漏れて100年 公演情報 漏れて100年」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★★

    内側に向いたカメラからの人生の俯瞰
    舞台に描かれるものの視座に思い当たるまでは、
    紡がれるものが混沌に思えましたが、
    舞台の仕組みから、その視座を受け取ることができると
    描かれるものがとても面白く感じられました。

    作者の意図を追いかけているとは限らないのですが、
    でも観ていてその結末どのようになっていくのかを
    ずっと見つめてしまいました。

    ネタバレBOX

    場内にはいるとややそそり立つようなセットの向こう側に「-5」の文字が見える。それが、気がつけば「-4」になり、「-3」になり、やがて0にいたって舞台が歩み始めます。

    最初は描かれているものの意味がほとんど理解できませんでした。
    首輪をつけた若い男がいて、それをリードでコントロールする母親らしきひとがいて。
    その光景に見入っているうちに壁面の数字がひとつずつカウントアップされていく。やがて彼らの名前がわかって、舞台の仕組みが少し見えてくる

    その数字が年齢となり舞台上が一人の人間の新風景に見えてきたのは、名前と首輪のことが大きいかも。
    「ゆめ」がすっと首輪をはずしてしまうのに「さち」の首輪がいつまでたっても外れないこと、その名前と首輪のありようで、二人の関係がすっと浮かび上がった。
    そうなると、作り手の寓意とはずれているかもしれないけれど、たとえば植物だけを食べる生活は肉欲に対する純潔のような貴がしたし、母親のご飯をたべないことは、反抗期の子供の家庭への反発のように思えたりも。

    そのうちに、「うた」がやってきて、大きくなって、死んでしまうのは、なにかある年代のアーティストやアイドルに熱狂する気持ちの具象にも思えたし、「ゆめ」が首輪をはずして去っていくのも、現実が見えてきた年代にさしかかったからかなぁとこれはあとで考えたり。

    やがて、滝の裏側にある現実の知識を身につける20代、30代には勢いで才能を撒き散らし、そのことに違和感を感じて、「無限」のやり方を自らのものとしていく30代から50代。そこをすぎるともはや「無限」の姿もなく、その探求に縛られるのではなく、積み重ねたものによって解き放たれていくような感じがする、

    そして、90を過ぎると積み重ねられた記憶は悟りのようになり、回帰し100へのカウントダウンを迎えていきます。
    内を見る視座が外れ、振り返る刹那のありのままの姿が切り出されて、描かれたものがすっと描かれる時間の実感に重なる。

    観終わって、なにか、目から鱗がおちたような気がしたことでした。
  • 漏れた
    自分が漏れた感覚に陥りました。

    ネタバレBOX

    独自の世界にうまくコネクトできず。
    自分が漏れました。
    解説を聞いた上でもう一度観てみたい。
  • 満足度★★★

    漏れた
    人間はわがままのかたまりのはずだと思いました。

    ネタバレBOX

    漏れてという言葉は今や放射能以外考えられないようになってしまっています。そして、原発事故なんて起きないと思っていたことが起きたように、第三次世界大戦が起きてしまい、核ミサイルによって世界中の町や原発が破壊された後の、放射能に強い体質を持ったわずかな人間が命を全うするまでを描いた話でした。

    開始前に、-5の数字が映し出され、0になったときが放射能でやられた瞬間でした。数字を見るにつけ、途中37ぐらいでは、ああ、まだまだ100までは遠いなと憂鬱になってしまいました。

    何年かに一度、プログラミングされたシステムによって人間の生体反応のあるところに追加でミサイルが打ち込まれるようです。敵に対する攻撃に人間は容赦ありません。

    放射能に強い動物も生き延びていました。いざとなると分かりませんが、とりあえず死肉を食らい、植物も食べる雑食性の生き物でした。野犬みたいなものだとは思いますが、青鬼のお面をつけていました。恐らく、若手演出家コンクール2012のときの鈴木アツト氏『青鬼』に影響を受けたのではないかと推察しました。

    もしかしたら、地球上の他の地域では子孫が生まれているかもしれませんが、少なくともこの地の人間は滅びました。

    アフタートークで、他の生物、この場合は樹木を考えていたようでしたが、それらの栄養となることで命が繋がっていくことを言いたかったことが分かりました。しかし、人間の遺伝子が他の生物に引き継がれるのならともかく、単なる栄養となるだけで満足できるほど種としての人間は達観していません。ましてや、個はもっとわがままです。木の実が一個実って落ちたくらいで満足できるはずはありません。

    最後部の座席から舞台上部の舞台美術が見えなかった点については、客入れのときにスタッフが、「最後部のお席は舞台上部の造作物が見えづらいお席になっております。」と、一言知らせてくれれば良かったのにと思いました。

    様々な席からどのように舞台が見えるかチェックしていたら、そういう案内もできたのではないかと思います。結局しなかったのでしょう。漏れたのは放射能だけでなく、気配りもだったのかもしれません。
  • 満足度★★★

    たかが100年
    なんで青鬼だったんだろう?意味あるのかしらん?得体のしれない化け物じみた生物の方がよかった。

    ネタバレBOX

    100年後が描かれると勝手に思ってたので開演前に100年間を描きそうなことが分かりいざ開演するとこんな感じで100まで進むのかと思うと先が思いやられる。眠りを誘発したのは幾度となく繰り返される灯りの明滅だけではなく単調なシーンの連続だったからで、意図的な演出とはいえもう少し客を飽きさせない工夫があってほしかった。
  • 満足度★★★★

    追加要素で印象が変わる
    劇場が変わって、舞台のセットとの距離が格段に近くなりました。

    東京で売っていたのは東京公演の台本だそうなので、
    そちらも買ってきました。
    (東京公演バージョンは後ろがわに縁取りがありました)
    台本を読み比べるのも楽しそうです。

    ネタバレBOX

    仙人役がサリngさんに変わったのも大きな違いですが、
    展開や演出でも「生々しさ」が増していたと思いました。

    「あれ、伊丹ではこんなことあった?」と思ったところがあって、
    伊丹公演の台本を読んだらだいぶ違っていました。
    二度目の出会いということを差し引いても、
    伊丹よりも、五感に訴えてくるなぁ、という感触でした。
  • 満足度★★★★★

    わからなかった
    でも面白かったよ。

    正直言うと8~9割は理解できたように思う。完全には理解できなかったという意味でね。

  • 満足度★★★

    正直、あまり取っつきやすい劇ではありません。/約100分
    思いっきり抽象的で作品につかまるための安定した取っ手がなく、かなり取っつきづらいお芝居。

    笑い、恐怖、謎といった取っ手がしっかりと付いていれば、それらをよすがに鑑賞できるが、それらの取っ手は劇に身を固定するにはいずれも脆すぎた。

    サリngROCK作・演出の芝居を観るのはOn7『痒み』に次いで2度目だったが、ちっぽけな人間の営為を対象から遠い場所からまるで観察記録でもつけるように淡々と描く作風は2作品に共通。

    ただ、前半に日常劇の要素があり、全体に笑いも多めな『痒み』のほうが、本作『漏れて100年』よりもずっと取っつきはいい。

    一方、本作は神話さながらにスケールがでかく、描かれる世界は我々の暮らす日常から大きくかけ離れていて、“大きな世界の中のちっぽけな人間”を描いてはいながらも、どうにも取りつく島がない。

    ゆえに私も“対象から遠い場所から”眺めるように劇を観ざるを得ず、引き込まれるまでには至らなかった。

    ただ、劇中に登場する不思議な生物や植物が面白く、また、とても好きなギャグが2つほどあったので、★は3つ。

    ネタバレBOX

    「さち」という名の少年が“終末以後”を思わせる荒涼とした世界で「仙人」と呼ばれる老婆や「無限」と呼ばれるオッサンら数少ない人間たちと関わりながら100年を生きる話。

    半径3メートルの世界のことで頭の中がいっぱいな私ゆえ、これだけ柄の大きい話には正直ついていきづらかった。

    ただ、スケールのデッカイ話は人間というものの卑小さを否でも応でも意識させ、“人間なんて宇宙から見りゃゴミみたいなもんなんだからどう生きたっていいんだ”と勇気づけてくれるようなところがあって、少しばかり力をもらったのも事実。

    そういう効能がこの劇には確かにある。
  • 満足度★★★

    青鬼
    100分。

    ネタバレBOX

    さち(山田まさゆき)…仙人に育てられる。その後独りで放浪し無限に逢う。
    ゆめ(埜本幸良)…さちとともに仙人に育てられるが仙人の元から逃げようとし死亡。
    仙人(サリngROCK)…人類最後の女性?
    無限(緒方晋)…さちの伝染病を治し、人を探す旅を続ける。

    人がほとんど死んだ世界。そこで生きる男の一生。
    無限は子孫を残すために人を探しているが、さちには明確な理由がない。人が生きるのはなんのためってとこを暗澹と描いたような作品。
    人とは違う青鬼?が子を産み繁殖する様も描き、人とそれ以外の生き物の差同じとこを見せ付けた格好なのかなと。原始的な話なのかと。

    途中途中でもうちょい心惹かれるポイントがあると見やすくてよいと思った。

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