泥の子 公演情報 泥の子」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★

    涙が出た
    戦後直ぐの荒れ果てた時代。
    様々な過去を背負いながら懸命に生きる人々。
    自分がこの時代に生き、この場にいたらどう生きていけるか考えさせられました。西村有加さんの演技が最高によくて、自然と涙が出てしまいます。

  • 満足度★★★★★

    生きる望みと絶望!
    そうそう、こういう芝居大好きです!
    私には、大体群像もの=暗い、辛い、悲しい、切ないのである。
    救いようのない絶望観を迎える度に流れるギター曲がそれをより感じさせる。
    舞台セットに衣装ととても時代と戦後の悲惨な状況が良く感じられ素晴らしかったです。配役数も多すぎず設定が個性的で魅力的。
    役者陣は見事に演じていました。

    ネタバレBOX

    自分さえも生きるのが困難な時代に弟の成長を生きがいに逞しく生きる姉の姿。隠し通したい過去をもち、本当の自分の姿だけで生きていくことがいかに難しかったということを踏まえて”小さくてもいいから望みをもって今を生きろ”と言われているようだ!



  • 満足度★★★★

    よかったです
    終戦直後の生きるのに精一杯だった時代の群像劇。救いのない、やるせない話であったが、この時代があったからこその今と思えば、絶望はない。姉役の西村有加さんが実にいい。

  • 満足度★★★★

    次回作が楽しみ!
    今の裕福な時代からは到底考えられない戦後の物語で、
    登場人物それぞれの心情・生活をとても良く表現した作品。
    次回作品はどんなものになるのか楽しみ!

    主演の“西村有加”さんの演技が素晴らしかった!



    ネタバレBOX

    “姉”のために自ら死を選択した“弟”、“弟”のために生きて、残された“姉”。
    深い兄弟愛を感じた。
  • 満足度★★★★★

    逞しく生きる
    1948年当時…生きるためになりふり構わないという、バイタリティを感じさせる公演だった。一方、貧しさ故の悲哀も十分描き込んだ秀逸な作品だと思う。戦後の食料というと、食糧管理法の下で、栄養失調で亡くなった裁判官のことを思い出す。闇米拒否する清貧さによるそうだ。
    さて、単に善悪だけを論じることに意味がない状況下…この苦難を経て今の日本がある。この公演は、登場したような人達の姿を通して、現在の有り様を考えさせる一石を投じた作品だと思う。刑務所のほうが食事の心配がないようなセリフがあったが、現在では働く場所、就業形態の不安定化による生活困窮が問題になっている。正直者(法遵守した人が死亡)が……不条理にならないようにする必要があるだろう。
    さて公演だが、舞台セットは悲惨な状況を感じさせる見事な作り込みであった。そのセット(窓からの出入りも含め)を十分活用した演出も見事であった。一部小物等(盗品靴が新品、黒先生の靴下が新しい)に違和感はあったが、そこはご愛嬌だろう。
    全体的には、社会的訴求力のある好公演であった。

    今後の公演にも期待しております。

    ネタバレBOX

    ところで、黒先生(塚本一郎)が臨終間際に姉御(西村有加)に告白するシーンは、やはり吐露することで、気が楽になりたかったか。説教をしていた人間が…やるせなさすぎるが、さらに人間の暗部をえぐり出し、予定調和で終わらせない。逆に印象付け見事な結末に導いた。
    姉御が、遺骨を抱いて号泣するラストシーンは感動的であった。
  • 満足度★★★★★

    流れていた曲が懐かしく嬉しかった
    芝居は非常に暗く観ていて辛くなりました。でも役者さん(特に主人公の)の演技は素晴らしかったです。

  • 満足度★★★★★

    嫌な
    泥の子、意味がわかるといい表現の言葉ではないですね。この時代みんなが必死になって動き始めた時代。したたかと言うか嫌な生き方を表現していましたね。ある意味開き直って何でもありそんな人がのし上がっていったのでしょうか?演劇はいろいろな事を教えてくれますね。

  • 満足度★★★★

    こんな時代も....
    その時代を生きていないので切実に感じることはできませんでしたが、その頃を生きていた人々のたくましさは強く感じられました!全体に暗い内容なので、笑いの混じるところは重くなりすぎずに観れて良かったです。

  • 満足度★★★★★

    デジャビュ
    感がある。自分のホントに小さな時、ここ迄悲惨ではないものの、雰囲気は残っていたからだろうか。(追記2014.11.12)

    ネタバレBOX

    敗戦3年後の東京、ニコライ堂の鐘の音が、響く病院アパートには、大家面した元小使いの老婆が、爆弾にやられたこの建物を人々に貸して日銭を稼いでいた。彼女、爆発で耳をやられて音が聞こえない。然し、その日の宿代の払えない者は遠路無く追い出すという冷静な面を持ち合わせている。中々因業な老婆である。
     現在、部屋を借りているのは、元鬼検事と自称する初老の男、何やら般若心経やら、観音経やらを誦し、鈴を振る。綽名は、先生だ。年齢は初老といった所か。帰還兵も居る。曹長だったとかで、中国大陸では若娘に酷いことをしたらしい。年中魘されている。猫を被ってはいるが、悪には違いない。綽名は復員。シナリオライター志願のヒロポン中毒者、ポン中。血を売ってはシャブを買っている。知識はあるが、ナイーブな男。靴を盗んでは金に換え、何と銀行預金を12万3千円もしているカッパ。自称大地主の息子で農地改革で財産を失った男。凶暴な犯罪を犯すタイプでもないが、ちゃらんぽらんな所もある。因みにカッパはカッパライから来ているのは、誰にも直ぐ分かるだろう。
    その他姉弟が1組。貧しさから奉公に出されたが、年頃になると、器量の良いことから妾にされた。そんな暮らしが嫌で飛び出した後は、ストリッパーやパンパンをしながら中学生の弟を養って来たが、学の無い娘に他にどんな仕事があったというのだろう? それでも、弟に悪影響を与えられないと売春を止め、バーで女給として働くことで何とか身を立てていたが、彼女の美しさが仇を為した。チンピラヤクザにヤサを見つけられ、レイプされかかった際に、聞き及んだ居たヤクザの顔役の名を出して撃退したことから、このヤー公のレコにアヤをつけられた揚句、ヤー公から焼きが入ってレイプされた。おまけに、唯一の夢であった弟のマーボーは結核性の病に倒れて、薬の手配もままならない。唯一、治療に効果のありそうなペニシリン注射は1回1000円もする。薬代を稼ぐ為に再びパンパンに身を落としたが、名前を使った件に関してのレイプを1回で済ませ、シャブ漬けにもアヘン漬けにもしなかったのは、彼女の気性をヤー公が評価したからだった。然し、目を掛けたスケが誰彼構わず股を開いたとあっては、このヤー公の顔が立たねえ、となって2度目の焼きを入れられた訳であるが、本人は出張ってこない。手前のバシタのやっかみが怖いということもあるだろう、格好をつけて舎弟と例のチンピラを寄こした。舎弟がこのチンピラ命じた為に、この間のカラクリがばれていたこともあり、チンピラにも焼きを入れられる始末。
     それでも、鶴は弟の前で、金の心配をさせまいと「人気のある踊り子だから金は手に入る。心配はない」と嘘をついていたのだが、姉の不自然な態度をいぶかしんだ弟に質問されて、事実は、元パンパンの同僚、トンボの口から漏れてしまった。父と同じ病に罹ったと知っている弟は、父が患ってからの母の苦労を思い出し、姉の負担をいやがうえにも想起させた。優しい弟は終に自殺してしまう。
     弟を大学へやって世間を見返す為もあって、男断ちの誓いを立て、被ってきた泥を清めたハズの鶴であったが、レイプされて穢れ、たった一つの生きる目的・希望であった弟に先立たれて、ショックの余り床についてしまった。
     鶴の看病をしていたトンボは、就職してマッポになったを幸い、カッパを逮捕した復員に2万で手を打ってパイにして貰ったが、復員のあくどさはこんなものではなかった。復員が2万どころか彼の通帳を狙って首を絞めて来たので、反抗して自分も復員の首を絞めたが、気付いた時、復員の息は無かった。それで一旦、ヤサへ戻り、看病の為に其処に居たトンボを復員から奪ったワッパで拘束してトンコしてしまった。
     畳の上で往生したがっていた先生は、本当は鬼検事などではなく、主人家族を殺した殺人犯で、空襲で務所に火が回ったドサクサに紛れてトンコした脱走死刑囚であるとホントの事を話し、穏やかに息を引き取る。この辺り、最終的に、ホントのことを誰かに聞いて貰いたい、という人間実存の欲求を示してリアルである。
     一方、鶴は思うのである。死刑囚が観音に願って願いを聞き届けられ、畳の上で穏やかに死んだのに反して、苦労しかしたことのない姉弟が、人としての尊厳を踏みにじられたのみならず、最愛の者を奪われ、友人を失い、惨めさに泣くことさえできぬような苦悩を負わされる。そんな、神や仏とは何か!? と問う鶴の叫びは悲痛である。
     そして、このような叫びは至る所に在った。井上 ひさし作の東京セブンローズでも描かれていることであるが、戦い破れ、武器を取り上げられてしまった男なんぞ、何の意味もない。実際、戦後のどさくさに家族を守ったのは、女性達である。パンパンを余儀なくされた者もあったであろう。女を武器にした者もあったであろう。然し、現実に、戦前の飢饉や戦費調達に実質的に大いに貢献したのも女性の力が大きかったことを考えれば、売春をしていたからと言ってそれだけで彼女達を非難することは過ちである。からゆきさんの墓は、墓碑銘が総て古里に背中を向けていると言う。それだけ深い絶望を彼女らに味あわせたのが、我々の過去なのだ。そして、この過去を我々は未だ引きずっている。何故なら、既に多くの日本人がこの過去を忘れ、嘗て、売春婦を嘲ったように現在も差別し続けているからである。自分は、故あって無神論者である。然し乍ら、死者に対する冒涜とは、忘れ去ることであることぐらい知って居る。そして、忘れ去るとは、儀式化も含む。死者は、我らに、我らが生々しさを以て感じ続けることを要求するのだ。
     今でも、劇中のトンボの科白「自分は汚れている」という深い心の傷を抱える女性は多い。実際に、そういう傷を抱えながらも立派に社会復帰を果たし、他の人の面倒も見たりしてしっかりした生活を送っている方も多いのだが、また、知的職業に就いて、良い仕事をしている方もいるのだが、彼女達の心の傷は生涯癒えない。それでも、生まれてしまった彼女ら・我らは、誰しも自らの傷を生き延びねばならない。今作は、そのような覚悟の作品である。
     因みに神も仏も疾うに死んでしまったが!!
    注:トンコ 脱走、逃亡のこと。
      シャブ 覚醒剤
      レコ 女
      バシタ ステディ
      パイ 釈放
      ヤサ 家、住まい
      ワッパ 手錠
      マッポ 警察、警官
  • 満足度★★★★

    暗い・・・暗すぎる
    ☆4.3

    西村有加さん他、役者は皆舞台上の世界観を見事に魅せていた。

    自分としては、もっとあっけらかんと逞しく生きた市井の人々のしたたかさ・しぶとさみたいなものを想像していたので、描かれた暗い世界には少し「負」の部分が勝り過ぎの気がして満足度はもう一つといったところ。

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