満足度★★★
妥協の難しさ
異なる意見を擦り合わせる難しさがユーモラスに描かれた、考えさせる短編でした。
文化祭の出し物として生徒が書いた演劇の台本に教師と生徒の恋愛を描いているのが不適切とされ、変更させるものの、変更を加える度に新たな問題が生じ、話がややこしくなって行く物語で、意外な展開が続くのが楽しかったです。
役者5人が揃って出て来て開演前のアナウンスを行うのに違和感を覚えましたが、物語が進むに従ってそのことにも意味があったことが判明するのが洒落ていました。
物語中で起きていることが取り込まれメタ的に更新されていく台本や、台本を書いた生徒がすぐには登場せず、現れてからもなかなか台詞を言わない構成のプロットが巧みで、引き込まれました。ただし、笑いを取ろうとして本筋とあまり関係の無いネタで引っ張る箇所が所々にあったのがしつこく感じられました。
先生役の4人はコミカルな雰囲気を生み出していましたが、大袈裟な演技スタイルだったので、芝居掛った演技をするシーンが活きていなかったのがもったいなかったです。
音楽を用いず、照明効果の使用もわずかに留めて、シンプルに意見の食い違いをを見せる演出が、観客にテーマについて考えさせる余白を残していて良かったです。
同時期に公演のあった、同じく柴幸男さん作・演出の『わたしの星』も高校生の文化祭で上演する演劇をモチーフにしていながら、テーマやテイストが全く異なり、柴さんの作風の幅の広さが感じられました。
満足度★★★★★
さすが
さすが柴さん!!誰もが日々、妥協と葛藤の中に生きる中で万人がなるほどと思うテーマを面白おかしく、テンポ良く見せ、最後は上手~いことまとめ上げるセンスの良さに感服。最近ダラダラと長い劇が多いなかでサクッと65分も超好感!!これも力量のなせる技ですね。
満足度★★★★
演技体と結末がややチグハグ
あることを議題に教師たちが侃侃諤諤の議論を戦わせるディスカッション劇。
笑いも多く、楽しみましたが、おしゃれでかっこいいエンディングは熱演調の演技体を持つ本作に合ってない上、盛り上がっていた劇をなんだか尻すぼみにしていた印象。
それにしても最近目立つな、こういうディスカッション演劇。。。