生きると生きないのあいだ 公演情報 生きると生きないのあいだ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★★

    初めての感触
    役者陣の素晴らしさ・・・特に、川口覚くんの素晴らしさは後述するとして。脚本の手応えが、こんな演劇を見たのは初めてというくらいの新鮮な感触で。台詞に使われている言葉に特に難しく耳慣れないものやキラキラした響きもないものの、その積み重ねで実に重厚な、年を重ねた人生のような力強さを感じました。それを発する役者さん達の力量・・・。柄本明さんがとにかく秀逸。もはやそれは台詞ではなく、表情の一つ一つもどれもが演じているというよりは彼のリアルそのもの。その柄本さんに少しも引けを取らずにW主演を努めた覚くんも、発する声から周囲の見えないものをリアルに見せるという素晴らしい表現能力を見せ付けてくれました。数々の生き物、吐き気をもよおすほどの死体・・・シンプルな舞台にそれらが見えるようで、ときには温かな気持ちになったり、ぞっとしたり。濃密な演劇の時間でした。ありがとうございました。

    ネタバレBOX

    そして、大好きな岡田あがささんも、出番は多くないものの素晴らしい存在感でした。最初の真っ赤なドレスはどこかしっくりと来なくて、強がりであるとか寂しさであるとか、そういったネガティブな感情を感じさせられたのに。最後のオレンジ基調のドレスでは彼女自身の心の美しさが溢れ出るようで、あまりの可愛らしさにうっとりとしてしまいました。1週間でこの舞台を2回、そして間にツリメラライブ。幸せな日々を過ごせました。ありがとうございました・・・!
  • 満足度★★★★

    あいだ
    色々なあいだ。今、自分はどこにいるのだろうか?と考えた。「嫌い」ということと「好きじゃない」のあいだはなんだろう???とか色々、色々…。後半ガツンと温度が熱くなった。ただ最前列で見たのでまぶしかったです。

  • 満足度★★★

    多様な解釈を生む作品
    興味深く観たが、
    それほど惹き込まれなかった。
    突き放されもしなかった。

    ネタバレBOX

    かなりの部分が結局は言語による意味伝達でしかないのではないか。

    それが抽象的であったり、矛盾を孕んでいたり、切断などされているため、
    当然多様な解釈を呼ぶものではある。
    だが、その手法は反主流派の常套手法とも言える。

    結局は多様な意味を「解釈する」というところに落ち着いてしまう。

    と言っても、解釈するものとしては面白かった。

    「自己の殺人の記憶が、過去を掘り起こしてみると、
    実はそんな事実は無かった」という場面は、
    私自身、殺人ではないにせよ、思い当たるところがあった。
    ある罪悪感から、過剰な加害妄想をしてしまいそれが記憶をも変容させてしまったり、
    その逆に、その罪悪感を消そうと自分勝手に過去を忘れてしまうなど。
    私一人の中でさえ、このワンシーンから、複数の経験を想起した。

    また、憎悪の連鎖により暴力が暴力を生むが、それを断ち切るべく「許そう」とすると、「許さないでくれ、許されると救われない」となる場面。その前に「許してくれ」と乞うていたのにという複雑さ。
    このシーンは現在社会の中でのさまざまな暴力の構造を想起させたり、DVなどの共依存の力学関係を想起させたり、と多様に読み取ることが可能である。私も観ながら様々に想いを巡らせた。

    この2シーンは特に印象的に心に残っているが、共に、開かれたテキストを、多様に読解できたという楽しみでしかなかった。

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