満足度★★
前半より後半が好演でした
7日12時に中野のポケットスクエアにある劇場HOPEで上演された、劇団パンドラの匣第4回公演『名醫先生』を観てきた。これは、知人である若林美保が出演していた関係からである。
作品はニール・サイモンの作による2幕11場からなるオムニバス作品。個々の作品の登場人物は違っているが、全体を通して作家(ストーリーテーラー)の語る話として微妙な統一感を持っていて、各場で観客に軽い謎を残して終わるのが味わい深い。問題は、そうした味わい深さを出せるかどうか。全ては役者の技量と演出にかかっているわけだが・・・・
第1幕は6場からなる。
1場ー作家による独白
2場ー「くしゃみ」
3場ー「家庭教師」
4場ー「手術」
5場ー「色魔」
6場ー「晩秋」
個々の場面で人間の根源として考えさせられる問題を時に笑い(人間への嘲笑というべきか)を交えて演じられるわけだが、どうも演技に深みが感じられず話の中に入り込めない。入り込めないうちに、一つの場が終わってしまう。観客の中には時に笑い声を上げて観ている方もおられたが、確かに薄い笑いは浮かぶのだが・・・。役者の熱演としては「くしゃみ」「手術」「色魔」が良かったが、演出のせいなのかどうも表面的な演技ばかりのような気がして、休憩時間になって正直ホッとした。
ところがである。休憩後の第2幕は、第1幕とは異なり役者の演技の深みが増し、舞台に集中しやすくなった。はて、何がきっかけなのだろう。それは、第2幕の冒頭の1場の演出を佐藤一也が担当したからかもしれない(他の場面の演出はすべて佐藤雅子)
第2幕
1場ー「水死芸人」
2場ー「オーディション」
3場ー「弱きもの、その名は」
4場ー「教育」
5場ー作家の独白
このうち2場の「オーディション」と3場の「弱きもの、その名は」が出色であった。特に女優陣(中島佐知子・美里琉李・若林美保)の熱演が光っていた。
舞台は黒一色で、椅子や机となる大道具がいくつかあるだけ。照明も特に細工なし。
役者の力量を試すというか養うために行った公演というならよいだろうが、本公演という意識なら、更なる精進を希望したい。オムニバス作品は、実は難しいのだよ。
満足度★★★★
ニヤリとしました!
上演された9つの短編の中で
”家庭教師””色魔””弱気もの、その名は””教育”の4つは思わずニヤリとしてしまいました。
芝居も衣装も良かったです。
満足度★★★★
ブラック度は低いけど
役者が皆達者なので、とても面白かった。家庭教師に渡す給金を何かと理由をつけて減らしていく女主人が歌舞伎にでてくるがめつい大家さんみたいでおかしかった。そ、唯々諾々と人の言いなりになってはダメ!主張するべきところは言わなければ、と自分に言い聞かせたのであった。予算が少なそう(想像)な中で、衣装がとても工夫されていて雰囲気を出していて、かつステキだった。照明が時々ちゃんと当たってない場面があった。これは残念。熱演してる役者さんをちゃんと引き立ててあげよう。
満足度★★★★
思わず“ニヤッ”とする・・・
“前半5作”、途中休憩を挟んで“後半4作”の短編集からなる舞台。
確かな演技の役者さん達によって演じられる“9作”は、
人間の心理の一面を捉え、“ブラック・ユーモア”として表現され、
どの作品も楽しめた!
所謂「爆笑!」といった舞台ではないが、
酒を片手に、“クスッ”としたり、“ニヤッ”っとしながら観る、
そんな「大人の芝居」という感じ~。。。
「爆笑!」の演出バージョンを観てみたいのは私だけだろうか・・・(笑)
満足度★★★★
ブラックユーモア
チェーホフの作品をモチーフにしたニール・サイモンの短編集…習慣や文化が異なる日本人が演じたオムニバス9編は、珠玉であった(2時間20分_1幕目5作品60分、2幕目4作品80分、途中休憩10分)。
確かにオムニバスだが、劇中登場の小説家の脳内における連作構想という感じに思えた。
満足度★★★★
大人向け苦みコメディー
チェーホフを敬愛してやまなかったというニール・サイモンの短編を舞台化した作品だ。チェーホフが医者であったことは、演劇に関心のある者の常識だが、サイモン自身、医者の真似ごとをしていたとかで、“ドク”の愛称で呼ばれていたと言うことが、会場で渡されたリーフレットに書かれている。