私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えてあげる。 公演情報 私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えてあげる。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
21-26件 / 26件中
  • 僕は好きよ
    女子というのは、自分以外の女子が嫌いなのかもしれない。
    自分に自信があればあるほど、不安であればあるほど。
    可愛い子も、綺麗な子も、しっかりした子も、
    マイペースな子も、魅力的な子も・・・、みんなみんな。

    演劇人といのは、自分以外の演劇人が嫌いのなのかもしれない。
    自分に才能があればあるほど、狂気に満ちれば満ちるほど。
    ほろりとさせる俳優も、若くて美しい女優も、
    泣かせる役者も、笑わせる三枚目も、泣かせて笑わせる劇作家も、
    金持ってる演劇人も・・・、みんなみんな。

    女子であり、演劇人であり、そうして女子が大半の演劇を、
    しょって立って投げ飛ばせる根本宗子は、だからすごい。
    この子がエースなんだなあ、って思う。

    よく揉めないなあ。
    実力が抜きん出ていれば出ているがゆえに、
    拮抗していれば拮抗しているがゆえに、
    揉めるのが、女子であり、演劇人であると思うのだけれど。

    「虚構の劇団」の客演で、お気楽に脇役やってた、
    肩肘張らない根本宗子さん、良かったけどね。
    でもそれでは、彼女の自信が、不安が、才能が、狂気が、
    まったく納得しないのだろう。

    全部ふっくるめて、この人好きだなあ。

  • 満足度★★★

    根本宗子
    楽しかったし、頑張っているし、全く悪いわけではないのだけど、芝居として秀逸かどうかはわからないな。

    会話の情報量は多いけど、舞台をフルに使った”演劇”かと言われれば、そんな感じはしなかった。ただの”現代風会話劇”な感じ。これが最新・最高の小劇場作品かと言われれば、疑問符いっぱい。

    登場人物のキャラ構成、演技は良かった。

    シオン君はとても良かった。

    ネタバレBOX

    お芝居の本質ではないけど一言。

    今回前列の席だったけど、舞台上のレイアウトが悪いのか、全く良い席ではなかった。もっと事前に説明するかなんかできなかったのか?個人的には全く楽しめなかった。

    歌舞伎だって、宝塚だって、コクーンだって、新国立だって、見切れる席は割引か、事前説明するでしょ?

    多くのお客さんに観てもらいたいのはわかるけど、お客が多く入れれば良いって姿勢ならば、もう観に行くことはないな。

    事前にチケット買ったお客より、当日来るお客いれる方が大事かな?

    炎天下に手売りに並んでチケット入手して、この2か月間ずっと楽しみにしてたけど、個人的にはとても残念な公演でした。
  • 満足度★★★★★

    凄まじい、と思う。
    基本的にかなり実体験に近いのかなと勝手に思っています。
    芝居もそうなんですが、書くものが兎に角面白いと思ってて、ブログとかを一通り遡って読んだ事があるのですが、ああ、あの頃の話なのかなと腑に落ちていたり。
    フィクションとかは関係なく、それだけの事を感じる事があったのは間違いないでしょう。
    本当に凄まじい。

    作家で演劇人なんだなと。
    ここまで振り絞って演ってる人を自分は思いつかないです。
    振り絞り方にも色々あると思いますが。
    こういう色を持ったかたを他に知らないというのが正しいか。

    間違いなくWコールものでしたが、出てきて貰うのが忍びなくもあり。
    そんな作品でした。
    根本さんがただ面白く芝居が出来る世の中なら良いのに。
    と余計なお世話レベルの事を思う(笑)
    こういった振り絞ったのもあるから面白いのもあるかと思いますが。

    ネタバレBOX

    今、好きな作家を一人だけ上げるとしたら根本宗子さんになる。
    今回は根本さんの思う嫌いな女がありったけ詰め込まれているのだと思いますが、そういう人物たちさえも面白く感じてしまう、というのは皮肉が効いてるなあと思ったり!

    登場した女全部嫌いという事は、ご自身も含めて梨木さんも嫌いなのかなー、でもそこは最終的に嫌いにならないで欲しい。
    パンフに書いてあってちょっとほっとしたのですが、「幸せになって欲しい」ですね。


    あ、ここのところの数作品を観ていて合わせて思ったのが、とても正義なかたなのだと感じた。
    残念ながら正義であれば正義であるほど生きにくかったりするのでしょうけど。
    うーん、今回、「根本」役ということもあるから余計そうなんだと思いますが、こういうかたが作っているんだ、というのを何だか強く感じるのです。

    ちなみに女性陣より川西君が大分クソだと!
    男目線だからですかねぇ。
  • 満足度★★★★★

    たくさんの想いを感じました。
    毎回、本当に楽しく見させてもらってます。
    今回も根本さんがくりだすそのパワーを感じることができました。
    いつも意外性に驚かされます。
    本当に楽しかったです。

    ありがとうございました。

  • 満足度★★★★

    刃こぼれ知らずの名刀になるか?
    スズナリでの公演に続き、2回目の根本宗子。
    人の闇、人のハラワタの部分や理不尽な社会や人間関係を彼女の独特の見方で面白おかしく描く。
    根本宗子さんは根本役で出演されていた。彼女の本音がかなり正直に出ている作品なのだろう。
    他の女優さん方も嫌な女性をよく演じられていた。
    スズナリでの作品よりも彼女はより研ぎ澄まされたように見えた。
    次回作の案内は無かったが、今から期待せずにいられない。

  • 満足度★★★★★

    女性を切り出しつつ、物語のドミノを組み上げる
    初日を拝見。

    いろいろに笑えたりもするのですが、それをアペタイザーにしつつ、役者たちが描き出すキャラクターの、絶妙なバイアスの掛け方から生まれる実存感に目を瞠り、その先に訪れる想いたちの解け方に心を奪われました。

    役者たちも魅力的。そして作り手の才の突き抜けをがっつりと感じることができました。

    ネタバレBOX

    舞台には上下に2つの空間が設えられていて、同じ時間が流れていきます。前半の下の空間にには男女比のアンバランスな合コンの中で、集う女性達の個性というか、タイトルにあるが如くに女性から見て嫌な部分が次第に解けていく仕掛けがあり、上には一人自分の部屋で過ごす根本さん(ロール名)の姿があって。

    上下の全く異なるテンションやありようが、互いの空気の肌触りを際立たせます。下では一人の男を巡る駆け引きや闖入者もあり、一方上では本を読んだり、パソコンをいじったり、ちょっと部屋から出て行ったりといった女性の感覚があって。
    やがて、上下の関係も解けて下の在り様も上に伝えられる。もう、そこまでで十分な見応えなのですが、物語にはそこからの踏み出しがあってさらに取り込まれる。
    時は歩み、舞台は上に移っての、もて男と根本さんの痴話げんかはもう圧巻。そこから溢れる物が、唐突感を感じさせることなく観る側を突き抜けた結末へと導いていく。

    役者達の出来が本当によくて、それぞれがロールに対する異なったしかも絶妙なバイアスのかけ方で、物語の展開に寄り添いながら女性の風貌とそのありようを観る側に解いていきます。晒されていく、女性の才能を持った男への惹かれ方や、美しさを持つ女性のゆとり、居場所や体面を求める女性の姿や、ハブられる女性の想いの内外、アイドルに全てをささげる女性の強さ、そして何よりもさりげなく抜け駆けをする女性の狡さ。店員がぶれることなく差し入れる普通の女性の表層の感覚が基準線となり、また、根本さんが醸すイノセントな時の感覚に、それらの有象無象が見事に映える。
    その根本さんが上で編む時間もしなやかなパフォーマンスに裏打ちされていて。ベットで本を読むにしても脚を動かしたり右足で左足を掻いてリラックス感を醸したり、パソコンをするにしても微妙に心ここにあらず感を垣間見せたり、部屋からの出捌けも目の隅に留まるようなさりげなさがあって・・。それらの重なりが、漫然と彼の帰りを待ちつつ一人で過ごす女性の時間を刻み続け、質感を観る側に伝え、対比となって下の空間に満ちていく禍々しさに更なる際立ちを与えていくのです。

    また、それらの表現の一つずつが、単に刹那の印象として羅列されるのではなく、物語を歩ませるドミノのピースとなっていて、前半の女性たちや男のありようもその顛末の中の必然に裏打ちされつつ滲みだしてくることにも感心。だからこその概念に留まらないロール達の抱くリアリティがあり、その実存感が時を隔てた上方の空間での痴話げんかに浮かび上がる根本さんが抱き続けた感覚のシードともなっていく。
    痴話げんかの組み上がり方にも舌を巻きました。表層の良く馴染んだ蜜月の男女の関係が、そのシードから芽生え膨らんだものに蝕まれた女性の内心の解け方に姿を変えていく歩みが一歩ずつ目を瞠るような解像度で描かれ、そのことがボーダを超えた男女の踏み出しに理を与え、展開に違和感がない。

    シーンの内側のドミノから訪れるものがシーン間のドミノのピースとなり、その重なりが場を繋いでいくドミノとなって、終盤の突き抜けに至る。
    しかも、ラストでは、そうして根本さんから溢れ出し場を凌駕したものの脆さをあざ笑うかのように、ジョーカーの如き女性の想いが訪れさらに踏み越えていくのです。
    そのワンシーンに女性が抱く信念や狂気や高揚に圧倒されつつ、一方で、彼女の視座からのそこまでに描かれた女性たちの姿が切り出されたりもして、作品にさらなる厚みを感じたことでした。

    まあ、ロールのネーミングなども含め「私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えて・・」もらえたかはさて置いて、男性にしてみれば、自らが感じる女性の印象と女性から見える女性の姿の異なりがあからさまに切り出されていてぞくっとくるのですが、でも、そのことだけが舞台の到達点ではなく、ひとりの女性の想いの移ろいこそが、観る側に細微にしっかりと焼きつく。
    単に顛末やひとつの色合いを描くのではなく多様な広がりを作品の切っ先に束ね観る側に渡していく、作り手の作劇の確かさと冴えにがっつりと捉われてしまいました。

    初日のカーテンコールでちょっとした啖呵を切った根本さん(劇作家・演出家・俳優)ですが、それをとてつもなくかっちょよく裏打ちする舞台でありました。

このページのQRコードです。

拡大