演劇を出来事化する試み
受付を抜けると、そこはオフィスであった。
「ここしか空いておりませんが、よろしいですか?」
20代のオフィス・レディが誘導してくれた。
テーブルには、「◯◯製菓新商品モニター調査会」を印字するプリント資料が配布。
オフィス・レディは すぐさま「おしぼり」及び「お茶」を用意。
他の中堅ビジネス・マンを観察すれば、参加者に対し、「好きなお菓子はなんですか?へぇ、そうなんですか」
歓談中ではないか。
「あら。舞台を観るつもりが、モニター調査会に参加してしまった!ビルの階を間違えたか!
しかし、製菓企業なら記念品をもらえるはず…」
これが感想である。
私は渋谷で某携帯会社のモニタリング調査に参加した過去をもつ。
街頭でヘッドハンティングされたのもかかわらず、中年女性の会場スタッフは「こういうのに気をつけないとダメよ!軽々、連いてきちゃダメ!怖いのよ!」
他人事であった。
アンケートに役者の演技を記入するのではなく、「Aの新商品」「Bの新商品」どちらが美味いかを答える、前代未聞の境遇。
私は、牛丼で鍛え上げられた味覚を頼りに、スーパー・マーケットの明日を決める戦いを開始した。