「多声性」(ポリフォニー)に満ちており、価値は1つに定まらない。

    多少、意味合いは違うが「くれない博徒」も観客の捉え方は様々であろうが、まだまだ”伸びシロ”が、いや蜂寅企画は中尾氏一人であったと思うので、”才能”というべきだろう(高い所からの言いようで、失礼)。

    舞台美術・衣装は拘りが出ており素晴らしい。
    今後の公演にも期待しております。

    ちなみに、登場人物の「おりん」は「逃亡者おりん」(テレビ東京系列)、八重洲の銀次」は「素浪人月影兵庫」の旅連れ「焼津の半次」(現・テレビ朝日)に名が似ていますが…。
  • 満足度★★★

    娯楽作品
    熱血任侠エンターテイメントでしたね。○○王かなと思った部分もあったけど,まったく違いましたね。素直に観て楽しい作品でした。

  • 満足度★★★

    渡世
    上州の侠客と言われた火渡 安治郎には、三人の娘があった。隠居することにし、長女、お壱、二女、お継、三女お結に家督を継がせようとするが、お結はこれを辞退。旅に出て仕舞う。旅先で危うい所をおりんという壺振りに助けられたお結であったが、この女たち、妙な因縁で繋がっていた。

    ネタバレBOX


     お結は出帆から2年。故郷へ舞い戻ったが、お壱、お継は、其々が一家を構え、事あるごとに対立していた。お壱の現在の連れ合いは、元お継の色、左馬介。お継の連れ合いは、浪人あがりの元用心棒、与左衛門だが、彼女は他の男とできている。家督は継いだものの、安治郎には、他に莫大な隠し財産があると言われ、その宝の隠し場所は、三枚の花札に分けて隠されていると言う。
     一方、この宿には、おりんも十五年ぶりに戻っていた。亡き母の仇を討つ為である。彼女の母、お竜は、矢張り博徒であったが、色であった安治朗に裏切られ、二人で見付けた宝を横取りされた上、惨殺された。その怨みを晴らす為、おりんは一族郎党苦しめ、根絶やしにしようと復讐を誓っていたのである。(上演中故、ネタバレは此処まで)
     財産贈与と老後の父の暮らしについて、リア王と三人の娘を下敷きにした科白が続くシーンでは、換骨奪胎が充分機能しているとは言い難い。シェイクスピアが未消化なまま使われているという感覚を拭えないのだ。演劇は、状況が、避けようもなく、個々人に襲いかかって来る中で、個々の登場人物達が、それでも立ち向かう姿に対して、宿命がその人物をこれでもかという具合に襲いかかることで、人物を立体化する所に成り立つ。集約の芸術でもある。従って、背景にある事情を良く練ってから用いないと、浮いてしまう。まして、世界演劇の中でも最も優れた劇作家であるシェイクスピアの悲劇を、唯援用しても、他の部分との整合性も欠く為、尚更わざとらしさが際立つ。この劇団の作家もまだ若いのだから、自分の中にある不定形なものを、もっとぶつけてみても良かろう。

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