それは、一時代の空気を呼び戻す“泡”です
「人間が想像できることは、必ず実現できる」この名言を遺したのが、SF小説家・ジュール・ヴェルヌであった。ペンの一滴一滴が、地底に拡がる 文明社会を建設し、20年後の子供たち に研究所の制服をプレゼントする。本田技研「アシモ」の研究者がテレビアニメ『鉄腕アトム』の画面に釘付けであったことは、ヴェルヌを名言のまま葬り去らない例だろう。/
小説家は、文字数に匹敵する名言を遺す。海外にもファンが多い村上春樹も、次のような名言が記憶されている。「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望がないようにね。」ヴェルヌの名言に警告を与えるイエローカードだろう。「完璧な想像など存在しない」のだから/
Project ONE&ONLYが、下北沢の新しい劇場で公演を行った。タイトルは『Y』。二次元方程式に欠かせぬ記号であり、『X』とは数学における兄弟仲だ。小説家の妻役◯が妖艶な女らしさを清純に導きだす演技は、1970年代のノスタルジアな空間を 切り取っていた。/
文章がメタだとすれば、対話もメタであろう。現代はTwitterやLINE、FacebookといったSNSこそメタの最終的役割を担っているが、むしろ 「証言」「物的証拠」が重宝され、日記という文章の脆弱ぶりを 同時に浮き彫りにする。『Y』は何だったのか…。解決するだけがミステリーサスペンスではなかった/
満足度★★★★
新鮮だが…
妄想ミステリーのような感じで、自分には新鮮味があった。と、同時にミステリーだけにいくつかの疑問が生まれた。全体的には、脚本や演出は良かったので、些細な点が気になったところである。なお、演技は複数の役者がセリフを何回か噛み、または言い直しをしており…楽日で疲れたのだろうか。
さて、先の疑問については「ネタバレ」参照。
満足度★★★★
無題1074(14-113)
18:30の回(ときどき小雨)。17:33受付(整理券あり)、18:00開場。ここは初めて、入って左(6列くらい、席数からするとメインの客席)と右(3列)のL字配置、役者さんに近い右にしました。入り口に近い6席が遅れてきたお客さん用、一番奥に「関係者席」。中央にソファ、椅子、その間に丸く、藁でしょうかラグのように敷かれています。壁沿いに、椅子、照明、ハンガーコート、書棚(文庫、写真集?)、デスク、絵(ポットとカップの静物画)。
「R10-07B(2011/4@楽園)」からで5作目になりました。「楽園」の「右」で3作観ているので本作も気がつかないうちに「右」にしていたのかなと(終演後)思いました。
18:34開演~20:43終演。
推理物...ずいぶん前、推理小説ばかり読んでいたことがありました(主に新本格派)。文字の場合、自分のペースで物語を進めたり、前に戻ったりできるのでよかったのですが、お芝居ではそうもできずどちらかというと苦手な(嫌いだということではありません)ジャンルです。誰が何して、ホントはこうして、ところが真実は...というあたりですね、途中で引っかかってしまうことが多いので。
本作、静かに終ってしまいましたが、(個人的に)期待していたのは、驚天動地...言葉にならない「真実」のようなものでしたのでちょっとずれを感じてしまいました。
想像(解釈)による各ピースの再構築というフレームはとても面白かったです。
満足度★★★
生命の価値と愛
「Y」というタイトル、やっと謎が解けましてほっとしています。物事には360度いろいろな見方があるもの。立場によって、考え方の違いによって、あらゆる真実が錯誤する。120分という長丁場でしたが、とても楽しめました。ひさしぶりに、三島由紀夫を読みたくなりました。
満足度★★★★★
微小部分などちょっと・・という感じもあったが
おおむね好みな話であり楽しめた作品でした。
2時間予定が10分以上オーバーしたり開演時間遵守は無理だったりと
タイムスケール等いろいろ創意工夫が必要かなとは思えたが、
熱意と表現に星の数は大盤振る舞いしてしまう(^^)舞台でありました。
満足度★★★★
中々深い と読める
結婚を、間近に控えた娘が作家、鷲尾宅を訪ねた。用件は1971年に、矢張り作家であった祖父、田代 雄二の家で起きた事件について、単に推理オンリーの作家では無く、深い人間観察と、緻密な論理によって思いも掛けなかった関係の網目を炙り出して行く鷲尾の人間観に基づく深層解析を訊ねたいとのことであった。然し、彼女の持ち込んだ資料は、警察の調書のコピーだと言う。コピーであろうが無かろうが、公文書を無断で持ち出し、それを利用して何かをしたとあれば、法に触れる。鷲尾は即座に断る。
だが、娘は粘る。持って来た資料は、祖母、裕美子の遺品を整理中に見付けたものだと言う。中を検めてみると、祖父の死が本当はどうであるのか、疑問を持った様子。近々、嫁ぐ自らの血に如何なる要素が含まれているのか、それを確かめ、納得できなければ、嫁に行くことに不安を抱かざるを得ないということのようであった。(追記後送)備考:かむ個所がもっと少なければ星の数を増やしたかも。